【R-18・連載版】部長と私の秘め事

臣桜

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四人でのお泊まり会 編

明日の話

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「尊さん、そこまで和食がいいんですか?」

「いやー、単なるゲームだよ。『どっちにする?』って話をしてて、キッチンには和食でも洋食でも、中村さんに食べさせたいあれこれがあるんだとさ。『じゃあ、ゲームで決めよう』っていう事になり、なぜかじゃんけんとかじゃなく、俺がトランプタワーを作れるかどうかになった。……あいつは今頃、優雅に風呂の中だよ」

「涼さん、意外と自由人なんですね」

「意外とじゃなくて、見たままだろ」

 尊さんは横を向いて溜め息をつく。

「どっちでもいいなら、ここまで頑張る事ないのに」

 恵は離れた所に座り、クピクピと水を飲む。

「だよなー、俺も思う。でもチャレンジしてみたくて」

「おっ、いいね! やってみる精神!」

 私は尊さんの横に座って彼がトランプを積んでいく様子を見守る。

「朱里もやってみるか?」

「え? 私、がさつだし、絶対崩すからいいですよ。せっかく尊さんが積んだの、壊したくない」

「だから和食にそれほどこだわりはないし、試しにできるかどうかやってるだけだって。ほれ」

 そう言って、尊さんは私にカードを二枚持たせる。

(セレブってなんのトランプ使ってるんだろ)

 不意にそう思ってカードを見てみると、そこにはボッテガヴェネタと書かれてあった。

(ひい)

「横に置くだけなら難易度が低めだと思うから、そこの三つの山の上に、トランプを二枚横に置いてみ」

「ええ~……」

 私はドキドキしながら立ちあがり、呼吸を鎮めてトランプタワーに向き合う。

 そして顔を近づけてそーっとトランプを重ねようとした時――。

「朱里、胸」

 恵の声がしたかと思うと、まだトランプに触ってもいないのに、バシャッと土台がすべて崩れてしまった。

 私は両手にトランプを持ったままポカーンとし、尊さんも目を丸くしている。

「ああ……」

 恵は顔に手を当て、天井を仰いでいる。

「……また乳大暴れか」

 尊さんはクスクス笑い、そのうちツボに入ったのか突っ伏して体を震わせ始めた。

「ごっ、ごめんなさい!」

「いいって」

「パン大好きだから! パン!」

「朱里はさっき、パンツ食べてたでしょ」

 恵の突っ込みを聞き、尊さんは「助けてくれ」とヒイヒイ笑い続けた。





 やがて涼さんがお風呂から上がり、寝る前に明日の話をする。

「朱里ちゃんは尊が事情を知っているからいいとして、恵ちゃんは上司に連絡した?」

「はい」

「もしかしたら家政婦さんが来るかもしれないけど、特に手伝ったり、変に気を遣わなくていいから。ホテルのルームキーパーと同じ」

 私と恵はコクンと頷く。

「一日家にいると暇かもしれないけど、心配だからなるべく外には出ないでほしいかな。マンション内のパブリックスペースの探検とかならいいけど」

「大丈夫です。漫画読んでます。インドア大好き」

「私も、一日ぐらい全然平気です」

 私と恵は口々に言い、心配するなと伝える。

「……なんか、拾いたての猫をお留守番させる気持ちに近くて……」

 涼さんが言い、尊さんが「分かる」と笑い崩れる。

「高級クッションの綿を出したりしませんよ」

「テーブルの上にある物、全部落としたりしません」

「「やりそう!」」

 猫仕草を言うと、二人はドッと笑った。

「昼食はデリバリーをとってもいいし、冷蔵庫の中にある物を食べてもいいよ。あっ、家政婦さんに何か作ってもらうように言っておくか」

 そう言って涼さんはスマホでトトト……とメッセージを打ち始める。
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