410 / 454
親友の恋 編
ガゼボで記念撮影
しおりを挟む
レストランを出たあと、私たちは一旦外に出た。
「ねぇ、恵。せっかくだから涼さんと記念写真撮りなよ。初デートでランドってなかなかないよ? このゴージャスなホテルに泊まれた記念に、思いっきり楽しまないと」
「う……、うん……」
恵はまだモジモジしていたけれど、ノリノリになった涼さんが例のガゼボに向かうと、私と尊さんが二人を撮影する。
いわずもがな、尊さんが涼さんに、私が恵にデータを渡す算段だ。
「わ……っ、わぁっ」
恵は涼さんに肩を抱かれ、ガッチガチになっている。それもまた、いとかわゆし。
「はい、三、二、一」
私は明るく声を掛け、今日結ばれたばかりの二人を撮る。
ライトアップしたお城みたいなホテルの前、恵と涼さんはとても幸せそうだ。
(良かったね、恵)
いつも私の相談に乗ってばかりの彼女が、やっと自分の幸せを求めてくれて本当に良かった。
嫌な事もあっただろうけど、これからは「私なんて」と一歩引いた所に身を置かないで、堂々と一人の女性として幸せを求めてほしい。
涼さんはきっと、恵が求める事ぐらい簡単に叶えてくれる人だから。
「二人とも、目線こっち」
次は尊さんが言い、微笑みながら二人を写真に収める。
きっと尊さんも、ずっとフリーだった涼さんがやっと重い腰を上げた事に安心してるかな。
そう思いながら、私は写真撮影が終わったあとの事を考えていた。
これが終わったら部屋に戻って寝るだけだけど、いきなり二人を同室にしたら荒療治すぎるだろうか。
(部屋に戻ったら恵に相談してみよう)
私は「うん」と頷き、涼さんに「ファンサお願いしまーす!」と手を振る。
すると涼さんは一旦屈んだかと思うと、軽々と恵をお姫様抱っこした。
「ぎゃああ……!」
「ナイス涼さーん!」
私は予想外のファンサに大喜びし、パシャパシャパシャッと二人の姿を連写する。
「キース! キース!」
調子に乗ってはやし立てると、恵が真っ赤になって怒った。
「朱里、明日絶叫マシーンで隣に乗ってあげないよ!?」
「いいよ! 尊さんに隣に乗ってもらうから!」
生き生きとして言い返すと、彼女は墓穴を掘ったと自覚したのか「ああああ……」と低い声で呻いた。
「……で、キスしないのか?」
スマホを構えた尊さんが言い、涼さんがニコニコして尋ねる。
「いい? 恵ちゃん」
「~~~~~っ、こっ、こういう所で人に見られながら初めては嫌です!」
確かに、それは一理ある。
「じゃあ、ほっぺで」
めげない涼さんは姫抱っこをしたままチュッと恵の頬にキスをし、彼女はピキーンと固まる。
「シャッターチャンス!」
その瞬間、私はまたパシャシャシャシャシャ! と連写した。
撮影タイムが終わったあと、涼さんは固まったままの恵を地面に下ろし、私たちに笑いかけてくる。
「どうせだし、二人の写真も撮ってやるよ」
彼はポケットからスマホを出すと、私たちにガゼボを譲る。
とりあえず中に入ったものの、いざ被写体になると照れてしまう。
「……えへへ」
尊さんの顔を見て照れ笑いすると、彼は「思い出を作るんだろ?」と言って涼さんのように私を姫抱っこした。
「わ……っ」
びっくりしてとっさに彼の首に抱きついた時、反撃と言わんばかりに恵が連写してきた。
私は思わず声を上げて笑い、照れながらも尊さんと見つめ合ったあと、彼の頬を両手で包んでそっとキスをした。
部屋に戻ったあと、私は「けーい」と彼女を後ろから抱き締めた。
「…………今日は冷やかし禁止。自分でも一杯一杯だから」
彼女は溜め息をついて言い、私は「うんうん」と頷く。
「冷やかさないけど、思い切って涼さんと同じ部屋で寝てみるってどう?」
尋ねた瞬間、恵は見事に固まった。
「ねぇ、恵。せっかくだから涼さんと記念写真撮りなよ。初デートでランドってなかなかないよ? このゴージャスなホテルに泊まれた記念に、思いっきり楽しまないと」
「う……、うん……」
恵はまだモジモジしていたけれど、ノリノリになった涼さんが例のガゼボに向かうと、私と尊さんが二人を撮影する。
いわずもがな、尊さんが涼さんに、私が恵にデータを渡す算段だ。
「わ……っ、わぁっ」
恵は涼さんに肩を抱かれ、ガッチガチになっている。それもまた、いとかわゆし。
「はい、三、二、一」
私は明るく声を掛け、今日結ばれたばかりの二人を撮る。
ライトアップしたお城みたいなホテルの前、恵と涼さんはとても幸せそうだ。
(良かったね、恵)
いつも私の相談に乗ってばかりの彼女が、やっと自分の幸せを求めてくれて本当に良かった。
嫌な事もあっただろうけど、これからは「私なんて」と一歩引いた所に身を置かないで、堂々と一人の女性として幸せを求めてほしい。
涼さんはきっと、恵が求める事ぐらい簡単に叶えてくれる人だから。
「二人とも、目線こっち」
次は尊さんが言い、微笑みながら二人を写真に収める。
きっと尊さんも、ずっとフリーだった涼さんがやっと重い腰を上げた事に安心してるかな。
そう思いながら、私は写真撮影が終わったあとの事を考えていた。
これが終わったら部屋に戻って寝るだけだけど、いきなり二人を同室にしたら荒療治すぎるだろうか。
(部屋に戻ったら恵に相談してみよう)
私は「うん」と頷き、涼さんに「ファンサお願いしまーす!」と手を振る。
すると涼さんは一旦屈んだかと思うと、軽々と恵をお姫様抱っこした。
「ぎゃああ……!」
「ナイス涼さーん!」
私は予想外のファンサに大喜びし、パシャパシャパシャッと二人の姿を連写する。
「キース! キース!」
調子に乗ってはやし立てると、恵が真っ赤になって怒った。
「朱里、明日絶叫マシーンで隣に乗ってあげないよ!?」
「いいよ! 尊さんに隣に乗ってもらうから!」
生き生きとして言い返すと、彼女は墓穴を掘ったと自覚したのか「ああああ……」と低い声で呻いた。
「……で、キスしないのか?」
スマホを構えた尊さんが言い、涼さんがニコニコして尋ねる。
「いい? 恵ちゃん」
「~~~~~っ、こっ、こういう所で人に見られながら初めては嫌です!」
確かに、それは一理ある。
「じゃあ、ほっぺで」
めげない涼さんは姫抱っこをしたままチュッと恵の頬にキスをし、彼女はピキーンと固まる。
「シャッターチャンス!」
その瞬間、私はまたパシャシャシャシャシャ! と連写した。
撮影タイムが終わったあと、涼さんは固まったままの恵を地面に下ろし、私たちに笑いかけてくる。
「どうせだし、二人の写真も撮ってやるよ」
彼はポケットからスマホを出すと、私たちにガゼボを譲る。
とりあえず中に入ったものの、いざ被写体になると照れてしまう。
「……えへへ」
尊さんの顔を見て照れ笑いすると、彼は「思い出を作るんだろ?」と言って涼さんのように私を姫抱っこした。
「わ……っ」
びっくりしてとっさに彼の首に抱きついた時、反撃と言わんばかりに恵が連写してきた。
私は思わず声を上げて笑い、照れながらも尊さんと見つめ合ったあと、彼の頬を両手で包んでそっとキスをした。
部屋に戻ったあと、私は「けーい」と彼女を後ろから抱き締めた。
「…………今日は冷やかし禁止。自分でも一杯一杯だから」
彼女は溜め息をついて言い、私は「うんうん」と頷く。
「冷やかさないけど、思い切って涼さんと同じ部屋で寝てみるってどう?」
尋ねた瞬間、恵は見事に固まった。
156
お気に入りに追加
1,216
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ナイトプールで熱い夜
狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…?
この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。
地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~
あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……
『逃れられない淫らな三角関係』番外編 ヘルプラインを活用せよ!
臣桜
恋愛
『逃れられない淫らな三角関係』の番外編です。
やりとりのある特定の読者さまに向けた番外編(小冊子)です。
他にも色々あるのですが、差し障りのなさそうなものなので公開します。
(他の番外編は、リアルブランド名とかを出してしまっている配慮していないものなので、ここに載せるかは検討中)
一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。
青花美来
恋愛
あの日、バーで出会ったのは勤務先の会社の副社長だった。
その肩書きに恐れをなして逃げた朝。
もう関わらない。そう決めたのに。
それから一ヶ月後。
「鮎原さん、ですよね?」
「……鮎原さん。お腹の赤ちゃん、産んでくれませんか」
「僕と、結婚してくれませんか」
あの一夜から、溺愛が始まりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる