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クリスマスデート 編

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「遠慮してんのか?」

 尊さんはペンダントトップを摘まんだままなので、私は四つん這いになって顔を少し仰向けた体勢をキープしている。

 まるで犬がお座りしているみたいで、心の奥にある被虐心がウズウズしている。

「……し、しますよ……。幾らしたんですか? んぐっ」

 尋ねた途端、尊さんが私の顎を掴んでさらに上を向かせた。

「躾その一、俺がプレゼントする物、ホテルの宿泊費、その他諸々の値段を聞かない」

「しつけ?」

 私は目を剥いて高い声を上げる。

 けれど、心の中ではこの状況を悦ぶもう一人の自分がいた。

「あれ? こういうの嫌い? 好きそうだと思ってたけど」

 尊さんは悠然と笑ったまま、片手で私のバスローブのベルトを引き、ゆっくりと脱がしていく。

「お手」

 手を差しだされ、私は羞恥を覚えながらも、素直に彼の手の上に自分のそれを重ねた。

「いい子」

 尊さんは私の頭をサラリと撫で、片腕から袖を抜く。

「おかわり」

「っ~~~~」

 私は赤面して、プルプルと震える右手を差しだした。

「そのまま」

 尊さんに言われるまま、私は右手を上げたままにする。

 そしてバスローブを完全に脱がされてしまった。

「ちんちん」

「…………うぅ…………」

 私は表情を歪め、膝立ちになった。

「……私、ついてませんよ……」

「あれって『鎮座』からきてるんじゃなかったっけ?」

「えぇっ!?」

 思いきり勘違いして覚えていたのがバレ、私は頭を抱える。

「朱里、そのまま」

 けれどもう一度言われ、体勢を戻した。

 尊さんは私を見つめ、左耳を摘まんできた。そこから、ツ……と耳の輪郭に沿って指を移動させていく。

「ピアスもいいな。……というか、イヤーフックだっけ? この辺も飾るやつ」

 言いながら、尊さんは私の耳の輪郭をスリスリと撫でる。

「……一回お前を飾り立ててみたいな」

「だ、駄目です。これ以上お金使わな……、んぐっ」

「躾その二。遠慮しない」

「む……、無理です……っ、きゃんっ」

 言った途端、ブラ越しに乳首を摘ままれて高い声が漏れた。

「ペットなら俺の言う事聞けよ」

「だっ、誰がペットですか!」

「ふぅん?」

 尊さんはそう言ったあと、パッと私から手を離した。

「え……」

 突然〝ごっこ〟が終わり、私は途方に暮れる。

 彼はベッドの上に胡座をかき、私を見て微笑んだ。

「じゃあ、これからずっと優しくしてほしい? 強引にせず、褒め倒して、噛みつきもせず、叩かず、丁寧に触る。手でも舌でも、お前が満足したらそれで終わり。朱里ファーストにして、セックスにおいて重視するのはお前の満足感」

「そ、そんなの……」

 優しくはしてほしいけど、私さえ満足すれば終わりなんて嫌だ。

「そんなの?」

「……尊さんにも気持ちよくなってほしいですし……」

 モソモソと言うと、彼は意地悪に笑う。

「俺はお前をいじめたい。それにお前も、少しは強引にされたほうが感じるんじゃないか?」

 彼は私の耳元で囁き、掌でグッと下腹部を押してきた。

「!!」

 そうされて、尊さんに初めて抱かれた夜を思い出した。

 酔っぱらってグデグデになって、全身が燃えるように熱かった。

 彼の剛直が濡れそぼった場所を激しく出入りし、感じる所ばかり突き上げられて、涙が出るほど気持ちよかった。

 耳元で卑猥な事を言われて、耳孔に舌をねじこまれて、全身をしゃぶりつくされているような感覚に陥った。

 あの時の快楽を思いだしてポーッとしていると、尊さんが私から離れる。

 そして、私の前で目を細めて笑った。
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