【R-18・連載版】部長と私の秘め事

臣桜

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二日目の夜の葛藤 編

気遣いができる人

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(……女って不便だな)

 そんなふうに思ってしまう私は、恋愛に向いていないのかもしれない。

(私はどんな付き合いをしたいんだろう)

 長ソファに仰向けになった私は、溜め息をついて目を閉じた。

 でも涼さんの事を考えると混乱してしまいそうなので、今回のランドとシーを振り返る事にした。

 以前にも朱里と遊びに来た事はあったけど、皆が憧れるラビティーのホテルに泊まれるなんて思わなかった。

 ひとえに朱里をだだ甘やかしている篠宮さんのお陰だから、あとでお礼を言わないと。

 ……金額の事を考えたら失礼だけど、ただでさえ高いラビティー関連を四人分となったら、軽く三桁万円は超えている気がする。

(しかもスイートだしな……)

 篠宮さんの住まいは物凄いセレブマンションだし、何百万という金額でも大して痛くないんだろう。

 朱里は無事婚約指輪、結婚指輪が決まったと言っていて、気に入ったデザインの物に満足してたようだった。

 けれど篠宮さんは海外ラグジュアリーブランドの何百万もする物を買うつもりでいたのか、『ちょっと肩透かしを食らったような顔をしてた』とも言っていた。

 私からすれば何十万っていう指輪でも相当高価だけど、篠宮さんレベルの人はその辺がバグってるんだろうな。

(……涼さんはそれ以上なのかな)

 比べたら失礼だけれど、彼は三日月不動産の専務と言っていたけれど、さらにその母体である三日月グループは、傘下の会社を合計したら軽く篠宮フーズを上回る。

 毎日、テレビでもネットでも、街を歩いたら銀行や不動産、色んなところで三日月の文字を見る。

(そんな所の御曹司に目を付けられたとか……、やっぱりバグなのでは?)

 考えながらふくらはぎを揉んでいると、「やっぱり疲れたんだね」と涼さんの声がした。

 ハッとして目を開けると、風呂上がりの涼さんが私を見下ろしている。

「うわっ! あのっ!? いでっ!」

 脚を上げ、反動をつけて起きようとした時、足をテーブルにぶつけてしまった。

「大丈夫?」

 心配した涼さんが私の足をとろうとしたので、とっさに足を上げてしまった。

 靴は脱いでいる……とかの問題ではなく、一日歩いて蒸れた靴下の足だからこそ、触られたくない。

 なら、とっととお風呂に入れって感じだけど、それもまた緊張する。

「……だいっ、……じょうぶ、です……」

 私は歯を食いしばり、涙目になりながら答える。

「ふくらはぎ、揉んであげようか?」

「いっ、いや……っ……、その、一日遊んで汗掻いてるので!」

「ああ、女子は気になっちゃうよね。またイヤフォンしてるから、お風呂行っておいで」

 こうやって話していると、物分かりが良くて「大人だなぁ……」と感じる。

 私は何かにつけて、子供みたいに焦ってしまっているのに。

 涼さんはミニバーからミネラルウォーターのペットボトルを出し、ゴクゴクと飲み始める。

「……じゃ、じゃあ……、行ってきます」

 私は変にかしこまりつつ、バスタオルに下着を挟み、パジャマを持ってそそくさとバスルームに入った。

 浴室内はほんのりと湯気が残っていて、涼さんがお風呂に入った直後だと分かる。

 彼は私のためにお湯を貯めてくれたみたいだけど、気遣ってか自分では浸かっていないようだった。

 加えて、使ったシャワーブースの中も、可能な限りバスタオルで拭いてあるし、排水口も綺麗。加えて洗面所の使い方も綺麗だ。

(こんなに気遣いができる人、モテて当然でしょ……)

 溜め息をついた私は、涼さんが美女とホテルに泊まった時の事を妄想し……、「あああ!」と小さくうめいてから両手で自分の頬を叩き、何も考えないようにして髪と体を洗う事にした。





 ドライヤーを掛けてから鏡の前で変な所がないか確認し、緊張しながらバスルームを出る。

 すると涼さんはバスルーム側のベッドの上に座り、耳にイヤフォンをつけたままタブレット端末を見ていた。

「……い、いただきました」

 ペコッと会釈をした私は、ぎくしゃくとした足取りで窓際のベッドに乗り、モソモソ……と潜る。

「あれ、もう寝ちゃうの?」

 するとイヤフォンを取った涼さんに尋ねられ、私は前を向いたまま固まる。
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