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第四部・婚約 編

浴衣でイケナイコト ☆

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「あの」
「ん?」

 耳朶を低い声と吐息がかすめ、短いやり取りだけでも香澄は肩を跳ねさせる。

(し……っ、心臓に悪い……っ)

 胸が高鳴り興奮しているのを気付かれないように、香澄は努めて平静を装う。

「『触るだけ』の定義とは?」
「……ふふ、どうだろうな」

 佑は楽しげに笑い、「気付いちゃったか」と香澄を抱き締めてゴロンと横に転がった。
 後ろから抱いた体勢のまま、佑は香澄の髪の毛を掻き分けうなじにキスをしてくる。

「ん、……ぅ」

 思わず悲鳴を上げかけたが、思いきり息を吸い込んで止め、事なきを得る。

「希望を言っていい?」

 佑が耳元で尋ねてくる。

「んっ……、ん、いいよ」

 佑は顔がいいだけでなく、声もいい。顔が見えない体勢だからといって、うかうかしていられない。
 何ならいい匂いがするし、イケメンは死角がないのだ。

「香澄とセックスしたい」

 耳たぶに唇が触れる距離でボソッと呟かれ、赤面のあまり顔が爆発するかと思った。

「うっ! ……うぅ……」

 ギュッと身を縮こめると、香澄の腕の隙間から佑の手が入り、心臓の辺りを探ってくる。

「ドキドキしてる。……香澄も期待してる?」

(やばい、……やばい。心臓が死ぬ……!)

 抱きすくめられたまま、香澄は声で殺されようとしていた。
 このままでは胸が高鳴りすぎて、心臓が体から出てしまいそうだ。

(離脱!)

 香澄はバッと起き上がろうとしたが、その途端佑は腕に力を込め、ギュッと抱き締めてくる。

「返事を聞いてないよ」

 笑いを含んだ声で、佑は浴衣ごしに香澄の胸を揉んでくる。
 加えて布地越しに恥丘も揉まれ、カーッと赤面した。
 さらに香澄をうつ伏せにし、覆い被さる体勢で浴衣の隙間から手を入れてきた。

「……ウウ」

 四つ這いになっているため、佑の手を掴んで止める事ができない。

「……温泉に浸かったせいかな。スベスベだ」

 言いながら佑は香澄の首筋の匂いを嗅いでくる。

「ねぇ、香澄。したい」

 佑が指先でツゥ……と香澄の乳首をなぞってきた。

「あっ、……う、……うぅ」

 背中を丸めて守りに入ろうとするが、パンティ越しに割れ目に指を入れられ、体がビクンッと震えた。
 あまりに恥ずかしくて息をひそめていると、佑に弄られている場所からクチュクチュと水音が聞こえてくる。

「…………っ」

(駄目!)

 脚を閉じて佑の手を太腿で挟むと、香澄の羞恥を悟った佑が低く笑った。

「香澄の体も望んでいるみたいだけど」
「あっ……、明日、――か、観光……っ」
「んー?」

 とぼけた反応をしながら、佑はクロッチの隙間から指を入れる。
 そして潤った花弁をヌルヌルと弄ったあと、蜜口に指を押し入れてきた。

「んぅっ!」

 堪らず香澄は枕に顔を押しつけ、背中を丸める。

「ははっ、この体勢、悪い事をしてるみたいだな」

 亀のように丸まった香澄を、上から覆い被さった佑が笑いながらいじめてくる。
 うつ伏せになって体を守っても、すでに佑の手は胸と秘部にあるので大して意味がない。
 Eカップの胸をムニムニと揉まれ、指先で乳首を転がされる。
 もう片方の手は興奮してふっくらしてきた蜜壷をグルリと掻き回し、香澄の感じる場所を擦ってはトントンとノックしてきた。

「ふぅ……っ、ん、んぅ、んーっ」

 うつ伏せのまま息を乱しているので、すぐに暑くなってきた。

「――あぁ、駄目……っ」

 プハッと顔を上げた香澄は、観念して体を横たえた。

「素直なのが一番」

 佑は嬉しそうに笑い、一度抜けた指をペロリと舐めた。

「浴衣脱がせるのって、興奮するな」

 そしてもう抵抗しない香澄の帯を引っ張り、合わせの間から現れた素肌を見て目を細めた。

「ちょっと、〝痕〟つけようか」
「えっ?」

〝痕〟と言われて「駄目だよ」と言う前に、佑が香澄のデコルテにきつく吸い付いてきた。

「ん……っ」

 前歯を立てて強く吸い付かれ、チリッと痛みが走る。

「た……っ、すく、さ……っ、駄目ったら」

 トントンと彼の肩を叩くが、佑は強烈なキスマークを付けるのに夢中だ。
 やがて彼が顔を離し、自分の付けたうっ血痕を見て満足そうに微笑んだ。

「見て、香澄。しっかり『俺の物』って印をつけたから」
「見てと言われても……」と思いつつ自分の胸元を見ると、ふっくらとしたデコルテに濃い色の痕が付いていた。
「もぉ……。ご家族がいるんだよ? 温泉なんだよ?」
「まだ長袖だし、ここまで襟が開く服でもないだろ。温泉は個室にあるし……」
「そうだけど……」

 むぅ……と唇を尖らせると、佑がチュッとキスをしてきた。

「双子にからかわれても、香澄の体にコレがあると思うと俺の溜飲が下がるから、多めに見て?」
「もー……」

 結局は強く言えない香澄に向かって、佑は含んだ笑みを浮かべ髪を撫でてくる。

「……あとで何か、一つ言うこと聞いてもらうんだから」

 悔し紛れに言ったが、逆に佑を喜ばせてしまった。

「いいよ。何でも言う事を聞く」
「あぁ、もぉ……」

 諦めて脱力した香澄に、佑はクツクツ笑いながらのし掛かってくる。

「はい、脚開いて」
「んー」

 言われた通り脚を開くが、香澄は不服げに頬を膨らませたままだ。

「やる気がないな?」

 グチュリと再び指を差し込まれ、香澄は目を細め唇を引き結んだ。
 ピクッと体が跳ね、反射的に蜜壷が締まったのは仕方がない。

「マグロです」

 また悔し紛れの言葉を口にすると、佑が噴き出して笑った。

「マグロを感じさせる事ができたら、俺はテクニシャンって思っていいのかな?」
「あんっ、ン! もぉ、ぁ、……あっ」

 言い返そうとしたが、すでに香澄の弱い所を知っている佑が的確な場所を指で擦ってくる。
 そのたびに香澄の口からは甘い声が漏れ、体も正直にピクンピクンと跳ねる。

「こっちも可愛がってあげる」

 一度指を引き抜いた佑は、香澄の腰を抱え上げて秘部が天井を向くほど角度を変えると、自分の太腿と体で押さえ、今までとは違った角度で指を二本入れてきた。
 そして膨らんだ淫芽を舌でピチャピチャと舐め始める。

「んあぁっ、やっ、こんな格好……っ、あ、――ぁあっ」

 いつもとは違ってお尻側の壁を指でグジュグジュ擦られ、香澄は尾てい骨の辺りからビリビリとした悦楽が脳天に駆け上がっていくのを感じる。
 恥ずかしい場所を佑の目の前に晒し、しかも舐められている羞恥に、彼女は涙を零していた。

「可愛いよ」

 佑はうっとりと目を細め、充血して膨らんだ香澄の花弁や淫玉をジッと見てから大切そうに舐める。

「――ひ、……っぅ、ううっ、あ、あ……っ」
「香澄は体のどこを見ても可愛い」

 佑のように綺麗な男性に、不浄の場所を見られて「可愛い」と言われると恥ずかしくて堪らない。
 羞恥も相まって感度が高まり、ジュッと陰核を吸われた時、香澄は蜜壷をわななかせて佑の指を喰い締めた。

「うぅっ、あぁあ、あぁ……っ!」
「ん……、ちゅ……っ。は、……ヒクヒクしてる。可愛い……」

 佑は欲の籠もった目で香澄を見下ろし、熱っぽい声で囁く。
 そして膣肉をひくつかせて達している香澄を見て嗜虐的に笑うと、二本の指をズポズポと上下させて香澄の蜜洞を暴いた。

「あぁーっ、うぅう、うーっ、やぁ、やだっ、だめ……っ」

 いきなり激しく指を動かされ、香澄はこみ上げたものを我慢できず、ブシュッと愛潮を噴いてしまった。

「っやだぁああ……っ!」

 とっている体勢が体勢だけに、透明な液が自分の体にもかかってしまう。
 情けなくて恥ずかしくて、こみ上げた涙を拭っていると、佑が腰を下ろしてくれ、指を抜いて「ごめん」とキスをしてきた。

「気持ち良かった?」
「…………うん」

 気持ち良かったが、恥ずかしくて堪らなく、香澄は脱がされた浴衣をたぐり寄せて体を隠す。
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