32 / 1,559
第一部・出会い 編
運転手と護衛たち
しおりを挟む
「駄目だ。『でもでもだって』だと呆れられる。子供じゃないんだから」
濡れた手でペチッと自分の頬を叩き、気合いを入れる。
(佑さんに『信じます』って言ってここまで来たんだから、もっと私自身、乗り気でいかないと)
そのあとはなるべく何も考えないようにし、温まった体をベッドに横たえると、すやっと眠ってしまった。
**
翌日、朝食をとったあと、百貨店の開店に合わせて外出するらしく、香澄はクローゼットの前でうんうん唸っていた。
「どうした? 決まらない?」
ヒョッと顔を覗かせた佑に、香澄は助けを求める。
「お出かけなのでお洒落な服を着たいと思ったのですが、組み合わせとか分からなくて……」
例のクローゼットにある服は、一点のみで見るとどれも素敵だ。
だがトップスとボトムスを自分のセンスで組み合わせ、髪型やメイクを……となると、荷が重い。
札幌で仕事をする時はパンツスーツ一択で、私生活では適当な服装で過ごしていたツケがきた。
「じゃあ、俺が選んでも大丈夫?」
「はい、ぜひお願いします!」
そのあと佑はハンガーの間に手を入れてアイテムを確認し、香澄の前に服を当ててあれこれ確認していた。
「今日は試着とかもしてもらうし、脱ぎ着しやすいという理由でワンピースにしよう」
言われて差し出されたのは、くすみピンクのワンピースだ。
首元はVネックで、ウエストは共布のベルトで留めるようになっている。
スカート部分は細かなプリーツになっていて、大人っぽさもありながら甘さもあるアイテムだ。
「その上に、これ」
フワッと渡されたのは、ボアが温かそうベージュのジャンパーだ。
そして赤身のある茶色い革製のクロスボディバッグも出され、完璧にコーディネートされる。
「このドレッサーの引き出しにも、使い回しできそうなアクセサリーを数点入れておいたんだけど……。何がいいかな」
そう言って佑は「開けるよ」と断り、引き出しを開ける。
香澄の私物も数点あるのだが、他に並んでいるセンスのいい物はすべて事前に入っていた物だ。
「そうだ」
彼は突然呟き、香澄に近付くとサラッと耳元の髪を掻き上げた。
「ひゃ……っ」
驚きとくすぐったさで肩をすくめると、佑が顔を近付けてくる。
(近……っ)
「……うん。穴、開いてないな」
最後にフニッと香澄の耳たぶを摘まんでから、佑はまたドレッサーの方に戻る。
(びっくりしたああああ!!)
さりげない接近術なのかと思っていたが、彼は真剣な顔でイヤーカフやイヤリングを手に取っては、香澄に向けている。
(……無意識か)
どうやらファッション関係になると、意識が集中してしまうようだ。
「これにしよう」
佑が差し出してきたので、香澄は掌を出す。
チャラッとのせられたのは、留め具の部分には大きなパールがあり、そこから幾つものクリアストーンがハート型になり、さらに大きなパールが下がっている物だ。
「わあ、可愛い」
無邪気に喜んだ香澄は、それがワンセット十万円近くするのを知らない。
もし知っていれば、生まれたての子鹿のように震えて佑に突き返していただろう。
さらにこの部屋のリネン類など、すでに揃えられている物もかなりの値段がする物なのだが、何も気付いていない。
無知の勝利である。
その後、佑が決めてくれたコーディネートに身を包み、出掛ける準備をした。
**
「改めまして、初めまして。運転手をしております、小金井勝也(こがねいかつや)と申します」
今までチラッと顔を合わせていた運転手は、五十代前半の男性だ。
温厚そうな人で、にこやかに挨拶をされて香澄も会釈を返す。
「私も同じく運転手の、瀬尾和成(せおかずなり)と申します」
もう一人頭を下げたのは、佑と同い年ぐらいの男性だ。
口角がキュッと上がっていて、楽しげな表情を窺わせる。
二人に共通しているのは、既婚者。
そしていざという時にボディガードの役割も果たせるよう、一通りの体術は心得ている事だ。
他にも香澄の前には四人の男性が立っていた。
「私は小山内明(おさないあきら)と申します。ここにいる四人がメインとなる護衛ですが、チーフという事になっています」
小山内は四十代半ばの男性で、意志の強そうな顔立ちをしている。
身長は一七〇センチメートル少しだが、柔道などが強そうながっちりした体型だ。
「私は久住信司(くずみしんじ)と申します」
端正な顔立ちをした久住は、三十歳そこそこぐらいで、香澄と歳が近そうだ。
少し神経質そうな印象を受けるが、その分仕事に隙がなさそうな感じがする。
(何となく、A型っぽいな)
香澄は印象だけで勝手な想像をした。
「私は呉代大輔(ごだいだいすけ)と申します」
そう名乗った彼はベリーショートで、どことなく体育大学出身……という印象がある。
香澄の知る限り、偏見だが「だいすけ」という名前の男友達は、皆どこか豪快な性格をしていた。
だからかもしれないが、彼も明るくて社交的なのでは、と思った。
ちなみに彼も、年齢は香澄と近いのでは、という感じだ。
「私は佐野壱也(さのいちや)と申します。最年少です」
佐野はまだ若さの残る感じで、二十代半ばほどだ。
まじめで、ひたむきな印象があり、きっと勤勉な人なのだろうな、という印象を抱く。
「今まで、四人でローテーションを組んでコンビを作ってもらっていたけど、これからは香澄にも二人体制でついてもらう。休みも確保しなければいけないから、人員を増す必要があるな。それは手を回しておこう」
車に乗り込む前に玄関で紹介を受け、香澄は頭の中で必死に顔と名前を結びつける。
今までの仕事の甲斐もあり、人の顔と名前を覚えるのは得意だ。
「どうぞ宜しくお願い致します」
ペコリと頭を下げると、彼らも微笑して会釈をしてくれた。
「普段、彼らは仕事柄サングラスをする事が多いけど、ビビらなくていいからな。『そういうもの』だと思っていて」
「分かりました」
あとから聞けば、表情や目線を読み取らせないためとか、何かを掛けられても目は守れるなど、メリットがあるらしい。
取りあえず今日は、小金井が運転する車の助手席に呉代が座り、後部座席に佑と香澄が座るらしい。
残る護衛の三人は、瀬尾が運転する車でついてくるそうだ。
乗り込んだあと、静かなエンジンの車は白金台の街を走ってゆく。
「ボディガードってやっぱりスーツが制服なんですか?」
「場所により、私服の場合もあるよ。物々しい護衛が必要な時もあれば、街中ではスーツを着ているとサラリーマンに紛れる事もできる。休日は私服とか、臨機応変かな」
「なるほど」
佑の返事を聞き、香澄は手をポンと打つ。
「……でも、護衛が必要になる場面なんてあるんですか? 日本って治安がいいって言われるので、あまり想像できないんですが」
香澄はつい、素朴な疑問を口にする。
「日本でも、人が大勢集まる所だと何が起こるか分からないから、用心のためだ。護衛なしに何かがあって大きな損失を出すより、転ばぬ先の杖として身の回りを固めておいた方がいい場合もある。海外出張も月に何回も行くから、結果的には彼らにいてもらって良かったと思っている。危険な目に何度も遭った訳じゃないけど、いるといないじゃ大きな違いだから」
「そうなんですね」
分からなかったので質問したが、もしかしたら佑クラスの経営者なら、護衛を雇っているのは当たり前の事なのかもしれない。
「慣れないと思うけど、守られる生活に慣れてほしい」
「……分かりました。なるべく、努力してみます」
この時の香澄は、自分が〝要人〟となった自覚はゼロだった。
だがそのうち、徐々に〝世界の御劔〟に選ばれた重圧や立場なども思い知っていく事になる。
**
濡れた手でペチッと自分の頬を叩き、気合いを入れる。
