24 / 38
過去4-1
しおりを挟む
二〇一三年 十二月
冬になる頃の葵は、美しい人形のようだった。部屋から動かず、ものも食べず、時折何かを思い出して涙を流す。当然のようにやつれていって、手首など掴むとその細さにドキリとする。
「葵さん、温かいスープを作ってもらいました。飲みませんか?」
「……おおきに」
最近では、葵の部屋に彼女はほとんどおらず、時人の部屋にあるリクライニングソファに座っている事が多い。寒くないようにと高級な毛皮を敷き、眠るように座った葵は、カシミヤのひざ掛けを掛けられていた。
あれほどピアノをしたいと言って東京に残ったのに、あの夏から葵のすべての意欲はデクレッシェンドの如く落ちていた。秋頃まではなんとかピアノを弾いていたものの、最近は三日に一度くらいピアノに触ってから、目を虚ろにして指を止めてしまう。
このままでは病気になってしまうと、時臣と香織も葵を心配していた。だが呼び掛けても「おおきに」としか言わない葵が、時人と離れて京都へ戻る事を実家の両親から言われると、激しい抵抗を見せる。その姿を見ると、誰も何も言えなくなってしまう。
「……すみません。わたし、ご迷惑ですみません……」
他に葵が口にするのは、自分を卑下し傷付ける言葉だった。
「そんなこと思っていませんよ。葵さんがどんな風に弱っていても、俺は葵さんが好きです。あなたは俺の恩人なんです。それだけは忘れないでください。それに、あなたの心の冬がいつまでも明けない訳がないんです。いつか絶対春がきます。そうなったら、一緒に約束の桜を見に行きましょうね」
「はい……。やくそくの、桜。見たいですねぇ」
受け取ったマグカップをぼんやりと持ち、輪郭が細くなってしまった顔で葵は儚く笑う。窓に当たっては溶けてゆく、雪のような笑みだ。
「……俺には、見えますから。あなたが輝くような笑みを浮かべて、満開の桜の下で笑っている姿が」
目の前で葵の生気が流れ出るように失われているような気がして、時人は涙が零れそうになるのをグッと堪える。そして言葉だけでもと、美しい結末を口にする。
「そうですね……。はよ、元気にならなあきませんね」
せっかく手にしたスープのマグカップは一、二回ふぅふぅと冷ましただけで、持っているのも疲れたのか、葵はテーブルの上に置いてしまった。
「ときひとさん、約束の桜……、みましょうね」
そして小さく呟いて、そのまま葵は目を閉じてしまう。
街に出ればクリスマスのメロディーが流れ、金銀のモールや赤と緑のクリスマスカラー。そんな雰囲気で浮かれているというのに、宇佐美の広い屋敷は別の世界のようだった。
その日時人の両親は仕事の繋がりがあるパーティーに出かけ、葵の事は自分が見ているからと時人が家に残った。
目の前で青白い顔をして眠っている葵を見下ろして涙がこみ上げ、時人は静かに部屋を出る。数か月前の秋の日に葵と過ごしたサンテラスに行き、ソファに座って時人は静かに嗚咽した。
今でも葵を好きだという気持ちは変わらない。
彼女の体から立ち上るあの香りに、こんな状況だというのに毎日恍惚としている。
けれど、光に祝福されたような彼女に惹かれた身としては、今にも死んでしまいそうな葵の姿は辛い以外の何物でもない。
「葵さん、もう一度……あなたの笑顔を見たい」
今にも掠れてしまいそうな呟きは、時人が葵に身勝手な妄想を抱いている証拠だった。それを自覚し、恥じているからこそ、時人はただ葵を大切にするしかできない。
しばらく時人はサンテラスで悲しみに浸り、涙が引いた後、目の前に広がる冬の庭を眺めていた。
「葵さん……?」
眠っているはずの葵のもとへ戻ると、リクライニングソファには誰も座っていなかった。
ベージュの膝掛けは床の上に落ち、柔らかなかたちを作っている。
彼女が座っていた毛皮の上に手を当てると、もう彼女の体温は感じられなかった。
「葵さん……!」
時人は早足で部屋を出ると、部屋から部屋へと葵を探し始めた。彼女の部屋にも、ピアノがある部屋にもいない。トイレを確認し、リビングやキッチンに行っても見つからない。
「どうかされたんですか?」
夕食の後片付けをしている家政婦に時人は「少し出てきます」と告げ、玄関のコートフックから乱暴にコートを取り、外へ出た。
「さむ……」
外は思ったよりも冷えていて、雪が降り始めていた。
「あ……!」
玄関から門へ通じる石畳に、雪を溶かすように小さな足跡がついている。それを見た瞬間、ドクッと心臓が嫌な音をたてた。時人は慌てて足跡を追う。
「葵さん!? 葵さん!」
門から外へ出て、左右を見回しても葵の後ろ姿はない。足跡は右へ延びていた。葵の香りもそちらから匂う。時人の実家がある場所は住宅街だが、右手には駅がある。
葵がどこかへ行こうとしているのかと時人は焦り、走り出した。
「葵さん!」
クリスマス時期の高級住宅街は、イルミネーションなどが静かに点灯しているだけで人気が無い。みな都心に食事を楽しみに行っているか、ホームパーティーを楽しんでいるのだろう。静かな住宅街の夜の闇に、葵が吸い込まれてしまったように思え、時人は焦燥に駆られる。人通りのない道を時人の靴音だけが響き、ハッハッという呼吸音と共に白い呼気が流れていった。
「え……?」
駅の前。五本の車道が集う半円のロータリーで、街灯に照らされて白く光るものがあった。地面の上に一部だけ雪が積もったように見えるが、そうではない事はすぐに分かる。
「葵さん!」
それが白いニットとスカート姿の葵だと分かり、時人の頭からザッと血の気が引いた。あまりの絶望とショックに、一瞬耳が遠くなる。
――嘘だ。
頭の中でもう一人の自分が叫んだ気がする。
『あの時』と同じように葵の香りが濃くなっていて、目眩すら起こしかけた。
「葵さ――」
駆け寄る途中で、その『白』の中に『赤』が混じっているのに気付き、時人は一つ瞬きをする。
「……葵さん……?」
はぁ、はぁ、と息を乱した時人の他に、生きている者はいない気がした。すぐ近くにあるコンビニエンスストアの蛍光色でさえも、別世界のものに思える。
「とき……ひと、……さん」
青白い蛍光灯の光に照らされて、葵は口元から赤い糸を一筋垂らして目だけで時人を見上げる。
その体は不自然なポーズをとっていて、道路には強くブレーキを踏んだ跡があった。
「あお……葵さん!!」
薄っすらと積もった雪の上で葵は豊かな黒髪を芸術的な形に広げて横たわり、命の灯を消そうとしていた。
冷たい地面の上で自分はこのまま死んでゆくのだと思っていたら、遠くから大好きな人の声が聞こえた。葵はそれで、もう十分だと思っていた。
「あきませんね……、わたし。なにをやっても……、こうなってまうんですね」
大きな目から透明な雫が流れ落ち、葵の頬から滴り落ちた熱い涙が雪を溶かす。
「葵さん! いま救急車を呼びますから!」
顔を蒼白にしている葵を前に、時人は八月のあの忌まわしい気持ちを思い出していた。
『あれ』だけは二度と味わいたくないと思っていたのに――。
奇跡的に助かった葵なのだから、これから自分が一生守ってゆくのだと思っていた。
また時人の両手から、大事な命がサラサラと音を立てて零れ落ちようとしている。
「スマホ……、あぁ、家だ。あそこのコンビニに助けを呼びに行きますから、少し」
緊張と焦りで舌がもつれそうになっている時人の声を、葵の弱々しい手が制する。そっと重ねられた指先は冷たくなっていて、死人かと思う温度に、時人は背筋を強張らせた。
「もぉ……、ええんです。ときひとさん」
小さな声で呟いて、葵は疲れたように肺の中に残った空気をそっと吐き出す。
「いいって……、何がです?」
外気で冷たくなった時人の頬に、熱い涙の跡が光っていた。その顔も、指先も、体も震えていて、あの夏の日以上に時人は怯えていた。
冬の夜空から白い雪が舞い、自分に降り積もる雪を葵は綺麗だと思っていた。
こちらを覗き込み泣いている時人の顔も、美しいだと思う。
――それももう、終わりにしたい。
「疲れました……。赤ちゃんも守れなくて、ときひとさんのことも幸せにできひん。こんな私、もぉ、ええんです……」
どこか骨が折れているのか、葵はしゃべる度に辛そうに顔を顰める。ヒューヒューと喉から呼吸が漏れ、まだ彼女が生きている証拠に白い息が吐かれては消えてゆく。
「葵さん!」
「わたし、……生まれなきゃよかった……」
――あなたを幸せにできない私なら、いらへんね。
最後に呪いに似た言葉を吐いてから、葵は話すのをやめてしまった。
力の入らない目蓋の上に、フワリと雪が落ちて溶けてゆく。顔の上に雪が次々と落ちていっても、葵はもう抗おうとはしない。
冬になる頃の葵は、美しい人形のようだった。部屋から動かず、ものも食べず、時折何かを思い出して涙を流す。当然のようにやつれていって、手首など掴むとその細さにドキリとする。
「葵さん、温かいスープを作ってもらいました。飲みませんか?」
「……おおきに」
最近では、葵の部屋に彼女はほとんどおらず、時人の部屋にあるリクライニングソファに座っている事が多い。寒くないようにと高級な毛皮を敷き、眠るように座った葵は、カシミヤのひざ掛けを掛けられていた。
あれほどピアノをしたいと言って東京に残ったのに、あの夏から葵のすべての意欲はデクレッシェンドの如く落ちていた。秋頃まではなんとかピアノを弾いていたものの、最近は三日に一度くらいピアノに触ってから、目を虚ろにして指を止めてしまう。
このままでは病気になってしまうと、時臣と香織も葵を心配していた。だが呼び掛けても「おおきに」としか言わない葵が、時人と離れて京都へ戻る事を実家の両親から言われると、激しい抵抗を見せる。その姿を見ると、誰も何も言えなくなってしまう。
「……すみません。わたし、ご迷惑ですみません……」
他に葵が口にするのは、自分を卑下し傷付ける言葉だった。
「そんなこと思っていませんよ。葵さんがどんな風に弱っていても、俺は葵さんが好きです。あなたは俺の恩人なんです。それだけは忘れないでください。それに、あなたの心の冬がいつまでも明けない訳がないんです。いつか絶対春がきます。そうなったら、一緒に約束の桜を見に行きましょうね」
「はい……。やくそくの、桜。見たいですねぇ」
受け取ったマグカップをぼんやりと持ち、輪郭が細くなってしまった顔で葵は儚く笑う。窓に当たっては溶けてゆく、雪のような笑みだ。
「……俺には、見えますから。あなたが輝くような笑みを浮かべて、満開の桜の下で笑っている姿が」
目の前で葵の生気が流れ出るように失われているような気がして、時人は涙が零れそうになるのをグッと堪える。そして言葉だけでもと、美しい結末を口にする。
「そうですね……。はよ、元気にならなあきませんね」
せっかく手にしたスープのマグカップは一、二回ふぅふぅと冷ましただけで、持っているのも疲れたのか、葵はテーブルの上に置いてしまった。
「ときひとさん、約束の桜……、みましょうね」
そして小さく呟いて、そのまま葵は目を閉じてしまう。
街に出ればクリスマスのメロディーが流れ、金銀のモールや赤と緑のクリスマスカラー。そんな雰囲気で浮かれているというのに、宇佐美の広い屋敷は別の世界のようだった。
その日時人の両親は仕事の繋がりがあるパーティーに出かけ、葵の事は自分が見ているからと時人が家に残った。
目の前で青白い顔をして眠っている葵を見下ろして涙がこみ上げ、時人は静かに部屋を出る。数か月前の秋の日に葵と過ごしたサンテラスに行き、ソファに座って時人は静かに嗚咽した。
今でも葵を好きだという気持ちは変わらない。
彼女の体から立ち上るあの香りに、こんな状況だというのに毎日恍惚としている。
けれど、光に祝福されたような彼女に惹かれた身としては、今にも死んでしまいそうな葵の姿は辛い以外の何物でもない。
「葵さん、もう一度……あなたの笑顔を見たい」
今にも掠れてしまいそうな呟きは、時人が葵に身勝手な妄想を抱いている証拠だった。それを自覚し、恥じているからこそ、時人はただ葵を大切にするしかできない。
しばらく時人はサンテラスで悲しみに浸り、涙が引いた後、目の前に広がる冬の庭を眺めていた。
「葵さん……?」
眠っているはずの葵のもとへ戻ると、リクライニングソファには誰も座っていなかった。
ベージュの膝掛けは床の上に落ち、柔らかなかたちを作っている。
彼女が座っていた毛皮の上に手を当てると、もう彼女の体温は感じられなかった。
「葵さん……!」
時人は早足で部屋を出ると、部屋から部屋へと葵を探し始めた。彼女の部屋にも、ピアノがある部屋にもいない。トイレを確認し、リビングやキッチンに行っても見つからない。
「どうかされたんですか?」
夕食の後片付けをしている家政婦に時人は「少し出てきます」と告げ、玄関のコートフックから乱暴にコートを取り、外へ出た。
「さむ……」
外は思ったよりも冷えていて、雪が降り始めていた。
「あ……!」
玄関から門へ通じる石畳に、雪を溶かすように小さな足跡がついている。それを見た瞬間、ドクッと心臓が嫌な音をたてた。時人は慌てて足跡を追う。
「葵さん!? 葵さん!」
門から外へ出て、左右を見回しても葵の後ろ姿はない。足跡は右へ延びていた。葵の香りもそちらから匂う。時人の実家がある場所は住宅街だが、右手には駅がある。
葵がどこかへ行こうとしているのかと時人は焦り、走り出した。
「葵さん!」
クリスマス時期の高級住宅街は、イルミネーションなどが静かに点灯しているだけで人気が無い。みな都心に食事を楽しみに行っているか、ホームパーティーを楽しんでいるのだろう。静かな住宅街の夜の闇に、葵が吸い込まれてしまったように思え、時人は焦燥に駆られる。人通りのない道を時人の靴音だけが響き、ハッハッという呼吸音と共に白い呼気が流れていった。
「え……?」
駅の前。五本の車道が集う半円のロータリーで、街灯に照らされて白く光るものがあった。地面の上に一部だけ雪が積もったように見えるが、そうではない事はすぐに分かる。
「葵さん!」
それが白いニットとスカート姿の葵だと分かり、時人の頭からザッと血の気が引いた。あまりの絶望とショックに、一瞬耳が遠くなる。
――嘘だ。
頭の中でもう一人の自分が叫んだ気がする。
『あの時』と同じように葵の香りが濃くなっていて、目眩すら起こしかけた。
「葵さ――」
駆け寄る途中で、その『白』の中に『赤』が混じっているのに気付き、時人は一つ瞬きをする。
「……葵さん……?」
はぁ、はぁ、と息を乱した時人の他に、生きている者はいない気がした。すぐ近くにあるコンビニエンスストアの蛍光色でさえも、別世界のものに思える。
「とき……ひと、……さん」
青白い蛍光灯の光に照らされて、葵は口元から赤い糸を一筋垂らして目だけで時人を見上げる。
その体は不自然なポーズをとっていて、道路には強くブレーキを踏んだ跡があった。
「あお……葵さん!!」
薄っすらと積もった雪の上で葵は豊かな黒髪を芸術的な形に広げて横たわり、命の灯を消そうとしていた。
冷たい地面の上で自分はこのまま死んでゆくのだと思っていたら、遠くから大好きな人の声が聞こえた。葵はそれで、もう十分だと思っていた。
「あきませんね……、わたし。なにをやっても……、こうなってまうんですね」
大きな目から透明な雫が流れ落ち、葵の頬から滴り落ちた熱い涙が雪を溶かす。
「葵さん! いま救急車を呼びますから!」
顔を蒼白にしている葵を前に、時人は八月のあの忌まわしい気持ちを思い出していた。
『あれ』だけは二度と味わいたくないと思っていたのに――。
奇跡的に助かった葵なのだから、これから自分が一生守ってゆくのだと思っていた。
また時人の両手から、大事な命がサラサラと音を立てて零れ落ちようとしている。
「スマホ……、あぁ、家だ。あそこのコンビニに助けを呼びに行きますから、少し」
緊張と焦りで舌がもつれそうになっている時人の声を、葵の弱々しい手が制する。そっと重ねられた指先は冷たくなっていて、死人かと思う温度に、時人は背筋を強張らせた。
「もぉ……、ええんです。ときひとさん」
小さな声で呟いて、葵は疲れたように肺の中に残った空気をそっと吐き出す。
「いいって……、何がです?」
外気で冷たくなった時人の頬に、熱い涙の跡が光っていた。その顔も、指先も、体も震えていて、あの夏の日以上に時人は怯えていた。
冬の夜空から白い雪が舞い、自分に降り積もる雪を葵は綺麗だと思っていた。
こちらを覗き込み泣いている時人の顔も、美しいだと思う。
――それももう、終わりにしたい。
「疲れました……。赤ちゃんも守れなくて、ときひとさんのことも幸せにできひん。こんな私、もぉ、ええんです……」
どこか骨が折れているのか、葵はしゃべる度に辛そうに顔を顰める。ヒューヒューと喉から呼吸が漏れ、まだ彼女が生きている証拠に白い息が吐かれては消えてゆく。
「葵さん!」
「わたし、……生まれなきゃよかった……」
――あなたを幸せにできない私なら、いらへんね。
最後に呪いに似た言葉を吐いてから、葵は話すのをやめてしまった。
力の入らない目蓋の上に、フワリと雪が落ちて溶けてゆく。顔の上に雪が次々と落ちていっても、葵はもう抗おうとはしない。
0
お気に入りに追加
97
あなたにおすすめの小説
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
わたしは夫のことを、愛していないのかもしれない
鈴宮(すずみや)
恋愛
孤児院出身のアルマは、一年前、幼馴染のヴェルナーと夫婦になった。明るくて優しいヴェルナーは、日々アルマに愛を囁き、彼女のことをとても大事にしている。
しかしアルマは、ある日を境に、ヴェルナーから甘ったるい香りが漂うことに気づく。
その香りは、彼女が勤める診療所の、とある患者と同じもので――――?
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる