【R-18・連載版】部長と私の秘め事

臣桜

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彼と彼女のその後 編

残る部屋

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 パジャマを着たあと、高級ドライヤーで髪を乾かすと、あっという間に乾いてトゥルントゥルンになった。

「すげー……」

 私は鏡の前に立って、髪を手でサラッ、サラッとする。

 しばらくしてハッと我に返り、「篠宮さんみたいだから『すげー』って言うのやめよ」と自分に言い聞かせた。





「お先にいただきました」

 少し緊張して書斎から顔を覗かせると、黒縁眼鏡を掛けた涼さんがこちらを見た。

「ああ、もう上がった?」

 ハイキマシタ、イケメンメガネー!

「…………っ」

 不意打ちで眼鏡姿を見せないでほしい。心臓に悪い。

(イケメンってどんなアイテムをつけてもイケメンなんだな。鼻眼鏡つけてやりたい)

 私は悔し紛れにパーティーアイテムをつけた涼さんを想像するけれど、それはそれで面白いのでアリかもしれない。

 むしろ、彼ならジョークグッズを使って全力で笑かしてきそうで、油断できない。

 涼さんは椅子を回転させてこちらを見ると、腕組みして尋ねてくる。

「一つ確認し忘れていた事があるんだけど、一緒に寝ても大丈夫? それとも慣れるまでは別の部屋にしておく?」

 そう言われ、少し意外だったので私は呆けた顔をしてしまった。

 ここまでお膳立てされたので、てっきり一緒に寝るものと思っていた。

 強引に事を運ばないのは彼らしいけれど、いざという時に引かれると、肩透かしを食らった気持ちになる。

 お風呂に入ったのだって、抱かれる前提……とは言わないけど、半分ぐらいはある程度の覚悟をしての事だった。

 私はどう反応したらいいか分からず、スンッ……として沈黙する。

 さっきは涼さんがハニワ顔をしていると思ったけど、多分いまの私もハニワ顔になっている。

 すると彼は小首を傾げて微笑んだ。

「一緒に寝ても大丈夫そう?」

「……う、うう……」

 誘導されてるなぁ……。

「一応、恵ちゃんの部屋にしようと思っている所、案内しておこうか」

 そう言って涼さんは立ちあがり、書斎を出るとスタスタと歩き、玄関前のギャラリーホールを抜けて奥へ向かう。

「こっちは客室が三つあるんだ。あと、トイレが三つと風呂が二つ、洗面所一つ」

「なんでこんな家に一人で住んでるんですか」

 私は思わずいつもの調子で突っ込む。

 涼さんは歩きながら、通りすがりのドアを軽く開け、中を紹介してくれる。

 ギャラリーホールを抜けてすぐに収納やトイレがあり、サブの玄関まであった。

 廊下を進んで右手側にはランドリールームに洗面所、トイレとお風呂が本当にツーセットある。アホじゃなかろか。

 左手には十畳の部屋、十畳弱の部屋、一番奥に十一畳の部屋があり、その部屋にはウォークインクローゼットもあった。

「俺の生活圏から一番遠いんだけど、この部屋が一番広いし、ウォークインクローゼットもあるから便利かなと思って」

 同じ家の中なのに、生活圏という言葉が出てくるとは思わなかった。

 どの部屋もバルコニーに面していて、一つ目と三番目の部屋はお客さん用のベッドは置いてあるけれど、割とガランとしていてすべての部屋をきちんと使ってなさそうだ。

「尊が泊まりに来る時は、二番目の部屋に入り浸ってるかな。あそこは漫画部屋にしてるから、好きなだけ漫画を読んでるんだよ」

「へぇー……、意外……」

「子供時代に抑圧された生活を送っていたから、ろくに漫画を読んでいなかったみたいでね。大学生時代に『面白いよ』って漫画を貸したら、興味を持ったみたいだ」

「ちなみにどんなジャンルなのか、見てみてもいいですか?」

「どうぞ」

 二人で一つ前の部屋に戻ると、中には本棚がびっしりある。

 本が日焼けしないようにカーテンを閉めている他、地震があった時に倒れないようにしっかり固定されてある。

「へぇー……」

 図書館みたいに入り組んだ本棚を見ていると、幅広いジャンルの本が置かれてある。

 少年漫画に青年漫画、意外と少女漫画もあるし、ラノベもある他、一般小説にミステリー小説、時代小説、難しそうな専門書もあれば、ファッション関係の本、投資関係の本、その他雑多とした趣味関係の本や雑誌もある。

「趣味の幅が凄い!」

 芸人さんみたいな口調で言うと、涼さんがクスクス笑った。
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