420 / 445
ラビティーシー 編
ミラマーレのスイートルーム
しおりを挟む
テーブルには、ミラマーレのロゴが入ったエコバッグが二つ置かれてあった。嬉しい。
アンティークな木製のキャビネットに収まったテレビを見られるよう、脚をのばして座れるクリーム色の一人掛けの椅子がある他、窓辺にはさらに朱色の椅子が三脚、丸テーブルを囲んでいた。
丸テーブルの上にはウェルカムフルーツの器に入ったさくらんぼに、丸ごとのオレンジとキウイ、ミニマカロンがある。
尊さんいわく、丸ごとフルーツはフロントにお願いするとカットしてもらえるらしい。
卓上花は持ち帰ってもいいみたいで、専用の袋も用意されてあった。
スイートの宿泊記念として黒いボックスが置かれてあり、中にはラビティーキャラのトランプ、色違いのラゲージタグ――旅行鞄につける名札があった。
壁際にはコーヒーメーカーなどが置かれた台があり、ミラマーレのロゴが描かれた白いティーカップが置かれてある他、黒いボックスの中には紅茶のティーバックなどもある。
台の下には例によって無料のミネラルウォーター四本が収まった冷蔵庫があり、隣にはグラスも置かれてあった。
壁に掛かっている絵画はいずれも航海をテーマにしていて、船乗りスタイルのラビティーや仲間たちの絵もあって嬉しい。
さらに隣室はベッドルームになっていて、柄の入った鮮やかなブルーのフットスローが掛かった白いリネンは糊がピシッと利いている。
白い枕が二つ並んだ手前にカラフルな円筒状のクッションもあり、複雑な形をしたヘッドボードの裏、壁際には天井からカーテンのような布が掛かっていて、お姫様みたいな気持ちだ。
ベッドに寝た状態で見られるよう、足元の壁にはテレビがあり、窓からはポルト・ヴィータが臨める。
例によってベッドサイドの引き出しには、持ち帰っていいポストカードがあり、万が一の時の懐中電灯もある。
寝室の奥にはバスルームに続くガラスの引き戸があり、その横にあるクローゼットにはバスローブがハンガーに掛かり、足元にはスリッパが置かれてある。
バスルームは広々としていて、入り口近くの洗面所よりもっと広い洗面所があり、金縁の鏡が二つ、洗面ボウルも二つある。
アメニティやハンドソープが置かれている他、メイク用のスタンド型拡大鏡も置かれてあった。
歯ブラシはラビティーが描かれた箱に入っていてアガるし、シャンプー類や石鹸、ボディソープやローションはフェラガモだ。
驚く事に洗面所にもテレビがあって、多分ファミリーで来た時にお子さんが飽きないように……とか配慮されているんだなと思った。
奥にはバスタブがあり、入って右手にはシャワーブースとお手洗いがあった。
「凄い……」
私はあちこちパシャパシャ写真を撮り、動画も撮ったあと溜め息をつく。
その間、尊さんはフロントに電話を掛けてフルーツのカットをお願いしていた。
「朱里、先に風呂入るか?」
「うーん……、疲れたので、顔を落としてから少し横になります」
「そっか。じゃあ朱里が休んでる間に、先に入らせてもらうかな」
「どうぞどうぞ」
スマホを充電した私は、尊さんに「窓側のベッドを使っていいですか?」と確認してからゴロンと転がる。
尊さんはバスタブにお湯を貯め始め、私と同様にベッドに座るとリモコンでテレビをつけた。
「朱里」
「はい?」
早くもムニャムニャしながら返事をすると、尊さんが甘い声で言う。
「そっち行っていいか?」
「……どうぞ」
コロンと転がってスペースを空けると、尊さんは隣に寝そべって頭を撫でてきた。
「可愛い秘書は労らないとな」
「うう……、急に戻ってくる現実」
「ははっ、悪い。夢の国の間は現実を忘れないとな」
尊さんは軽く笑ってから、チュッと私の額にキスをしてくる。
「あっ、……ちょ、ちょっと待って……。一日遊んだからテカリとか気になりますし、先に顔を落としてきます」
どれだけ婚約者が板に付いてきたとしても、まだまだ乙女でいたい。
私は疲れを忘れてサッと立ちあがると、荷物からクレンジングや洗顔、基礎化粧品一式を出して洗面所に向かう。
尊さんのマンションの洗面所も広いけれど、外出先だと思うと気分が上がる。
(今は五月。……六月には就任パーティーがあって、七月には凜さんに会いに行くのか)
そう思うとやる事が目白押しだ。
(八月のお盆休みってどこか行くのかな)
先の予定を聞いておこうと思った私は、クルクルと優しくクレンジングしながら尊さんに尋ねた。
「お盆休みって予定ありますか?」
アンティークな木製のキャビネットに収まったテレビを見られるよう、脚をのばして座れるクリーム色の一人掛けの椅子がある他、窓辺にはさらに朱色の椅子が三脚、丸テーブルを囲んでいた。
丸テーブルの上にはウェルカムフルーツの器に入ったさくらんぼに、丸ごとのオレンジとキウイ、ミニマカロンがある。
尊さんいわく、丸ごとフルーツはフロントにお願いするとカットしてもらえるらしい。
卓上花は持ち帰ってもいいみたいで、専用の袋も用意されてあった。
スイートの宿泊記念として黒いボックスが置かれてあり、中にはラビティーキャラのトランプ、色違いのラゲージタグ――旅行鞄につける名札があった。
壁際にはコーヒーメーカーなどが置かれた台があり、ミラマーレのロゴが描かれた白いティーカップが置かれてある他、黒いボックスの中には紅茶のティーバックなどもある。
台の下には例によって無料のミネラルウォーター四本が収まった冷蔵庫があり、隣にはグラスも置かれてあった。
壁に掛かっている絵画はいずれも航海をテーマにしていて、船乗りスタイルのラビティーや仲間たちの絵もあって嬉しい。
さらに隣室はベッドルームになっていて、柄の入った鮮やかなブルーのフットスローが掛かった白いリネンは糊がピシッと利いている。
白い枕が二つ並んだ手前にカラフルな円筒状のクッションもあり、複雑な形をしたヘッドボードの裏、壁際には天井からカーテンのような布が掛かっていて、お姫様みたいな気持ちだ。
ベッドに寝た状態で見られるよう、足元の壁にはテレビがあり、窓からはポルト・ヴィータが臨める。
例によってベッドサイドの引き出しには、持ち帰っていいポストカードがあり、万が一の時の懐中電灯もある。
寝室の奥にはバスルームに続くガラスの引き戸があり、その横にあるクローゼットにはバスローブがハンガーに掛かり、足元にはスリッパが置かれてある。
バスルームは広々としていて、入り口近くの洗面所よりもっと広い洗面所があり、金縁の鏡が二つ、洗面ボウルも二つある。
アメニティやハンドソープが置かれている他、メイク用のスタンド型拡大鏡も置かれてあった。
歯ブラシはラビティーが描かれた箱に入っていてアガるし、シャンプー類や石鹸、ボディソープやローションはフェラガモだ。
驚く事に洗面所にもテレビがあって、多分ファミリーで来た時にお子さんが飽きないように……とか配慮されているんだなと思った。
奥にはバスタブがあり、入って右手にはシャワーブースとお手洗いがあった。
「凄い……」
私はあちこちパシャパシャ写真を撮り、動画も撮ったあと溜め息をつく。
その間、尊さんはフロントに電話を掛けてフルーツのカットをお願いしていた。
「朱里、先に風呂入るか?」
「うーん……、疲れたので、顔を落としてから少し横になります」
「そっか。じゃあ朱里が休んでる間に、先に入らせてもらうかな」
「どうぞどうぞ」
スマホを充電した私は、尊さんに「窓側のベッドを使っていいですか?」と確認してからゴロンと転がる。
尊さんはバスタブにお湯を貯め始め、私と同様にベッドに座るとリモコンでテレビをつけた。
「朱里」
「はい?」
早くもムニャムニャしながら返事をすると、尊さんが甘い声で言う。
「そっち行っていいか?」
「……どうぞ」
コロンと転がってスペースを空けると、尊さんは隣に寝そべって頭を撫でてきた。
「可愛い秘書は労らないとな」
「うう……、急に戻ってくる現実」
「ははっ、悪い。夢の国の間は現実を忘れないとな」
尊さんは軽く笑ってから、チュッと私の額にキスをしてくる。
「あっ、……ちょ、ちょっと待って……。一日遊んだからテカリとか気になりますし、先に顔を落としてきます」
どれだけ婚約者が板に付いてきたとしても、まだまだ乙女でいたい。
私は疲れを忘れてサッと立ちあがると、荷物からクレンジングや洗顔、基礎化粧品一式を出して洗面所に向かう。
尊さんのマンションの洗面所も広いけれど、外出先だと思うと気分が上がる。
(今は五月。……六月には就任パーティーがあって、七月には凜さんに会いに行くのか)
そう思うとやる事が目白押しだ。
(八月のお盆休みってどこか行くのかな)
先の予定を聞いておこうと思った私は、クルクルと優しくクレンジングしながら尊さんに尋ねた。
「お盆休みって予定ありますか?」
137
お気に入りに追加
1,197
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
『逃れられない淫らな三角関係』番外編 ヘルプラインを活用せよ!
臣桜
恋愛
『逃れられない淫らな三角関係』の番外編です。
やりとりのある特定の読者さまに向けた番外編(小冊子)です。
他にも色々あるのですが、差し障りのなさそうなものなので公開します。
(他の番外編は、リアルブランド名とかを出してしまっている配慮していないものなので、ここに載せるかは検討中)
ナイトプールで熱い夜
狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…?
この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる