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家デート 編
二人のリズム
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「や、そっちじゃない。んー、長期休みの時にフラフラ海外に行く癖があるんだ。スペインのタブラオに行ってフラメンコ見て、その辺のおっさんやマダムと一緒に踊ったり。南米行ってアルゼンチンタンゴ、イギリスついでにアイルランド行ってアイリッシュダンス。あとは適当にどこの国でもミュージックバーに入ったら、その辺の人と踊ってたな。そのツテでこっちの教室の先生と知り合ったりとか。最初からうまく踊れる訳はねぇから、滞在しつつ習うんだよ。……ま、俺がやってるのはストレス発散の真似事だけど」
「へええ……」
あまりに意外すぎて、私は目をまん丸にして、ついでに口まで開いてしまう。
「あとは、エレクトロスウィング、なかなかクールだぜ」
尊さんはそういうと、スマホの検索欄で〝スヴェン・オッテン〟と打ち、動画を見せてくれる。
すると軽快なリズムに乗って、スーツにハット姿の男性が軽やかなステップで踊っている動画が流れ始めた。
「なにこれ~! めっちゃカッコイイ!」
私はスマホの画面を覗き込んで興奮する。
「えー? 重さがないみたい。魔法のステップ! 尊さんできるの?」
「ん? だから真似事な」
「見たい見たい! お願い!」
私はパンッと両手を合わせてお願いする。
「しゃーねぇなぁ……。下に響いたらアレだから、フワッとな」
「やった!」
喜ぶ私を見て尊さんはクスッと笑い、スマホを操作してブルートゥースで音楽を流し始めた。
曲調としては昔に流行ったダンスミュージックを、今風にアレンジした感じだ。
リビングの広いところに立った尊さんは、音楽を聴きながら目を閉じて体を揺らし、タイミングのいいところで足を動かし始めた。
「わあ……」
階下に響かないように力を入れないようにしているけれど、つま先と踵とを軸にうまく動かし、滑らかなステップを踏んでいる。
彼の表情を見るととてもリラックスしていて、音楽を聴いて楽しみ、自然に体を動かしている。
その姿を見て、シンプルに「格好いい」と思うと同時に、自分の知らない尊さんがいると思った。
(まだまだ、私の知らない面があるのかな。海外に行ってた時、誰とどんなふうに過ごしていたんだろう)
尊さんがとても遠いところにいるように思えて、寂しさと置いてかれそうな感覚を得た私は、思わず立ちあがって心細そうに彼を見てしまった。
すると尊さんは微笑んで私に手を伸ばしてきた。
「来いよ、朱里。一緒に踊ろうぜ」
「え……。わ、私、踊れないです……」
踊りなんて、小学生の時にソーラン節を踊った事があるだけだ。それももう、ほぼ忘れている。
「いいから、おいで」
うう……、優しく笑っての『おいで』の破壊力が……凄い……。
歩み寄っていくと、尊さんは私を後ろから抱き締めるようにして、目元を手で覆ってきた。
「余計な事は考えないで、音を聴いて体をゆだねて。気持ちよく感じてきたら、音に合わせて体を揺らすだけ」
まるで催眠術のような声を聞き、彼の温もりに包まれてそのリズムを感じているうちに、私も自然と体を動かしていた。
目元が解放されたかと思うと、正面に立った尊さんが私の手をとる。
「さっきのステップは忘れていい。朱里の好きなように動いて。俺が合わせて踊らせる」
『踊らせる』って、も~!
