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二〇五一年 三月
時人と秋月家の家族、そして月也も春の京都を訪れていた。
まだ美弥と付き合っている訳でもない月也は、自分などが一緒に旅行に行っていいのかと恐縮しきっていた。だが時人にぜひにと誘われた上、旅費も出すと言われて厚意に甘えたのだ。
そこまで自分が同行することを時人が拘るのに、何か意味があるのだろうと思ったのもある。加えて沙夜がそうするようにと勧めてきた事もある。
かくして五人は京都へ向かい、月也は時人が予約してくれたホテルに宿泊した。秋月家の宿泊先は、美作の家になっていた。
「沙夜、美弥。誠也さんも。それから時人さんも。よぉ来はったねぇ。桜のええ季節やわ。でも春と秋は特に混むさかい、人が多くてびっくりしたでしょう。……ん? そちらさんは?」
下鴨にある美作の家に行くと美来が出迎え、その後ろには智治もいる。
「こちらは萩野月也さん。芸術大学の学生さんでね、素敵な油絵を描いていらっしゃるの」
沙夜が月也の説明をすると、美来は夫と顔を見合わせてから「美弥の彼氏かしら?」とニコニコしだす。
「ちっ、違うよ」
美弥が慌てて否定するも、勝手に解釈してしまった祖父母は好意的に笑っている。そのまま「上がって」と勧め、時人達は手土産を提げ美作の家に上がったのだった。
居間には九十一歳になる昭も座って待っていた。現在の美作の大奥様である彼女に挨拶をしてから、仁の遺影がある仏間で手を合わせる。
「あれ……」
手土産を渡して両親や月也が色々話している間、美弥が不意に涙を零して目を拭う。
「どうしたの? 美弥」
「わかんない……。あれ……? あれ?」
涙は次から次へととめどなく溢れる。庭にある桜の木が花びらを散らせると、ギュウッと美弥の胸も切なく締め付けられる。
「あの人の……、気持ちが……っ」
ここのところ鎮まっていた美弥の不安定さが、急に大きな波のように押し寄せてきた。
頭の中に幾つもの風景が蘇る。
一面の桜。
そして、その中でたった一人悲しそうにピアノを奏でている女性。
――そうだ、自分は『あの人』と、彼女の想いを伝えると約束をしたんだ。
全員が心配そうに見守る中、美弥は涙の溜まった目で時人を見る。
「ときひと……さん」
「美弥ちゃん?」
美弥の視線の先には、大好きな人が怪訝そうな顔でこちらを見ている。
今年で還暦になるというのに、まだ三十路ほどの若さと美貌。上品で洗練されていて、全体的に色素の薄い、憧れのひと。
どこの時空を生きているのか分からない、謎に包まれた美しいひと。
――彼を求めている。
それは自分ではなくて、ずっとずっと昔から自分の中にいたもう一人の『あの人』。
可哀想な『あの人』の想いを伝えてあげなくては――。
「あのね……っ、時人さんあのね! あの人が、『泣かないで』って。『一人じゃないよ』って……!」
強い意識に支配された美弥は、自分が傍から見れば混乱しているだろう事も、脈絡のない事を言っているという自覚がない。ただ、自分の中にいるもう一人の想いを伝えなければという使命感にかられ、上手に説明できない気持ちを時人に訴える。
「それは、誰が言っているんだい?」
立ち上がって優しく美弥を覗き込むと、彼女は時人を見て、その向こうにある桜を見てまた涙を流した。
「あの人、とってもとっても、桜を見たがっていたの。桜を見ると、この家を見ると、曾お婆ちゃんを見ると、『懐かしい』、『帰りたい』ってあの人思ってるの。それから、とても深い悲しみの底にいて、『ごめんね』って言ってる」
泣きながら誰かの想いを伝える美弥の言葉に、時人は『彼女』と言われれば――あの人以外思い当たらない。
この三十五年間、ずっと想い続けた『彼女』。
生涯『彼女』しか愛さないと誓い、いつか『彼女』と共に桜の京都を歩こうと誓った。
「美弥ちゃん、葵さんの気持ちが分かるのかい……?」
動揺した時人の茶色い目は、期待と動揺、驚きで揺れていた。まだ葵はあの茶室で眠ったきりで、それを美弥が知る筈がない。
時折昭から手紙があっても、「美弥にはあの茶室は使ってない物置だと言ってあります」と書いてあった。
一華と沙夜の姉妹が成人した頃には、「時人さんには人とは違う秘密があるから、仲良くしている自分達が、時人さんを守らないといけない」と美来が言い含めた。そして、「京都には姉妹が幼い頃に世話になった『葵ちゃん』が眠っている」という事も伝えてある。
たった一度だけ、姉妹が子供を産む前に眠っている葵を見せた事があった。
広い美作家の敷地の端にある小さな茶室で、髪を長く伸ばした葵は美しい人形のように昏々と眠りについていた。
その寝姿は確かに幼い日の記憶のままで、一華と沙夜は自分達が暮らす人間の世界とは異なる、世界の不思議に触れたのだ。そして時人の存在と共に、葵も守らないといけない。仁と昭、そして美来にそう言われた。
だから、どう考えても美弥が葵の存在を知る筈がなかったのだ。
表向きに葵は海外で暮らしているという事になっている。
東京の美作所有の、葵が住んでいたマンションはそのままになっており、定期的にハウスクリーニングに入ってもらっている。
京都の古い家柄であり、富豪でもある美作家は全力で葵を守っていた。
「私……、どこかで分かっていたの。生まれる前からかもしれない。ずっと遠く、透明でとても綺麗な所で、桜が一面に咲いて舞い散っていた。そこであの人はたった一人でピアノを弾きながら、時人さんだけを想っていたの。自分だってとても悲しくて寂しい癖に、時人さんの事ばっかり気にしてた。私だけがあの人の存在と気持ちに気付けたから、だから私が協力してあげたいって思ったの」
夢の間に何回も葵と美弥は出会っていて、美弥の心の底には葵の気持ちが蓄積されていた。だがそれを解放するきっかけ――、桜の京都という舞台が整わず、美弥はその記憶を幻と思っていたのだ。
幼い頃からの時人への憧れの気持ちは、未熟で青いものだった。美弥が思春期になって恋心というものを知り始めて、やっと葵の狂おしい気持ちが理解できるようになる。
そして今がそれを伝えるべき時なのだ。
「あの人……、葵さん、今どうしてるの? 助けてあげなきゃ。時人さんに会わせてあげなきゃ。時人さん、京都に来てるんだから、桜が咲いてるんだから起こしてあげないと」
美弥は懸命に大人たちに訴える。月也は目の前の不思議な出来事に、最初は呆気に取られていた。だが神秘の世界に翻弄される美弥を美しいと思い、不謹慎ながらも今すぐにでも彼女を描きたいと思ってしまった。
「美弥、……葵に会ってみる?」
そこに昭の細い声がし、美作家の歴史を一番に知る人物が腰を上げた。
「お母さん、大丈夫?」
美来に手伝われて昭は立ち上がり、ゆっくりとした足取りで縁側に出るとそこからサンダルに足を通して歩き出す。
「曾お婆ちゃん、待って!」
美弥も立ち上がり、急いで玄関へ向かう。残りの者達もそれに続いた。
春の日差しが降り注ぐ中、昭はゆっくりと砂利の音をさせて庭の奥にある茶室へと向かう。小さいその背中を美弥は追い、その後に時人や沙夜、誠也、月也、美来、智治が続く。
あの茶室を前に、時人の心は震えていた。
最後に葵の顔を見たのは二十一年前。一華が結婚をした二〇三〇年の時に、姉妹が葵を見る時に立ち会ったのだ。
青白い顔をして髪を長く伸ばし、そんな姿でいてなお葵は美しかった。
あれからずっとこの茶室には訪れておらず、自分の気持ちもひたすらに封じて生きてきた。
――だがもしかしたら、美弥の登場で葵は目覚めるのだろうか?
そんな淡い期待を抱き、時人は昭と美弥が茶室に入るのを見守る。
「時人さん、あなたも当事者なんやし、ちゃんと見たってください。それから月也くん。あなたが憧れていた絵の美女……、多分葵の事やさかい、ちゃんと見とくのがええでしょう。それで葵の事が気に入ったんなら、ええ絵にしたってあげてください」
美来が柔らかく笑い、時人と月也はそっと躙口から茶室に入った。
「あ……っ」
薄暗い茶室いっぱいに艶やかな黒髪を広げるように、三十五年前と変わらない姿で葵が寝ていた。あの頃から不憫に思った昭が食事を運んでいたのか、彼女の側には供え物のように食事の盆が置いてある。桜柄の布団をかけられ、美来が活けた床の間の花に見守られて、三十五年前の悲しみのまま葵は黄泉の眠りについている。
時人と秋月家の家族、そして月也も春の京都を訪れていた。
まだ美弥と付き合っている訳でもない月也は、自分などが一緒に旅行に行っていいのかと恐縮しきっていた。だが時人にぜひにと誘われた上、旅費も出すと言われて厚意に甘えたのだ。
そこまで自分が同行することを時人が拘るのに、何か意味があるのだろうと思ったのもある。加えて沙夜がそうするようにと勧めてきた事もある。
かくして五人は京都へ向かい、月也は時人が予約してくれたホテルに宿泊した。秋月家の宿泊先は、美作の家になっていた。
「沙夜、美弥。誠也さんも。それから時人さんも。よぉ来はったねぇ。桜のええ季節やわ。でも春と秋は特に混むさかい、人が多くてびっくりしたでしょう。……ん? そちらさんは?」
下鴨にある美作の家に行くと美来が出迎え、その後ろには智治もいる。
「こちらは萩野月也さん。芸術大学の学生さんでね、素敵な油絵を描いていらっしゃるの」
沙夜が月也の説明をすると、美来は夫と顔を見合わせてから「美弥の彼氏かしら?」とニコニコしだす。
「ちっ、違うよ」
美弥が慌てて否定するも、勝手に解釈してしまった祖父母は好意的に笑っている。そのまま「上がって」と勧め、時人達は手土産を提げ美作の家に上がったのだった。
居間には九十一歳になる昭も座って待っていた。現在の美作の大奥様である彼女に挨拶をしてから、仁の遺影がある仏間で手を合わせる。
「あれ……」
手土産を渡して両親や月也が色々話している間、美弥が不意に涙を零して目を拭う。
「どうしたの? 美弥」
「わかんない……。あれ……? あれ?」
涙は次から次へととめどなく溢れる。庭にある桜の木が花びらを散らせると、ギュウッと美弥の胸も切なく締め付けられる。
「あの人の……、気持ちが……っ」
ここのところ鎮まっていた美弥の不安定さが、急に大きな波のように押し寄せてきた。
頭の中に幾つもの風景が蘇る。
一面の桜。
そして、その中でたった一人悲しそうにピアノを奏でている女性。
――そうだ、自分は『あの人』と、彼女の想いを伝えると約束をしたんだ。
全員が心配そうに見守る中、美弥は涙の溜まった目で時人を見る。
「ときひと……さん」
「美弥ちゃん?」
美弥の視線の先には、大好きな人が怪訝そうな顔でこちらを見ている。
今年で還暦になるというのに、まだ三十路ほどの若さと美貌。上品で洗練されていて、全体的に色素の薄い、憧れのひと。
どこの時空を生きているのか分からない、謎に包まれた美しいひと。
――彼を求めている。
それは自分ではなくて、ずっとずっと昔から自分の中にいたもう一人の『あの人』。
可哀想な『あの人』の想いを伝えてあげなくては――。
「あのね……っ、時人さんあのね! あの人が、『泣かないで』って。『一人じゃないよ』って……!」
強い意識に支配された美弥は、自分が傍から見れば混乱しているだろう事も、脈絡のない事を言っているという自覚がない。ただ、自分の中にいるもう一人の想いを伝えなければという使命感にかられ、上手に説明できない気持ちを時人に訴える。
「それは、誰が言っているんだい?」
立ち上がって優しく美弥を覗き込むと、彼女は時人を見て、その向こうにある桜を見てまた涙を流した。
「あの人、とってもとっても、桜を見たがっていたの。桜を見ると、この家を見ると、曾お婆ちゃんを見ると、『懐かしい』、『帰りたい』ってあの人思ってるの。それから、とても深い悲しみの底にいて、『ごめんね』って言ってる」
泣きながら誰かの想いを伝える美弥の言葉に、時人は『彼女』と言われれば――あの人以外思い当たらない。
この三十五年間、ずっと想い続けた『彼女』。
生涯『彼女』しか愛さないと誓い、いつか『彼女』と共に桜の京都を歩こうと誓った。
「美弥ちゃん、葵さんの気持ちが分かるのかい……?」
