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北海道旅行 編

露天風呂、入りましょうか

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「もーっ!」

 私は笑い崩れ、あえてピースしてみせる。

「いいね、もっと笑顔ちょうだい」

 速水カメラマンに言われ、私はクスクス笑いながら新鮮なお刺身を堪能した。

 そのあと温物が出たあと、あつあつに熱された石で富良野牛を焼き、ぶっとい焼きタラバガニの脚を二本食べた。

 さらにアサリと鱈のみぞれ鍋、土鍋で炊かれた炊き込みご飯を完食したあと、デザートが出て食事が終わった。





「もう……、……もう、食べられないです……。先輩」

 私は部屋のソファにばったりと倒れ込み、お腹をさする。

「さすがに満腹だな……。てか、悪い。ケーキ美味いからオススメしたけど、これじゃ食えないな」

「あっ、そっか。ケーキあるんだった。食べます」

 真顔で起き上がると、尊さんはコントみたいにガクッとずっこけた。

「マジか」

「甘い物は別です。そしてお高めのケーキだったし、美味しいうちにいただかないと」

 そう言って、私はケーキの箱を開ける。

「あ、ちょい待ち。ラウンジからフォーク借りてくるわ」

 尊さんはスッと立ちあがると部屋から出て、すぐにフォークを手に戻ってきた。

「ありがとうございます。気合い! いただきます!」

 私はパンッと胸の前で手を合わせ、今自分はお腹が空いているのだと言い聞かせてケーキを食べ始めた。

「おいふぃ……。めちゃめちゃおいふぃ……」

「……本当に幸せな奴だよ、お前は……。そんで胃の頑丈さがすげぇわ」

 尊さんはしみじみ言い、コーヒーメーカーで二人分のコーヒーを用意する。

 しばらくして、私は完全に行動不能になり、ソファに座ったまま動けなくなった。

「……風呂、あとにするか?」

「……三十分後……」

「OK」

 尊さんはポンポンと私の頭を撫で、テレビをつけるとくつろぎ始めた。

「美味かったか?」

「最高です。我が生涯に一片の悔い無し」

「生きてくれ」

 尊さんは笑い崩れ、私のお腹をプヨプヨとつつく。

「やめてください。腹ハラです」

「消化がよくなるツボを押してやってんだよ」

「も~」

 私はうなりながら体を起こし、彼の腰を跨いで向かい合わせに座る。

「尊さんなんてこうなんですからね。乳首当てゲーーーム! ヤッ!」

 言ったあと、私は見当をつけて両手の人差し指で尊さんの乳首(とおぼしき所)を押した。

「…………ハズレ。今度は俺の番な」

 ニヤッと笑った尊さんは、スッと両手の人差し指を構えて真剣な顔をする。

「ハッ」

 そして気合いと共に、作務衣越しに私の乳首をピンポイントで押してきた。

「んっ」

 まさか一発で当てられると思わなかった私は思わず声を漏らし、びっくりして目を見開いたあと、ジワジワ赤面していく。

「……なんで分かるの……」

「何回この乳首の世話になったと思ってんだよ」

「……お世話してない……」

「現実でも、妄想の中でもあれこれ」

「エッチ」

「だからドスケベだって」

 微笑んだあと、尊さんは作務衣のズボン越しに私の秘部を探ってくる。

「じゃあ、こっちも当てちゃおっかな」

「ダメ。駄目、駄目。尊さんはこういうのやらせたら凄いから、絶対ホールインワンする」

「ぶふっ、……色気ねぇな」

 私の言い方がおかしかったのか、尊さんは横を向いて噴き出す。

 お互い、いつスイッチオンしていいのか、タイミングを計っている。

 本当はお腹の苦しさは少し前に回復していて、もう露天風呂に入っても大丈夫だった。

(あんまり時間ないんだった)

 思い出した私は勇気を出して言った。

「……露天風呂、入りましょうか」
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