私は内心、彼の何気ない言葉に悶えた。
忘れていいと言われたけれど、まな裏には尊さんの綺麗なステップが刻まれていた。
(こう……だっけ)
キュッキュッとつま先を軸に足をハの字に動かすと、尊さんがニヤッと笑い同じように動く。
(彼は失敗しても笑わない)
その信頼感があるから、私はリラックスして踊る事ができた。
やがて私たちは笑い合いながら自然にステップを踏み、時にハイタッチし、体をドンとぶつけ合う。
尊さんに片手をとられた私は、気取ったステップを踏みながらゆっくりと彼の周りを一周する。
両手を繋いで大きく体を揺らすように動いたかと思うと、グッと腕を引かれて彼に抱き締められ、「あはは!」と笑ってフィニッシュした。
「OK! いいステップだった。お前に〝神の踊り手〟の称号をつかわそう」
「やだ、それゲームのやつだ!」
「バレたか!」
私たちは屈託なく笑い、抱き締め合う。
「へええ……」
あまりに意外すぎて、私は目をまん丸にして、ついでに口まで開いてしまう。
「あとは、エレクトロスウィング、なかなかクールだぜ」
尊さんはそういうと、スマホの検索欄で〝スヴェン・オッテン〟と打ち、動画を見せてくれる。
すると軽快なリズムに乗って、スーツにハット姿の男性が軽やかなステップで踊っている動画が流れ始めた。
「なにこれ~! めっちゃカッコイイ!」
私はスマホの画面を覗き込んで興奮する。
「えー? 重さがないみたい。魔法のステップ! 尊さんできるの?」
「ん? だから真似事な」
「見たい見たい! お願い!」
私はパンッと両手を合わせてお願いする。
「しゃーねぇなぁ……。下に響いたらアレだから、フワッとな」
「やった!」
喜ぶ私を見て尊さんはクスッと笑い、スマホを操作してブルートゥースで音楽を流し始めた。
曲調としては昔に流行ったダンスミュージックを、今風にアレンジした感じだ。
リビングの広いところに立った尊さんは、音楽を聴きながら目を閉じて体を揺らし、タイミングのいいところで足を動かし始めた。
「わあ……」
階下に響かないように力を入れないようにしているけれど、つま先と踵とを軸にうまく動かし、滑らかなステップを踏んでいる。
彼の表情を見るととてもリラックスしていて、音楽を聴いて楽しみ、自然に体を動かしている。
その姿を見て、シンプルに「格好いい」と思うと同時に、自分の知らない尊さんがいると思った。
(まだまだ、私の知らない面があるのかな。海外に行ってた時、誰とどんなふうに過ごしていたんだろう)
尊さんがとても遠いところにいるように思えて、寂しさと置いてかれそうな感覚を得た私は、思わず立ちあがって心細そうに彼を見てしまった。
すると尊さんは微笑んで私に手を伸ばしてきた。
「来いよ、朱里。一緒に踊ろうぜ」
「え……。わ、私、踊れないです……」
踊りなんて、小学生の時にソーラン節を踊った事があるだけだ。それももう、ほぼ忘れている。
「いいから、おいで」
うう……、優しく笑っての『おいで』の破壊力が……凄い……。
歩み寄っていくと、尊さんは私を後ろから抱き締めるようにして、目元を手で覆ってきた。
「余計な事は考えないで、音を聴いて体をゆだねて。気持ちよく感じてきたら、音に合わせて体を揺らすだけ」
まるで催眠術のような声を聞き、彼の温もりに包まれてそのリズムを感じているうちに、私も自然と体を動かしていた。
目元が解放されたかと思うと、正面に立った尊さんが私の手をとる。
「さっきのステップは忘れていい。朱里の好きなように動いて。俺が合わせて踊らせる」
『踊らせる』って、も~!
私は内心、彼の何気ない言葉に悶えた。
忘れていいと言われたけれど、まな裏には尊さんの綺麗なステップが刻まれていた。
(こう……だっけ)
キュッキュッとつま先を軸に足をハの字に動かすと、尊さんがニヤッと笑い同じように動く。
(彼は失敗しても笑わない)
その信頼感があるから、私はリラックスして踊る事ができた。
やがて私たちは笑い合いながら自然にステップを踏み、時にハイタッチし、体をドンとぶつけ合う。
尊さんに片手をとられた私は、気取ったステップを踏みながらゆっくりと彼の周りを一周する。
両手を繋いで大きく体を揺らすように動いたかと思うと、グッと腕を引かれて彼に抱き締められ、「あはは!」と笑ってフィニッシュした。
「OK! いいステップだった。お前に〝神の踊り手〟の称号をつかわそう」
「やだ、それゲームのやつだ!」
「バレたか!」
私たちは屈託なく笑い、抱き締め合う。
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