163 / 1,559
第五部・ブルーメンブラットヴィル 編
飴と鞭
しおりを挟む
「目が死んでた。この一瞬で何を思いだしてた?」
鋭く問われ、香澄の目がスイー……と斜めに泳いだ。
「ふん……」
四つ這いになって目を細めた佑は、問答無用で一度は脇に置いた避妊具を手に取り、容赦なく昂ぶったモノに被せる。
「夫になる男とホテルのベッドにいるのに、余計な事を考えた香澄には、やっぱりお仕置きが必要なようだ」
「そっ……そんなぁ! い、今の回想には理由があって……」
悲鳴を上げても、グイッと脚を開かれ肉芽をピンと親指で弾かれた。
「ひぃんっ」
まだ快楽の残滓を残していた体は、それだけでも敏感に反応してしまう。
「ゆ、許して?」
「反省せず許していたら、学習しなくなるだろう? 躾には飴と鞭が必要だ。幸い、飴と鞭が同居しているお仕置きだけどな?」
グプ……と硬い切っ先が蜜口に当てられ、わざとゆっくり肉棒が進入してくる。
「う……うううう……、ぁ……やぁ……」
半開きになった唇から悲鳴とも喘ぎともつかない声が漏れて――、やがてその声は紛れもない喘ぎ声となった。
最上級の部屋から艶めかしい声が止んだのは、空が白み始めた頃である。
海外に出て開放的になるのは、観光できるからと浮かれる気持ちだけではない。
普段様々な制約を受けている人間が、バカがつくほど己に素直になって女を愛する気持ちもなのだ。
(何か……対策……を、至急……)
もう指先一本ピクリとも動かせなくなった香澄は、朦朧とした頭で打開策を考えようとして――オチた。
**
「んぁ……ふ」
ベッドの上でゆっくり伸びをすると、少し皺の寄ったシーツの上で香澄の手が滑った。半円を描くように動いて――、胴にまわった腕に引き寄せられる。
「おはよ」
背後から低い声が耳たぶを掠り、昨晩の快楽の残滓を思い出す。
彼の声もまた寝起きで少し掠れていたので、やけにそれがセクシーだと思った。
「ん……おはよ……。今……何時……」
ベッドサイドのスマホに手を伸ばす前に、佑が自分の腕時計を持ち上げた。
当たり前だが、香澄の腕より佑の腕の方が長い。
佑がとても精巧な作りの――きっと目が飛び出るほどバカ高い腕時計を見て、無造作に戻す。
「……七時半」
まだどこか眠たそうな声を聞いて、香澄はホ……と安堵の息をつく。
「シャワー……浴びてくる。ご飯も食べないと……」
そう言って、香澄はゆっくり起き上がる。
(う……)
思った通り腰が重怠く、意識せず吐息が漏れた。
「つらい?」
振り向くと、鍛え上げられた上半身を惜しげもなく晒した佑が、髪を乱し気だるげな表情で見上げている。
日本人的な顔なのに、鼻筋はスッと高くて目元の彫りも深い。
肌の色も黄色人種のそれと違って、髪の色も地の色なのに綺麗な茶色だ。
目の色だって決して日本人にはない、黄色や黄緑、緑が混じった薄茶のヘーゼル。
(……綺麗な人)
男性に見とれるという経験は、日本に住んでいてそうそうないと思う。
海外慣れしていない香澄にとっては、初めて間近に接したクォーターだ。
「ん? お腹痛い?」
香澄がボゥッとしているので、何か勘違いした佑はのそりと起き上がり、指の背で香澄の頬を撫で下ろす。
「……う、ううん。大丈夫」
昨晩、せっかく着てもすぐ剥がされてしまった、トロリとしたシルク生地のキャミソールを着て、揃いのタップパンツを穿く。
あふ……と欠伸を噛み殺して窓辺に向かうと、重厚で高そうなカーテンを開いた。
「……朝は街が静かなんだね」
「通勤する人はいるけど、店の方は日本のように早朝から働こうっていう人は少ないからな。あと日曜日になると閉店法っていう法律があって規制がかかるから、まず店とかは機能しないよ」
「あぁー……、なんか聞いたことがある。ヨーロッパに旅行に行った同僚とか上司が、街がスッカラカンだったと言ってたような」
カーテンを開けてからゆっくり室内を歩くが、まだ股の間に何か挟まっている感覚がある。
鋭く問われ、香澄の目がスイー……と斜めに泳いだ。
「ふん……」
四つ這いになって目を細めた佑は、問答無用で一度は脇に置いた避妊具を手に取り、容赦なく昂ぶったモノに被せる。
「夫になる男とホテルのベッドにいるのに、余計な事を考えた香澄には、やっぱりお仕置きが必要なようだ」
「そっ……そんなぁ! い、今の回想には理由があって……」
悲鳴を上げても、グイッと脚を開かれ肉芽をピンと親指で弾かれた。
「ひぃんっ」
まだ快楽の残滓を残していた体は、それだけでも敏感に反応してしまう。
「ゆ、許して?」
「反省せず許していたら、学習しなくなるだろう? 躾には飴と鞭が必要だ。幸い、飴と鞭が同居しているお仕置きだけどな?」
グプ……と硬い切っ先が蜜口に当てられ、わざとゆっくり肉棒が進入してくる。
「う……うううう……、ぁ……やぁ……」
半開きになった唇から悲鳴とも喘ぎともつかない声が漏れて――、やがてその声は紛れもない喘ぎ声となった。
最上級の部屋から艶めかしい声が止んだのは、空が白み始めた頃である。
海外に出て開放的になるのは、観光できるからと浮かれる気持ちだけではない。
普段様々な制約を受けている人間が、バカがつくほど己に素直になって女を愛する気持ちもなのだ。
(何か……対策……を、至急……)
もう指先一本ピクリとも動かせなくなった香澄は、朦朧とした頭で打開策を考えようとして――オチた。
**
「んぁ……ふ」
ベッドの上でゆっくり伸びをすると、少し皺の寄ったシーツの上で香澄の手が滑った。半円を描くように動いて――、胴にまわった腕に引き寄せられる。
「おはよ」
背後から低い声が耳たぶを掠り、昨晩の快楽の残滓を思い出す。
彼の声もまた寝起きで少し掠れていたので、やけにそれがセクシーだと思った。
「ん……おはよ……。今……何時……」
ベッドサイドのスマホに手を伸ばす前に、佑が自分の腕時計を持ち上げた。
当たり前だが、香澄の腕より佑の腕の方が長い。
佑がとても精巧な作りの――きっと目が飛び出るほどバカ高い腕時計を見て、無造作に戻す。
「……七時半」
まだどこか眠たそうな声を聞いて、香澄はホ……と安堵の息をつく。
「シャワー……浴びてくる。ご飯も食べないと……」
そう言って、香澄はゆっくり起き上がる。
(う……)
思った通り腰が重怠く、意識せず吐息が漏れた。
「つらい?」
振り向くと、鍛え上げられた上半身を惜しげもなく晒した佑が、髪を乱し気だるげな表情で見上げている。
日本人的な顔なのに、鼻筋はスッと高くて目元の彫りも深い。
肌の色も黄色人種のそれと違って、髪の色も地の色なのに綺麗な茶色だ。
目の色だって決して日本人にはない、黄色や黄緑、緑が混じった薄茶のヘーゼル。
(……綺麗な人)
男性に見とれるという経験は、日本に住んでいてそうそうないと思う。
海外慣れしていない香澄にとっては、初めて間近に接したクォーターだ。
「ん? お腹痛い?」
香澄がボゥッとしているので、何か勘違いした佑はのそりと起き上がり、指の背で香澄の頬を撫で下ろす。
「……う、ううん。大丈夫」
昨晩、せっかく着てもすぐ剥がされてしまった、トロリとしたシルク生地のキャミソールを着て、揃いのタップパンツを穿く。
あふ……と欠伸を噛み殺して窓辺に向かうと、重厚で高そうなカーテンを開いた。
「……朝は街が静かなんだね」
「通勤する人はいるけど、店の方は日本のように早朝から働こうっていう人は少ないからな。あと日曜日になると閉店法っていう法律があって規制がかかるから、まず店とかは機能しないよ」
「あぁー……、なんか聞いたことがある。ヨーロッパに旅行に行った同僚とか上司が、街がスッカラカンだったと言ってたような」
カーテンを開けてからゆっくり室内を歩くが、まだ股の間に何か挟まっている感覚がある。
43
お気に入りに追加
2,572
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!


忘れたとは言わせない。〜エリートドクターと再会したら、溺愛が始まりました〜
青花美来
恋愛
「……三年前、一緒に寝た間柄だろ?」
三年前のあの一夜のことは、もう過去のことのはずなのに。
一夜の過ちとして、もう忘れたはずなのに。
「忘れたとは言わせねぇぞ?」
偶然再会したら、心も身体も翻弄されてしまって。
「……今度こそ、逃がすつもりも離すつもりもねぇから」
その溺愛からは、もう逃れられない。
*第16回恋愛小説大賞奨励賞受賞しました*
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。
青花美来
恋愛
あの日、バーで出会ったのは勤務先の会社の副社長だった。
その肩書きに恐れをなして逃げた朝。
もう関わらない。そう決めたのに。
それから一ヶ月後。
「鮎原さん、ですよね?」
「……鮎原さん。お腹の赤ちゃん、産んでくれませんか」
「僕と、結婚してくれませんか」
あの一夜から、溺愛が始まりました。
お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。
渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!?
合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡――
だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。
「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき……
《エブリスタ、ムーン、ベリカフェにも投稿しています》

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる