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必死だったんだよ ☆

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「……必死だったんだよ。怪しまれないように回を重ねて飲みに連れてって、やっと抱けたと思ったけど、いつ振られるか分からなくてビビってた。デートして気を引いて、抱いて夢中にさせようとしてるうちに、……俺が夕貴に溺れていった」

 思ってもみない告白を聞き、私は目を見開く。

「……初耳だった……。秀弥さん、いつもクールだから……」

 彼は言葉が足りなかった事を自覚したようで、視線を落として溜め息をつく。

「……最初は体の相性が良くて夢中になったけど、今は夕貴のすべてが好きだ。ちょっと気弱そうなところも、何かに怯えている目も、俺が何をしても受け入れて気持ちよくなってくれるところも好きで堪らない。……俺には夕貴しかいない。……好きだ。……だから、結婚してくれ」

 秀弥さんはようやく私に告白して、プロポーズしてくれた。

 遅すぎる。……けど、それが彼らしいといえば彼らしい。

 私は秀弥さんの言葉足らずなところも全部好きだ。

 だからこういう形でもいい。

「こちらこそ、宜しく」

 セックスの時は〝ご主人様〟な彼が、しどろもどろになっているのがおかしいし、愛おしい。

 私は甘酸っぱい気持ちで頷いた。



**



「んー……、あぁ、あー……」

 ダークカラーで統一された寝室に、ヴィィィィィ……というモーター音と私の間延びした声が響く。

 私は目隠しをされ、秀弥さんの家のベッドで仰向けになっていた。

 脚はM字に開かれて、手首と足首を枷で繋がれている。

 秀弥さんは緊縛を好むけれど、私の体に負担のないアイテムを選んでいた。

 いつも私の手足を縛める枷は、ファーでできた物なので痛くならない。

「夕貴、気持ちいいか?」

「あぁ、あ、あー……、ん、あぁ、んんん……っ」

 私の両乳首にはローターが付けられていて、前後の穴にはバイブとアナルプラグが入っている。

 さらに秀弥さんは、私の膨れ上がった淫芽にローターを押しつけていた。

「ひ、――ぁ、あぁあ、あーっ、ん、んぁ、あ……っ、あぁああっ」

 私は脚を大きく開いたまま、ビクビクッと体を震わせ、腰をくねらせる。

「綺麗だ、夕貴」

 そう言う秀弥さんは、スマホで私の痴態を撮影している。

 彼はプレイしながらの撮影も好んでいた。

 絶対に誰にも見せないと約束してくれたし、仮に別れたとしてもリベンジポルノに使う人じゃない。

 秀弥さんは会社では人気者だけれど、プライベートでは少し性格が悪く、性嗜好がねじ曲がっている。

 でも常識的な人だし、価値観もまともで、約束は守るしルールをちゃんと守る人だ。

『アブノーマルな分、他人がルールから逸脱するのを許せないのかもしれないな』

 いつだったか、彼は酒の席で自嘲気味に言っていた。

 だから私は秀弥さんとの〝約束〟を無条件で信じている。

 それに裏の顔も含めて彼が大好きで、結婚したいと思っている。

 秀弥さんには元カノがいたけど、彼が道具を使ったりSMチックな事をしたり、後ろでのセックス、スパンキング、果ては撮影したいと聞くと、泣いて嫌がり逃げていったそうだ。

 でも、私は違う。

 私は秀弥さんが教えてくれた事で気持ちよくなれる。

 プロポーズされた時は秀弥さんのほうが私の事が好き、みたいに言ってたけど、私のほうがずっと彼を好きだ。

 彼が求めるなら何だってするし、他の女性に勝つためならどんなプレイにも応えてみせる。

「は、……っあぁ、あ、あーっ、ん、あぁあ、あーっ!」

 幸せに満たされた私は、愛潮をプシャッと漏らして体を弛緩させる。

「ちゃんと達けたな。いい子だ」

 秀弥さんは肉芽に押し当てていたローターを離し、蜜壷からバイブを抜いてスイッチを切る。

 いつもなら道具で達かされたあとに挿入されるけど、アナルプラグと乳首のローターはそのままだ。

 道具を使い始めた頃は強すぎる快楽にすぐへばっていたけれど、最近は慣れてきて貪欲に気持ちよさを愉しんでいる自分がいる。

「夕貴、大丈夫か?」

 目隠しが外され、間接照明に照らされた寝室の天井が見える。

「まぶし……」

 秀弥さんは、しょぼしょぼと目を瞬かせる私の頭を優しく撫でる。

「手、痛くないか?」

 彼はそう言って枷も取り、私はやっと楽な体勢に戻る事ができた。
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