動揺した時人の茶色い目は、期待と動揺、驚きで揺れていた。まだ葵はあの茶室で眠ったきりで、それを美弥が知る筈がない。
時折昭から手紙があっても、「美弥にはあの茶室は使ってない物置だと言ってあります」と書いてあった。
一華と沙夜の姉妹が成人した頃には、「時人さんには人とは違う秘密があるから、仲良くしている自分達が、時人さんを守らないといけない」と美来が言い含めた。そして、「京都には姉妹が幼い頃に世話になった『葵ちゃん』が眠っている」という事も伝えてある。
たった一度だけ、姉妹が子供を産む前に眠っている葵を見せた事があった。
広い美作家の敷地の端にある小さな茶室で、髪を長く伸ばした葵は美しい人形のように昏々と眠りについていた。
その寝姿は確かに幼い日の記憶のままで、一華と沙夜は自分達が暮らす人間の世界とは異なる、世界の不思議に触れたのだ。そして時人の存在と共に、葵も守らないといけない。仁と昭、そして美来にそう言われた。
だから、どう考えても美弥が葵の存在を知る筈がなかったのだ。
表向きに葵は海外で暮らしているという事になっている。
東京の美作所有の、葵が住んでいたマンションはそのままになっており、定期的にハウスクリーニングに入ってもらっている。
京都の古い家柄であり、富豪でもある美作家は全力で葵を守っていた。
「私……、どこかで分かっていたの。生まれる前からかもしれない。ずっと遠く、透明でとても綺麗な所で、桜が一面に咲いて舞い散っていた。そこであの人はたった一人でピアノを弾きながら、時人さんだけを想っていたの。自分だってとても悲しくて寂しい癖に、時人さんの事ばっかり気にしてた。私だけがあの人の存在と気持ちに気付けたから、だから私が協力してあげたいって思ったの」
夢の間に何回も葵と美弥は出会っていて、美弥の心の底には葵の気持ちが蓄積されていた。だがそれを解放するきっかけ――、桜の京都という舞台が整わず、美弥はその記憶を幻と思っていたのだ。
幼い頃からの時人への憧れの気持ちは、未熟で青いものだった。美弥が思春期になって恋心というものを知り始めて、やっと葵の狂おしい気持ちが理解できるようになる。
そして今がそれを伝えるべき時なのだ。
「あの人……、葵さん、今どうしてるの? 助けてあげなきゃ。時人さんに会わせてあげなきゃ。時人さん、京都に来てるんだから、桜が咲いてるんだから起こしてあげないと」
美弥は懸命に大人たちに訴える。月也は目の前の不思議な出来事に、最初は呆気に取られていた。だが神秘の世界に翻弄される美弥を美しいと思い、不謹慎ながらも今すぐにでも彼女を描きたいと思ってしまった。
「美弥、……葵に会ってみる?」
そこに昭の細い声がし、美作家の歴史を一番に知る人物が腰を上げた。
「お母さん、大丈夫?」
美来に手伝われて昭は立ち上がり、ゆっくりとした足取りで縁側に出るとそこからサンダルに足を通して歩き出す。
「曾お婆ちゃん、待って!」
美弥も立ち上がり、急いで玄関へ向かう。残りの者達もそれに続いた。
春の日差しが降り注ぐ中、昭はゆっくりと砂利の音をさせて庭の奥にある茶室へと向かう。小さいその背中を美弥は追い、その後に時人や沙夜、誠也、月也、美来、智治が続く。
あの茶室を前に、時人の心は震えていた。
最後に葵の顔を見たのは二十一年前。一華が結婚をした二〇三〇年の時に、姉妹が葵を見る時に立ち会ったのだ。
青白い顔をして髪を長く伸ばし、そんな姿でいてなお葵は美しかった。
あれからずっとこの茶室には訪れておらず、自分の気持ちもひたすらに封じて生きてきた。
――だがもしかしたら、美弥の登場で葵は目覚めるのだろうか?
そんな淡い期待を抱き、時人は昭と美弥が茶室に入るのを見守る。
「時人さん、あなたも当事者なんやし、ちゃんと見たってください。それから月也くん。あなたが憧れていた絵の美女……、多分葵の事やさかい、ちゃんと見とくのがええでしょう。それで葵の事が気に入ったんなら、ええ絵にしたってあげてください」
美来が柔らかく笑い、時人と月也はそっと躙口から茶室に入った。
「あ……っ」
薄暗い茶室いっぱいに艶やかな黒髪を広げるように、三十五年前と変わらない姿で葵が寝ていた。あの頃から不憫に思った昭が食事を運んでいたのか、彼女の側には供え物のように食事の盆が置いてある。桜柄の布団をかけられ、美来が活けた床の間の花に見守られて、三十五年前の悲しみのまま葵は黄泉の眠りについている。
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