(佑さんに『信じます』って言ってここまで来たんだから、もっと私自身、乗り気でいかないと)
そのあとはなるべく何も考えないようにし、温まった体をベッドに横たえると、すやっと眠ってしまった。
**
翌日、朝食をとったあと、百貨店の開店に合わせて外出するらしく、香澄はクローゼットの前でうんうん唸っていた。
「どうした? 決まらない?」
ヒョッと顔を覗かせた佑に、香澄は助けを求める。
「お出かけなのでお洒落な服を着たいと思ったのですが、組み合わせとか分からなくて……」
例のクローゼットにある服は、一点のみで見るとどれも素敵だ。
だがトップスとボトムスを自分のセンスで組み合わせ、髪型やメイクを……となると、荷が重い。
札幌で仕事をする時はパンツスーツ一択で、私生活では適当な服装で過ごしていたツケがきた。
「じゃあ、俺が選んでも大丈夫?」
「はい、ぜひお願いします!」
そのあと佑はハンガーの間に手を入れてアイテムを確認し、香澄の前に服を当ててあれこれ確認していた。
「今日は試着とかもしてもらうし、脱ぎ着しやすいという理由でワンピースにしよう」
言われて差し出されたのは、くすみピンクのワンピースだ。
首元はVネックで、ウエストは共布のベルトで留めるようになっている。
スカート部分は細かなプリーツになっていて、大人っぽさもありながら甘さもあるアイテムだ。
「その上に、これ」
フワッと渡されたのは、ボアが温かそうベージュのジャンパーだ。
そして赤身のある茶色い革製のクロスボディバッグも出され、完璧にコーディネートされる。
「このドレッサーの引き出しにも、使い回しできそうなアクセサリーを数点入れておいたんだけど……。何がいいかな」
そう言って佑は「開けるよ」と断り、引き出しを開ける。
香澄の私物も数点あるのだが、他に並んでいるセンスのいい物はすべて事前に入っていた物だ。
「そうだ」
彼は突然呟き、香澄に近付くとサラッと耳元の髪を掻き上げた。
「ひゃ……っ」
驚きとくすぐったさで肩をすくめると、佑が顔を近付けてくる。
(近……っ)
「……うん。穴、開いてないな」
最後にフニッと香澄の耳たぶを摘まんでから、佑はまたドレッサーの方に戻る。
(びっくりしたああああ!!)
さりげない接近術なのかと思っていたが、彼は真剣な顔でイヤーカフやイヤリングを手に取っては、香澄に向けている。
(……無意識か)
どうやらファッション関係になると、意識が集中してしまうようだ。
「これにしよう」
佑が差し出してきたので、香澄は掌を出す。
チャラッとのせられたのは、留め具の部分には大きなパールがあり、そこから幾つものクリアストーンがハート型になり、さらに大きなパールが下がっている物だ。
「わあ、可愛い」
無邪気に喜んだ香澄は、それがワンセット十万円近くするのを知らない。
もし知っていれば、生まれたての子鹿のように震えて佑に突き返していただろう。
さらにこの部屋のリネン類など、すでに揃えられている物もかなりの値段がする物なのだが、何も気付いていない。
無知の勝利である。
その後、佑が決めてくれたコーディネートに身を包み、出掛ける準備をした。
**
「改めまして、初めまして。運転手をしております、小金井勝也(こがねいかつや)と申します」
今までチラッと顔を合わせていた運転手は、五十代前半の男性だ。
温厚そうな人で、にこやかに挨拶をされて香澄も会釈を返す。
「私も同じく運転手の、瀬尾和成(せおかずなり)と申します」
もう一人頭を下げたのは、佑と同い年ぐらいの男性だ。
口角がキュッと上がっていて、楽しげな表情を窺わせる。
二人に共通しているのは、既婚者。
そしていざという時にボディガードの役割も果たせるよう、一通りの体術は心得ている事だ。
他にも香澄の前には四人の男性が立っていた。
「私は小山内明(おさないあきら)と申します。ここにいる四人がメインとなる護衛ですが、チーフという事になっています」
小山内は四十代半ばの男性で、意志の強そうな顔立ちをしている。
身長は一七〇センチメートル少しだが、柔道などが強そうながっちりした体型だ。
「私は久住信司(くずみしんじ)と申します」
端正な顔立ちをした久住は、三十歳そこそこぐらいで、香澄と歳が近そうだ。
少し神経質そうな印象を受けるが、その分仕事に隙がなさそうな感じがする。
(何となく、A型っぽいな)
香澄は印象だけで勝手な想像をした。
「私は呉代大輔(ごだいだいすけ)と申します」
そう名乗った彼はベリーショートで、どことなく体育大学出身……という印象がある。
香澄の知る限り、偏見だが「だいすけ」という名前の男友達は、皆どこか豪快な性格をしていた。
だからかもしれないが、彼も明るくて社交的なのでは、と思った。
ちなみに彼も、年齢は香澄と近いのでは、という感じだ。
「私は佐野壱也(さのいちや)と申します。最年少です」
佐野はまだ若さの残る感じで、二十代半ばほどだ。
まじめで、ひたむきな印象があり、きっと勤勉な人なのだろうな、という印象を抱く。
「今まで、四人でローテーションを組んでコンビを作ってもらっていたけど、これからは香澄にも二人体制でついてもらう。休みも確保しなければいけないから、人員を増す必要があるな。それは手を回しておこう」
車に乗り込む前に玄関で紹介を受け、香澄は頭の中で必死に顔と名前を結びつける。
今までの仕事の甲斐もあり、人の顔と名前を覚えるのは得意だ。
「どうぞ宜しくお願い致します」
ペコリと頭を下げると、彼らも微笑して会釈をしてくれた。
「普段、彼らは仕事柄サングラスをする事が多いけど、ビビらなくていいからな。『そういうもの』だと思っていて」
「分かりました」
あとから聞けば、表情や目線を読み取らせないためとか、何かを掛けられても目は守れるなど、メリットがあるらしい。
取りあえず今日は、小金井が運転する車の助手席に呉代が座り、後部座席に佑と香澄が座るらしい。
残る護衛の三人は、瀬尾が運転する車でついてくるそうだ。
乗り込んだあと、静かなエンジンの車は白金台の街を走ってゆく。
「ボディガードってやっぱりスーツが制服なんですか?」
「場所により、私服の場合もあるよ。物々しい護衛が必要な時もあれば、街中ではスーツを着ているとサラリーマンに紛れる事もできる。休日は私服とか、臨機応変かな」
「なるほど」
佑の返事を聞き、香澄は手をポンと打つ。
「……でも、護衛が必要になる場面なんてあるんですか? 日本って治安がいいって言われるので、あまり想像できないんですが」
香澄はつい、素朴な疑問を口にする。
「日本でも、人が大勢集まる所だと何が起こるか分からないから、用心のためだ。護衛なしに何かがあって大きな損失を出すより、転ばぬ先の杖として身の回りを固めておいた方がいい場合もある。海外出張も月に何回も行くから、結果的には彼らにいてもらって良かったと思っている。危険な目に何度も遭った訳じゃないけど、いるといないじゃ大きな違いだから」
「そうなんですね」
分からなかったので質問したが、もしかしたら佑クラスの経営者なら、護衛を雇っているのは当たり前の事なのかもしれない。
「慣れないと思うけど、守られる生活に慣れてほしい」
「……分かりました。なるべく、努力してみます」
この時の香澄は、自分が〝要人〟となった自覚はゼロだった。
だがそのうち、徐々に〝世界の御劔〟に選ばれた重圧や立場なども思い知っていく事になる。
**
43
お気に入りに追加
2,570
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です


甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる