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帰宅して 編

キスマーク ☆

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「むー……」

 布越しに乳首をキュッと摘ままれた私は、赤面して不満げに彼を睨む。

「おっ? 怒ったか? やんのかステップするか?」

「ぶふぅっ」

 言われた途端、ネットの動画で見たネコチャンを思い出し、脱力して笑い崩れてしまう。

 そのタイミングで尊さんが脇腹をくすぐってきて、私は涙を流して笑い転げた。

「んひひひひひひははははははは!!」

「生きのいい猫だ」

「引っ掻かれても知りませんよ!」

 くすぐったくてキレ気味になった私を見て、尊さんはクスクス笑いながら手を止める。

 引き際を弁えているミコだ……。

 涙目になった私は起き上がり、尊さんの膝の上に向かい合わせに座ると、彼のTシャツをバッと捲って胸元にキスをした。

「ん……っ」

 下手くそなりに前歯を立てて思いきりチューッと吸ったあと、酸欠になってハァハァし、二度目にとりかかる。

「おいおい、どんだけ必死なんだよ」

 尊さんは苦笑いするけれど、両手で彼の乳首をクリクリ弄るとピタッと黙った。

「……おい。……っと……」

 私は逆に尊さんを押し倒し、彼のTシャツを限界まで捲り上げ吸い続け、「はぁ……っ」と息を吐いてから、成果キスマークを見た。

「すげぇドヤ顔」

 尊さんは私の顔を見て笑い、ほっぺをモチモチと弄んでくる。

「酸欠で顔が真っ赤だぞ」

「三日は消えない痕をつけたので、そのあいだ鏡を見ては私を思いだしてください」

「イケメンかよ」

 突っ込んだ尊さんは私を抱き上げると、悠々とベッドルームに向かう。

「えっ、ちょっと……」

「お前とじゃれてるだけでも勃って駄目だわ」

 私を大きなベッドの上に下ろしたあと、尊さんはTシャツを脱いで鍛え上げられた体を晒す。

 今までは半分ふざけながらのいちゃつきだったけれど、本格的にベッドに移って脱ぎ始めると、もうごまかしがきかなくなって無言になってしまった。

 尊さんは私のロンTを脱がし、ナイトブラもスルリと取り去る。

 そして少しのあいだ私の体を見下ろしてから、ボソッと呟いた。

「あの花が飾ってる前ですればよかった」

「……嫉妬ですか?」

 尊さんがそこまで拘っていると思わず、なんだか不思議な気分になる。

 顔よし、性格よし、社会的地位よしの速水尊が、いくら『アンド・ジン』の御曹司とはいえ、ただの部下のプレゼントに心を掻き乱されているとは。

 尋ねると、尊さんはサッと頬を赤らめて答えた。

「嫉妬してるよ。あいつは嫉妬されて当然の男だし、朱里がなびいても仕方ないと思ってる。…………でも渡さないけどな」

「ウウウウ~~~~!」

 拗ねミコ可愛い!!

 もだもだと体を揺さぶると、尊さんは私の両手をシーツの上に縫い止め、さっき私がしたようにデコルテの辺りにきつく吸い付いてきた。

「ん……っ」

 前歯を押し当てられてほんの少しの痛みを感じ、私は小さくうめく。

 尊さんは充分に吸ったあと、息を吐いて顔を上げ、色濃くついたキスマークを見て征服感に駆られた表情をした。

 髪を掻き上げて笑うその顔がとても妖艶で、私は真っ赤になって下腹を疼かせてしまう。

「かなり強く吸ったから、五日はもつかな」

「ちょ……っ、来週のお仕事に響くじゃないですか。秘書としての初出勤なのに」

「胸元出さなきゃいいだろ。普通にブラウスとか着てれば隠れるし」

「そうですけど……。仕事してるのに服の下にはキスマークがあるとか、エッチだ」

 赤面して言うと、尊さんはニヤッと笑って言う。

「会社ではイチャつかないけど、家でイチャついたのが体に残ってるって、趣があって良くないか?」

「いとエモし」

「……まぁ、そういう意味だろうけど」

 尊さんは横を向いてクックッと笑い、ショーパンごと私の下着を脱がせた。

「……めちゃくちゃ綺麗だな」

 彼は私の裸身を見下ろし、髪を撫でて額や頬にキスをし、首筋、鎖骨、胸元、お腹……とキスをする場所を移動させていく。

 全身にくまなくキスし終わったあと、尊さんは私の胸を優しく揉み、乳首をチロチロと舐めてきた。

「……明日、お互い出かけるんですから、あんまり沢山したら駄目ですよ?」

「ん、分かってる」

 返事をしつつ、尊さんはチュパチュパと音を立てて私の乳首を吸った。
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