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元彼に会う前に 編
今後の目標
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ふ……と目を覚ましたのは、どうやら深夜らしかった。
「ん……」
小さくうめいて身じろぎすると、尊さんが私の頭を撫でてくれる。
「目、覚めたか? 水飲んどけ」
「んぅ……」
疲れと眠さでフニャフニャになった私は、尊さんに抱き起こされて、なんとかヘッドボードに身を預ける。
用意しておいたのか、彼はベッドサイドに置いてあったミネラルウォーターのペットボトルを手にし、キャップを開けて「ん」と渡してくれた。
「持てるか?」
「……大丈夫……」
もにゃ……と返事をしてから、私はクピクピと水を飲み、満足してから「ん」と尊さんにペットボトルを返す。
それから「んー」とうなって、モソモソと羽布団の中に潜っていく。
「お前って眠たい時、行動が動物じみてるよな。……可愛いけど」
「うー」
うなって尊さんの手を引っ張ると、彼はクスクス笑って「分かったって」と言い、ペットボトルを置いて布団に潜ってきた。
「おやすみ」
そして抱き締めて額にキスをしてくれたので、私は安心してまた眠りの淵に意識を手放した。
**
惰眠を貪っていると、いい匂いがして目が覚めた。
「うう……」
私はうなりながら目を擦り、しばらくゴロゴロしてから緩慢に起き上がる。
ベッドサイドに置いてあるスマートスピーカーを見ると、時刻は八時過ぎだ。
(思ったより早い時間に目が覚めてしまった。……というか、今日は昭人戦か)
頭はまだボーッとしているけれど、少しずつ今日しなければならない事を思いだしていく。
同時に父の死を覚えていない事も思いだしたけれど、その問題は先送りにしておこうと思った。
(昨晩は焦って不安になったけど、後手に回して損する内容じゃないし、ゆっくりでいいか。確かに分からないのは気になるけど、何事もタイミングがあるのかもしれない)
これから私がすべき事は、短期目標ではまず昭人との話し合いを成功させる事。
何を話したいのか知らないけど、ちゃんと聞いて満足させてから、もう二度と関わらないよう約束してもらい、今度こそ綺麗に別れる。
中期目標では仕事のプロジェクトもあるけど、尊さんのお祖父さんにご挨拶するのと、ちえりさん達とも顔を合わせなければならない。
もういっちょ大事なのは、結婚式の準備。
(結婚式の準備が本格的に始まったら、洒落にならないぐらい忙しくなるっていうしな。尊さんが言うように、大切な予定が沢山あるのにメンタル崩していられない。彼だってこれから副社長になって慣れるまで大変な思いをするだろうし、心配の種は少ないほうがいい。ぶっちゃけ、子供が生まれて落ち着いた頃に、お母さんに『そういえば……』って聞いても全然遅くない)
考えているうちに、寝ぼけていた頭は段々クリアになっていく。
「んしょ」
ベッドから下りてフカフカのラグの上に立つと、私はゆっくり首を回し、肩や腕も回す。
昨晩セックスのあとに気絶してしまったあとは覚えていないけど、上半身は裸だけど下着は穿かされていた。
(めちゃんこ恥ずかしい)
真顔で照れるけど、体液でドロドロになったのを放置しないのは彼らしい。
「フェリシア、カーテンを開けて」
スマートスピーカーに命令すると、《分かりました》と返事があり、カーテンが自動で開いていった。
「起きたか」
その時、足音がすると尊さんが寝室を覗き込んできた。
「オハヨウゴザイマス……」
上半身は裸のままなので、私は両手で胸元を隠してボソボソと挨拶する。
「今さら隠すなよ」
「朝陽を浴びながら堂々とおっぱい晒したくないんです」
「いいじゃねぇか。ポジティブな変態になろうぜ」
「なにそれ!」
思わずブハッと噴きだした時、彼に「ほれ」とルームウェアを差しだされた。
「ん……」
小さくうめいて身じろぎすると、尊さんが私の頭を撫でてくれる。
「目、覚めたか? 水飲んどけ」
「んぅ……」
疲れと眠さでフニャフニャになった私は、尊さんに抱き起こされて、なんとかヘッドボードに身を預ける。
用意しておいたのか、彼はベッドサイドに置いてあったミネラルウォーターのペットボトルを手にし、キャップを開けて「ん」と渡してくれた。
「持てるか?」
「……大丈夫……」
もにゃ……と返事をしてから、私はクピクピと水を飲み、満足してから「ん」と尊さんにペットボトルを返す。
それから「んー」とうなって、モソモソと羽布団の中に潜っていく。
「お前って眠たい時、行動が動物じみてるよな。……可愛いけど」
「うー」
うなって尊さんの手を引っ張ると、彼はクスクス笑って「分かったって」と言い、ペットボトルを置いて布団に潜ってきた。
「おやすみ」
そして抱き締めて額にキスをしてくれたので、私は安心してまた眠りの淵に意識を手放した。
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惰眠を貪っていると、いい匂いがして目が覚めた。
「うう……」
私はうなりながら目を擦り、しばらくゴロゴロしてから緩慢に起き上がる。
ベッドサイドに置いてあるスマートスピーカーを見ると、時刻は八時過ぎだ。
(思ったより早い時間に目が覚めてしまった。……というか、今日は昭人戦か)
頭はまだボーッとしているけれど、少しずつ今日しなければならない事を思いだしていく。
同時に父の死を覚えていない事も思いだしたけれど、その問題は先送りにしておこうと思った。
(昨晩は焦って不安になったけど、後手に回して損する内容じゃないし、ゆっくりでいいか。確かに分からないのは気になるけど、何事もタイミングがあるのかもしれない)
これから私がすべき事は、短期目標ではまず昭人との話し合いを成功させる事。
何を話したいのか知らないけど、ちゃんと聞いて満足させてから、もう二度と関わらないよう約束してもらい、今度こそ綺麗に別れる。
中期目標では仕事のプロジェクトもあるけど、尊さんのお祖父さんにご挨拶するのと、ちえりさん達とも顔を合わせなければならない。
もういっちょ大事なのは、結婚式の準備。
(結婚式の準備が本格的に始まったら、洒落にならないぐらい忙しくなるっていうしな。尊さんが言うように、大切な予定が沢山あるのにメンタル崩していられない。彼だってこれから副社長になって慣れるまで大変な思いをするだろうし、心配の種は少ないほうがいい。ぶっちゃけ、子供が生まれて落ち着いた頃に、お母さんに『そういえば……』って聞いても全然遅くない)
考えているうちに、寝ぼけていた頭は段々クリアになっていく。
「んしょ」
ベッドから下りてフカフカのラグの上に立つと、私はゆっくり首を回し、肩や腕も回す。
昨晩セックスのあとに気絶してしまったあとは覚えていないけど、上半身は裸だけど下着は穿かされていた。
(めちゃんこ恥ずかしい)
真顔で照れるけど、体液でドロドロになったのを放置しないのは彼らしい。
「フェリシア、カーテンを開けて」
スマートスピーカーに命令すると、《分かりました》と返事があり、カーテンが自動で開いていった。
「起きたか」
その時、足音がすると尊さんが寝室を覗き込んできた。
「オハヨウゴザイマス……」
上半身は裸のままなので、私は両手で胸元を隠してボソボソと挨拶する。
「今さら隠すなよ」
「朝陽を浴びながら堂々とおっぱい晒したくないんです」
「いいじゃねぇか。ポジティブな変態になろうぜ」
「なにそれ!」
思わずブハッと噴きだした時、彼に「ほれ」とルームウェアを差しだされた。
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