【R-18・連載版】部長と私の秘め事

臣桜

文字の大きさ
308 / 778
二次会 編

その他の女性の事を教えてください!

しおりを挟む
「はい、上村さん」

 涼さんが先生のように私を指す。

「宮本さんの事は知っているんですが、その他の女性の事を教えてください!」

 ハキハキと言った私の言葉を聞いて、尊さんは「ぶふっ」とお酒に噎せる。

「朱里」

 彼はおしぼりで口元を拭きつつ、げんなりした顔をする。

「だって気になるじゃないですか。前なんて『バーでちょっと飲んで話したら、お持ち帰りできる自信がある』って調子こいた事言ってましたし、パパ活みたいな付き合いもしてたんですよね?」

 酔っぱらった私は尊さんの過去の発言を口にし、得意げにニヤニヤ笑う。

 尊さんはもう言い返す気力もなく、ソファに背中を預けて脚を組み、お酒を飲んでいた。

「あー、それなー」

 涼さんは心当たりがあるという言い方をし、ニヤッと笑って尊さんの表情を確認する。

「聞いても妬かない?」

「ウェルダンで妬くと思いますけど、気になってるの放置するほうも気持ち悪いですし」

「『焼く』の意味が違ぇよ……。食いしん坊が……」

 尊さんはボソッと呟く。

「んまー、褒められた付き合いはしてなかったな。俺が知ってるのは大学生以降だけど、顔がいいもんだから告白されて付き合って、相手の望み通りデートやら贈り物やらして、ホテルにも行って。……でも心の底には朱里ちゃんがいる訳だろ? 女ってそういうのピンとくるんだよな。『私の事を見てない』って言ってフラれて、また告白されて……以下同文」

『心の底には朱里ちゃんがいる』を聞いて、私はむふーと笑ってしまう。

「こら、嬉しそうにするな」

 尊さんが私の肩をツンツンつついてくる。

「でも俺たちが大学生当時って、二十歳として朱里ちゃんは中学生だろ? それはちょっと引いたけど。……でもこいつの報われない人生を知ると、たった一つの成功体験だったんだろうな、とも思ったよ。それがずっと胸の奥に残って救いになるのは理解できる。こいつも『中学生、高校生は恋愛対象に見られない』と言っていたから、ある意味安心はしてたけど」

「んー……」

 あの橋で〝忍〟に助けてもらった私は、完全に恋に落ちていた。

 それを思うとまるっきり相手にされてなかったんだな、と思って少し寂しくなる。

 けど大人になった今、〝正しい大人の在り方〟ではあったんだろう。

 あの時連絡先を教えてくれて、やり取りをして遠距離恋愛みたいになっていたら、きっと私はとても救われたと思うし、尊さんだって恵を通して私の情報を得るなんて回りくどい方法を採らなくて済んだと思う。

 それでも尊さんは、私には年相応の恋愛をしてほしいと望んだし、自分の大きな感情を押しつけようとしなかった。

 物凄く孤独で、当時は認識していなかった

 妹さんと同じ名前だっていう事も、深く傷付いた彼は理解していなかった。

 でも本能的に『守りたい』と思ってくれたんだろう。

 私はキュッと尊さんの両手を握った。

「ん?」

 こちらを見て微笑んだ彼が、愛おしい。

 ――私はずっと、この人に守られていた。

 つい先日だって、昭人と決着をつける時に守ってくれた。

 亮平や美奈歩の時も、分かり合えるよう架け橋になってくれたし、ツンツンした私の心を丸く穏やかにさせてくれた。

「最高じゃないです? 過去に尊さんに惹かれた女性が得られなかった心を、いま私が独占状態ですよ? スクープ取り放題です」

「記者か」

 尊さんは呆れて言い、私のほっぺをムニュ、と摘まむ。

「おはようからおやすみまで、尊さんの暮らしを見つめる朱里です」

 某会社風に言うと、彼は笑い崩れる。

 ……と、カウンターに座っている女性二人が、こちらをチラチラ見てくるのに気づいてしまった。

 イケメンが二人もいるもんだから、声を掛けたがってるんだろうな。

 だが渡さん。

 私は性格が悪いので、わざとギュッと尊さんと腕を組む。

「そうだ、涼さんもし良かったら、私の友達と一緒にランド行きませんか?」

「え?」

 彼は一瞬呆けた顔で声を漏らし、腕を組んで考える。

「ランドって言っても……」

「数合わせです。私は尊さんとも行きたいけど、親友とも行きたい。でも三人ってデンジャラスな人数なので、できればもう一人」

 キッパリと言うと、彼の警戒心が緩んだみたいだ。

「別にいいよ。日帰り?」

 そう言われて、言葉に詰まってしまった。

 確かに泊まりになったら、恵も涼さんも初対面の異性と宿泊する事になる。それはちょっと……。
しおりを挟む
感想 2,452

あなたにおすすめの小説

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

半日だけの…。貴方が私を忘れても

アズやっこ
恋愛
貴方が私を忘れても私が貴方の分まで覚えてる。 今の貴方が私を愛していなくても、 騎士ではなくても、 足が動かなくて車椅子生活になっても、 騎士だった貴方の姿を、 優しい貴方を、 私を愛してくれた事を、 例え貴方が記憶を失っても私だけは覚えてる。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ ゆるゆる設定です。  ❈ 男性は記憶がなくなり忘れます。  ❈ 車椅子生活です。

今さらやり直しは出来ません

mock
恋愛
3年付き合った斉藤翔平からプロポーズを受けれるかもと心弾ませた小泉彩だったが、当日仕事でどうしても行けないと断りのメールが入り意気消沈してしまう。 落胆しつつ帰る道中、送り主である彼が見知らぬ女性と歩く姿を目撃し、いてもたってもいられず後を追うと二人はさっきまで自身が待っていたホテルへと入っていく。 そんなある日、夢に出てきた高木健人との再会を果たした彩の運命は少しずつ変わっていき……

2番目の1番【完】

綾崎オトイ
恋愛
結婚して3年目。 騎士である彼は王女様の護衛騎士で、王女様のことを何よりも誰よりも大事にしていて支えていてお護りしている。 それこそが彼の誇りで彼の幸せで、だから、私は彼の1番にはなれない。 王女様には私は勝てない。 結婚3年目の夫に祝われない誕生日に起こった事件で限界がきてしまった彼女と、彼女の存在と献身が当たり前になってしまっていたバカ真面目で忠誠心の厚い騎士の不器用な想いの話。 ※ざまぁ要素は皆無です。旦那様最低、と思われる方いるかもですがそのまま結ばれますので苦手な方はお戻りいただけると嬉しいです 自己満全開の作品で個人の趣味を詰め込んで殴り書きしているため、地雷多めです。苦手な方はそっとお戻りください。 批判・中傷等、作者の執筆意欲削られそうなものは遠慮なく削除させていただきます…

苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」 母に紹介され、なにかの間違いだと思った。 だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。 それだけでもかなりな不安案件なのに。 私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。 「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」 なーんて義父になる人が言い出して。 結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。 前途多難な同居生活。 相変わらず専務はなに考えているかわからない。 ……かと思えば。 「兄妹ならするだろ、これくらい」 当たり前のように落とされる、額へのキス。 いったい、どうなってんのー!? 三ツ森涼夏  24歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務 背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。 小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。 たまにその頑張りが空回りすることも? 恋愛、苦手というより、嫌い。 淋しい、をちゃんと言えずにきた人。 × 八雲仁 30歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』専務 背が高く、眼鏡のイケメン。 ただし、いつも無表情。 集中すると周りが見えなくなる。 そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。 小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。 ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!? ***** 千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』 ***** 表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101

地味な私を捨てた元婚約者にざまぁ返し!私の才能に惚れたハイスペ社長にスカウトされ溺愛されてます

久遠翠
恋愛
「君は、可愛げがない。いつも数字しか見ていないじゃないか」 大手商社に勤める地味なOL・相沢美月は、エリートの婚約者・高遠彰から突然婚約破棄を告げられる。 彼の心変わりと社内での孤立に傷つき、退職を選んだ美月。 しかし、彼らは知らなかった。彼女には、IT業界で“K”という名で知られる伝説的なデータアナリストという、もう一つの顔があったことを。 失意の中、足を運んだ交流会で美月が出会ったのは、急成長中のIT企業「ホライゾン・テクノロジーズ」の若き社長・一条蓮。 彼女が何気なく口にした市場分析の鋭さに衝撃を受けた蓮は、すぐさま彼女を破格の条件でスカウトする。 「君のその目で、俺と未来を見てほしい」──。 蓮の情熱に心を動かされ、新たな一歩を踏み出した美月は、その才能を遺憾なく発揮していく。 地味なOLから、誰もが注目するキャリアウーマンへ。 そして、仕事のパートナーである蓮の、真っ直ぐで誠実な愛情に、凍てついていた心は次第に溶かされていく。 これは、才能というガラスの靴を見出された、一人の女性のシンデレラストーリー。 数字の奥に隠された真実を見抜く彼女が、本当の愛と幸せを掴むまでの、最高にドラマチックな逆転ラブストーリー。

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

処理中です...