【R-18】記憶喪失な新妻は国王陛下の寵愛を乞う【挿絵付】

臣桜

文字の大きさ
上 下
46 / 54

慈雨の如き目に愛されて2

しおりを挟む
「ま、それはそれで一つ間違えれば痛そうでもあるから……。所有印をつけるに留めておくさ」
「あ……っ」
 飄々と言ってから、クライヴは今度はモニカの肌を吸い始めた。強く吸引した後にチュバッと音がすると、そこには赤い花が咲く。
「あ、あんまり跡をつけないで。ドレスの胸元から見えちゃうっ」
「見せておけばいい。……と思うが、ギリギリの所で楽しむのもアリだな」
 また意地悪なことを言うと、クライヴはモニカの胸を寄せて集め、いつもドレスから見えている箇所を目算する。
「だ……っ、だめだってばぁ!」
 そしてモニカの悲鳴をよそに、上機嫌に胸元にキスマークをつけ始めた。
 特に念入りに吸い付いたのは、胸の先端近く。
 クライヴ相手にだけ敏感になる箇所を強く吸われると、モニカの口から堪えきれないうめき声が漏れる。
 シュルリと腹部を撫で下ろされ、その指先が脇腹に触れるとモニカが身をよじらせた。
「そこ……っ、くすぐったいっ」
 くすぐられるのかと思ったモニカに、クライヴは顔を上げてペロリと自分の唇を舐める。
「モニカ、くすぐったいというのは性感帯であるということだ。いずれ君を開発していけば、脇腹に触れたり舐めたりするだけで、君は濡らすようになる」
「も……もぉぉ……」
 いつからこんな、『男の人』になってしまったのだろう?
「クライヴ変よっ。私が知ってるクライヴは、そんな風にお腹とか胸を見て『感じる』とか『濡らす』とか、卑猥なこと言わなかったわ」
 恥ずかしくてつい責めるような声になるが、クライヴは蛙の面に水という様子だ。
「そんなの、婚前に君に嫌われたくないだけに決まってるじゃないか。王子と言っても、俺はやりたい盛りのただの男だし。むしろこの歳まで君だけを一途に想って、待っていたことを褒めて欲しい」
「……うぅっ」
 言い換えされ、モニカは何も言えない。
 クライヴが自分だけを見てくれていて、その性欲を自分一人にだけ発散してくれているのは、むしろ喜ばしいことだ。
 今まで王子という立場で、顔も性格もよくレディから絶えず秋波を送られてきただろうクライヴ。そんな彼が『つまみ食い』をせずにいたというのは、健全な男子で言えば珍しいことなのだろう。
 今ご褒美を与えずして、何とするのか。
 ――分かっている。
 分かっているのだけれども、純粋なモニカに『今』の色気全開のクライヴは些か刺激が強い。
 白い肌に点々と赤い跡をつけられ、モニカは涙ぐむ。
「だって……っ、クライヴが知らない男の人に思えるんだもの……っ」
『知らない男』と言われては、クライヴも放っておけない。
「……今までの『無害で優しい、キスしかしないクライヴ』の方がいい?」
 両手で胸を揉みつつ、優しく問う声は昔から変わっていない。
 ジワッと心に染みこむような声を聞いてから、モニカは本音を漏らす。
「そうじゃないけど……。クライヴがとても大人に見えて、格好良くて色っぽくて、……いやらしくて。ドキドキしちゃうの」
「……ドキドキ、するのか? 俺に」
 もに……と胸を揉む手が止まった。
「するわよ。ずっと好きだったクライヴが、急に『大人の男の人』に見えるんだもの。つい昨日もしたばかりだけど……。まだ全然慣れないの」
「じゃあ……」
 そう言いかけてクライヴはおもむろに脱ぎ始め、最後の一枚を丸めてポイと投げ捨てる。
 彼の手が向かったのは己の屹立で、竿を支えるように手を沿わせると、モニカに見せつけるように揺らした。
「『これ』にもドキドキする?」
「も……、もぉぉっ! す、するわよ……っ、は、恥ずかしいからっ」
 今にも泣き出しそうなぐらい赤面し、涙ぐむモニカが可愛くて堪らない。
「俺も、こんなに『大人の女性』になったモニカに夢中だよ。大きくなった胸も、くびれた腰も。まるく魅力的になったお尻も。スラッとした太腿も」
「やぁ……っ、褒めないで……っ」
 体を褒められると、ムズムズする。
 今まで「可愛いね」「ドレスが似合っている」「花のようだ」と言われていた言葉とは、まったく違うもの。
 モニカを『女』として見ている言葉たち。
 低くて通りのいい声がモニカを賛美する度、彼女の耳がジワジワと熱くなる。
「……耳で受胎しちゃうわ」
 呟かれた言葉は、奇しくも記憶を失ったモニカが口にした言葉と同じだった。
 それに気付いたクライヴは、どんなことになっても彼女の本質は変わっていないのだと目を細める。
「……モニカ」
「なぁに?」
 クライヴの大きな手が肌を滑る度、モニカは甘美な震えに身を任せる。
『気持ちいい』は恥ずかしいけれど、その感覚はとても美しいものだと思っていた。
「君は記憶のことで悩んでいたが、安心して欲しい……というのも変だが。俺はずっと君の側にいるから。君がどんなことになっても、俺はモニカという妻を愛する。その気持ちは、一生涯変わらない」
「……ありがとう。私も昨日は我が儘を言ってごめんなさい。きっとこれは、神さまがお与えになった試練なのだわ。ほんの一時の記憶なんてなくても、立派に夫婦としてやっていけるかという……」
 モニカ自身も乗り越えようとしているのを感じ、クライヴは愛しげにキスを落とした。
「俺がこうやって触れるのは……、ただ一人モニカだけだ」
 ふっくらとした腹部を撫で下ろし、その先にある茂みに触れる。すり合わせた太腿の間で、金色の和毛は蜜にまみれていた。
 スッと秘唇を撫で上げると、「ひんっ」とモニカが息を吸い込んだ。
 そのまま人差し指と中指で閉じていた秘唇を開くと、クパッと小さな音がする。そして勢いよく熱い蜜が溢れ出した。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...