17 / 75
悪魔
しおりを挟む
――臭い。痛い。力が強い。
――嫌だ。なんでこんなおじさんに……。
――どうしてこうなるの? ただでさえお父さんを喪って不幸のどん底にいるのに。
――お母さんの理不尽な要求にも耐え続けて、いい子で生きてきたはずなのに。
――どうして私ばっかりこんな目に遭うの!?
全力で岩淵に抵抗している間、彼の爪がかすって春佳の顔に傷を作った。
腕も脚も乱暴に掴まれ、押さえつけられ、心と体が悲鳴を上げている。
「んんんっ、――――あぁあああっ!」
渾身の力で男の体を押し戻そうとしたが、体勢的に不利だ。
「大人しくしろっ!」
とうとう、業を煮やした岩淵が怒声を上げ、春佳の頬を厚い掌で叩いてきた。
「うぐっ」
頬というより顔全体に強い衝撃が加わったかと思うと、口の中を切ったのか、口内で変な味が広がった。
春佳が怯んだその一瞬に、岩淵は少女を殴った嗜虐的な喜びに表情を彩らせた。
「あぁ、可愛いなぁ。春佳ちゃん、可愛いなぁ」
彼は何かに取り憑かれたかのように「可愛い」を繰り返し、春佳を叩いてはその反応を見て、喜色の籠もった笑みを浮かべる。
「やめ……っ、うっ、――――うぅっ」
こんな男に絶対に屈服したくないと思うものの、春佳は痛みにまったく耐性がなかった。
岩淵とて日常的に暴力をふるっている人ではないと思うが、生まれつき男と女は体格差がある。
女がどれだけ鍛えても、本気で取っ組み合えば男に負ける。
まして春佳のようなごく普通の女性が暴力に遭えば、たやすく心が折れてしまう。
叩かれているうちに顔が熱を持って熱くなり、醜く腫れ上がっているように感じられる。
逆らう気力を失って春佳が脱力した時には、彼女は頬を腫らし、鼻血を垂らして唇も切っていた。
何度も叩かれて耳は遠くなり、岩淵の声も自分の立てる物音も、不愉快な膜を通じてボワボワと聞こえているように感じる。
「手間とらせやがって」
悪辣に笑った岩淵は、力任せに春佳のパジャマの襟元を引っ張った。
途端、プラスチック製のボタンがはじけ飛び、室内の照明を受けてキャンディのようにまろく光る。
ぐったりとした春佳は、宙に飛ぶボタンをぼんやりと見るしかできなかった。
晒された若い乳房に、岩淵の節くれ立った太く短い指が食い込む。
生まれて初めて男性に胸を揉まれたが、痛みと屈辱しか感じられない。
春佳はレイプされようとする現実から逃れるためか、友達が自慢げに彼氏とセックスした時の事を話していたのを思い出した。
(おっぱい揉まれても、ちっとも気持ちよくない。世の中の恋人はこんな事をして喜んでるの? 馬鹿みたい)
茫洋とした視界の中、岩淵が下卑た笑みを浮かべて、自分の服を脱がそうとしているのが見える。
ニタニタと笑って口端からは涎を垂れかけ、まるで悪魔のようだ。
同時に、自分は〝強者〟に対して何も抵抗できない〝弱者〟なのだと痛感した。
処女を大切に守ってきた訳ではない。
好きな人すらいないから、処女の貴重性などほぼ意識していない。
そもそも、自分が性行為をするなんて考えていなかった。
ただ、いつかするのだとしたら、似た年齢の若い男性だろうとは思っていた。
――なのに、どうしてこんなクソジジイに。
損なわれる、という感覚も今は抱いていない。
自分は〝強者〟に食い散らかされる時間をただ待つしかできないと、本能で分かっていた。
逆らえばまた叩かれるし、痛い思いはしたくない。
セックスをするのにどれぐらい時間が必要なのか分からないが、我慢していればそのうち終わるだろう。
「へへっ……、綺麗だなぁ。春佳ちゃん」
完全に全裸にされ、岩淵も服をすべて脱いだ時だった――。
何かが視界に入り込んだかと思うと、ドスーンッと大きな音を立てて岩淵がベッドから落ちた。
そのあと、岩淵が物凄い悲鳴を上げ、鈍い音が立て続けに聞こえる。
――嫌だ。なんでこんなおじさんに……。
――どうしてこうなるの? ただでさえお父さんを喪って不幸のどん底にいるのに。
――お母さんの理不尽な要求にも耐え続けて、いい子で生きてきたはずなのに。
――どうして私ばっかりこんな目に遭うの!?
