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元彼に会う前に 編
極上のデザート ☆
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「お母さんなら知ってるに決まってる」
同意を求めて尊さんを見ると、彼は小さく頷いた。
「近いうちに聞きに行こう。……でも、もう少し慎重に構えてもいいかもしれない」
「なんで……?」
目を瞬かせると、尊さんはチャプ……と水音を立てて私の頬を撫でた。
「忘れていたっていう事は、それだけの理由があるっていう事だ。朱里のお父さんがどんな亡くなり方をしたか分からない。でも〝大好きなお父さんが亡くなった〟だけで、死因を忘れる事はないと思うんだ」
彼の説明を聞いているうちに、興奮した気持ちが落ち着くと共に不安が増してくる。
「……『忘れたほうがいい』と無意識に思ったという事?」
「その可能性は大きいな」
肯定され、私は溜め息をつく。
「……知りたいのに、なんか怖くなってきちゃった」
どうしたらいいか分からずにいると、尊さんがトントンと私の背中を叩く。
「まず、一つずつこなしていこう。確かに気になって仕方がないし、朱里にとってとても重要な事だ。でもとりあえずは明日の田村クンとの話し合いを終えてから、次に取りかかろう。お父さんの死について真相を知った時、『なんだ』と楽になる可能性もあるし、つらい想いをする可能性もある。メンタルがガタガタになった時に、大事な話し合いはしないほうがいい」
「……そうですね」
私は目を閉じてフー……、と溜め息をつき、尊さんに抱きついた。
「……やっぱり尊さんがいてくれて良かった。私一人だったら、乗り越えられなかったかもしれない。あれもこれも気になって、突っ走って自滅していたかも……」
私があまりに落ち込んでいるからか、尊さんは冗談めかして言う。
「暴れ朱里に手綱をつけて御すのは、俺の役目だからな」
「んふふ、暴れ朱里って」
二人で笑い合ったあと、私たちは体を押しつけ合い、手を握る。
「……何があっても側にいる。楽しく遊ぶ時も、幸せを分かち合う時も、悲しみに暮れる時も、どんな時でも」
「ふふっ、結婚式の誓いの言葉はまだ先ですよ」
彼の言葉がとても嬉しくて、私は照れくささを誤魔化すために茶化す。
「朱里のためなら、何度でも誓うよ」
甘い言葉を囁かれ、キューッと愛しさがこみ上げた私は、「しゅきぴぴぴ……」と呟き、真っ赤になって彼の肩に顔を伏せたのだった。
お風呂から上がってフェイスケア、ボディケアを終えた頃、尊さんは先にキッチンに向かってレモネードを作ってくれていた。
はちみつレモンを常備していて、何かと使ってるそうだ。私より女子力の高い尊子……。
「おいし」
シュワシュワとした炭酸を飲んで、はぁー……と溜め息をついた時、尊さんが私の肩を抱き寄せ、顔を覗き込んできた。
「そろそろ朱里を食べてもいいか?」
「……食あたりしても知りませんよ」
「あたる訳ないだろ。こんな極上のデザート」
クスッと笑った尊さんは、私の髪を耳に掛け、顔を傾けて優しくキスをしてきた。
(あ……、レモンの味)
図らずも〝ファーストキスはレモンの味〟というフレーズを思い出して、なんとなくこそばゆくなる。
そんな私の心境を知ってか知らずか、彼は少し顔を離して私の目を見つめると、また唇を重ねてきた。
ちゅ、ちゅぷ……と濡れた音を立て、私たちは惹かれ合うように互いの唇を求めていく。
尊さんはノーブラのキャミソール越しに私の胸を揉み、ときおり爪で乳首をカリカリと引っ掻いてきた。
「……はぁ、……あ……」
そこを弄られるたびに、下腹部が甘く疼いてくる。
(気持ちいい……)
うっとりとするようなキスを繰り返され、乳首も優しく攻められ、私の体の奥で少しずつ快楽の火が大きくなっていく。
「ぁ……、あ……。……みこと、さん……」
私は身じろぎし、尊さんの腰に脚を絡め、物言いたげな目で彼を見つめた。
「ん? してほしい事あったら、言ってみ?」
けれど彼はすべてを分かっている上で鷹揚に微笑み、私におねだりさせようとする。
「~~~~いじわる……」
私は赤面して尊さんを上目遣いに見つめると、彼の手を握って熱を帯びた下着のクロッチに導いた。
そして少しでも一矢報いてやろうと、彼の耳元で煽る言葉をポソッと囁いた。
「…………触って」
同意を求めて尊さんを見ると、彼は小さく頷いた。
「近いうちに聞きに行こう。……でも、もう少し慎重に構えてもいいかもしれない」
「なんで……?」
目を瞬かせると、尊さんはチャプ……と水音を立てて私の頬を撫でた。
「忘れていたっていう事は、それだけの理由があるっていう事だ。朱里のお父さんがどんな亡くなり方をしたか分からない。でも〝大好きなお父さんが亡くなった〟だけで、死因を忘れる事はないと思うんだ」
彼の説明を聞いているうちに、興奮した気持ちが落ち着くと共に不安が増してくる。
「……『忘れたほうがいい』と無意識に思ったという事?」
「その可能性は大きいな」
肯定され、私は溜め息をつく。
「……知りたいのに、なんか怖くなってきちゃった」
どうしたらいいか分からずにいると、尊さんがトントンと私の背中を叩く。
「まず、一つずつこなしていこう。確かに気になって仕方がないし、朱里にとってとても重要な事だ。でもとりあえずは明日の田村クンとの話し合いを終えてから、次に取りかかろう。お父さんの死について真相を知った時、『なんだ』と楽になる可能性もあるし、つらい想いをする可能性もある。メンタルがガタガタになった時に、大事な話し合いはしないほうがいい」
「……そうですね」
私は目を閉じてフー……、と溜め息をつき、尊さんに抱きついた。
「……やっぱり尊さんがいてくれて良かった。私一人だったら、乗り越えられなかったかもしれない。あれもこれも気になって、突っ走って自滅していたかも……」
私があまりに落ち込んでいるからか、尊さんは冗談めかして言う。
「暴れ朱里に手綱をつけて御すのは、俺の役目だからな」
「んふふ、暴れ朱里って」
二人で笑い合ったあと、私たちは体を押しつけ合い、手を握る。
「……何があっても側にいる。楽しく遊ぶ時も、幸せを分かち合う時も、悲しみに暮れる時も、どんな時でも」
「ふふっ、結婚式の誓いの言葉はまだ先ですよ」
彼の言葉がとても嬉しくて、私は照れくささを誤魔化すために茶化す。
「朱里のためなら、何度でも誓うよ」
甘い言葉を囁かれ、キューッと愛しさがこみ上げた私は、「しゅきぴぴぴ……」と呟き、真っ赤になって彼の肩に顔を伏せたのだった。
お風呂から上がってフェイスケア、ボディケアを終えた頃、尊さんは先にキッチンに向かってレモネードを作ってくれていた。
はちみつレモンを常備していて、何かと使ってるそうだ。私より女子力の高い尊子……。
「おいし」
シュワシュワとした炭酸を飲んで、はぁー……と溜め息をついた時、尊さんが私の肩を抱き寄せ、顔を覗き込んできた。
「そろそろ朱里を食べてもいいか?」
「……食あたりしても知りませんよ」
「あたる訳ないだろ。こんな極上のデザート」
クスッと笑った尊さんは、私の髪を耳に掛け、顔を傾けて優しくキスをしてきた。
(あ……、レモンの味)
図らずも〝ファーストキスはレモンの味〟というフレーズを思い出して、なんとなくこそばゆくなる。
そんな私の心境を知ってか知らずか、彼は少し顔を離して私の目を見つめると、また唇を重ねてきた。
ちゅ、ちゅぷ……と濡れた音を立て、私たちは惹かれ合うように互いの唇を求めていく。
尊さんはノーブラのキャミソール越しに私の胸を揉み、ときおり爪で乳首をカリカリと引っ掻いてきた。
「……はぁ、……あ……」
そこを弄られるたびに、下腹部が甘く疼いてくる。
(気持ちいい……)
うっとりとするようなキスを繰り返され、乳首も優しく攻められ、私の体の奥で少しずつ快楽の火が大きくなっていく。
「ぁ……、あ……。……みこと、さん……」
私は身じろぎし、尊さんの腰に脚を絡め、物言いたげな目で彼を見つめた。
「ん? してほしい事あったら、言ってみ?」
けれど彼はすべてを分かっている上で鷹揚に微笑み、私におねだりさせようとする。
「~~~~いじわる……」
私は赤面して尊さんを上目遣いに見つめると、彼の手を握って熱を帯びた下着のクロッチに導いた。
そして少しでも一矢報いてやろうと、彼の耳元で煽る言葉をポソッと囁いた。
「…………触って」
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