全力で岩淵に抵抗している間、彼の爪がかすって春佳の顔に傷を作った。
腕も脚も乱暴に掴まれ、押さえつけられ、心と体が悲鳴を上げている。
「んんんっ、――――あぁあああっ!」
渾身の力で男の体を押し戻そうとしたが、体勢的に不利だ。
「大人しくしろっ!」
とうとう、業を煮やした岩淵が怒声を上げ、春佳の頬を厚い掌で叩いてきた。
「うぐっ」
頬というより顔全体に強い衝撃が加わったかと思うと、口の中を切ったのか、口内で変な味が広がった。
春佳が怯んだその一瞬に、岩淵は少女を殴った嗜虐的な喜びに表情を彩らせた。
「あぁ、可愛いなぁ。春佳ちゃん、可愛いなぁ」
彼は何かに取り憑かれたかのように「可愛い」を繰り返し、春佳を叩いてはその反応を見て、喜色の籠もった笑みを浮かべる。
「やめ……っ、うっ、――――うぅっ」
こんな男に絶対に屈服したくないと思うものの、春佳は痛みにまったく耐性がなかった。
岩淵とて日常的に暴力をふるっている人ではないと思うが、生まれつき男と女は体格差がある。
女がどれだけ鍛えても、本気で取っ組み合えば男に負ける。
まして春佳のようなごく普通の女性が暴力に遭えば、たやすく心が折れてしまう。
叩かれているうちに顔が熱を持って熱くなり、醜く腫れ上がっているように感じられる。
逆らう気力を失って春佳が脱力した時には、彼女は頬を腫らし、鼻血を垂らして唇も切っていた。
何度も叩かれて耳は遠くなり、岩淵の声も自分の立てる物音も、不愉快な膜を通じてボワボワと聞こえているように感じる。
「手間とらせやがって」
悪辣に笑った岩淵は、力任せに春佳のパジャマの襟元を引っ張った。
途端、プラスチック製のボタンがはじけ飛び、室内の照明を受けてキャンディのようにまろく光る。
ぐったりとした春佳は、宙に飛ぶボタンをぼんやりと見るしかできなかった。
晒された若い乳房に、岩淵の節くれ立った太く短い指が食い込む。
生まれて初めて男性に胸を揉まれたが、痛みと屈辱しか感じられない。
春佳はレイプされようとする現実から逃れるためか、友達が自慢げに彼氏とセックスした時の事を話していたのを思い出した。
(おっぱい揉まれても、ちっとも気持ちよくない。世の中の恋人はこんな事をして喜んでるの? 馬鹿みたい)
茫洋とした視界の中、岩淵が下卑た笑みを浮かべて、自分の服を脱がそうとしているのが見える。
ニタニタと笑って口端からは涎を垂れかけ、まるで悪魔のようだ。
同時に、自分は〝強者〟に対して何も抵抗できない〝弱者〟なのだと痛感した。
処女を大切に守ってきた訳ではない。
好きな人すらいないから、処女の貴重性などほぼ意識していない。
そもそも、自分が性行為をするなんて考えていなかった。
ただ、いつかするのだとしたら、似た年齢の若い男性だろうとは思っていた。
――なのに、どうしてこんなクソジジイに。
損なわれる、という感覚も今は抱いていない。
自分は〝強者〟に食い散らかされる時間をただ待つしかできないと、本能で分かっていた。
逆らえばまた叩かれるし、痛い思いはしたくない。
セックスをするのにどれぐらい時間が必要なのか分からないが、我慢していればそのうち終わるだろう。
「へへっ……、綺麗だなぁ。春佳ちゃん」
完全に全裸にされ、岩淵も服をすべて脱いだ時だった――。
何かが視界に入り込んだかと思うと、ドスーンッと大きな音を立てて岩淵がベッドから落ちた。
そのあと、岩淵が物凄い悲鳴を上げ、鈍い音が立て続けに聞こえる。
3
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
男友達を家に入れたら催眠術とおもちゃで責められ調教されちゃう話
mian
恋愛
気づいたら両手両足を固定されている。
クリトリスにはローター、膣には20センチ弱はある薄ピンクの鉤型が入っている。
友達だと思ってたのに、催眠術をかけられ体が敏感になって容赦なく何度もイかされる。気づけば彼なしではイけない体に作り変えられる。SM調教物語。
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
【R-18】悪役令嬢ですが、罠に嵌まって張型つき木馬に跨がる事になりました!
臣桜
恋愛
悪役令嬢エトラは、王女と聖女とお茶会をしたあと、真っ白な空間にいた。
そこには張型のついた木馬があり『ご自由に跨がってください。絶頂すれば元の世界に戻れます』の文字が……。
※ムーンライトノベルズ様にも重複投稿しています
※表紙はニジジャーニーで生成しました
【R18】淫乱メイドは今日も乱れる
ねんごろ
恋愛
ご主人様のお屋敷にお仕えするメイドの私は、乱れるしかない運命なのです。
毎日のように訪ねてくるご主人様のご友人は、私を……
※性的な表現が多分にあるのでご注意ください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる