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神の前で1 ☆

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「……何か俺に、言いづらい理由でもあったのか?」

 ルーカスは、直感的に「これは夫婦の信頼の問題だ」と感じた。

 新婚早々、妻が夫に隠し事をして出かけるのはよろしくない。

 自分たちの意思がちゃんと通じていない証拠だし、もしかしたら自分に問題があるかもしれない。

「言いにくいことがあるのなら、いま言ってくれないか? 俺は心から君を愛しているが、君のすべてを分かる訳じゃない。気持ちはちゃんと言葉にして伝えないと、相手が伴侶だとしても伝わらないんだ」

 マグノリア相手に激昂していた姿はどこへか、ルーカスは優しい顔でアリアを見つめている。

 アリアだけを甘やかして愛する手が、ちょいちょい、と返事を促すように彼女の顎や鼻をいじっていた。

 優しい言葉を聞き、アリアは親友にも言われた言葉を思い出していた。

 黙っていて「いつか分かってくれるだろう」と期待するよりも、神頼みするよりも、相手に直接言ったほうが一番早くストレートに伝わる。

「……お願いごとの内容が……。あまりルーカスさまにはお聞かせできなくて」

「なんだ? 俺の寝相が悪いとかか?」

 冗談めかして笑い、そんな夫の懐の広さにアリアは泣き出したくなってしまう。

「……ルーカスさまに愛されるの、本当に心から嬉しいんです。ですが、もう少し……その、……回数を控えてくださらないと……。私、体がつらくて……」

「あ……」

 アリアの言葉に、ルーカスはハッと目を見開いてから恥ずかしそうに視線をそらす。

「すまない。君が愛しくて、つい触れずにいられなかった。君の体が気持ち良くて、感じてくれる声が可愛くて……。もっと、もっと……と思ってしまうんだ」

「はい、分かっています。本当に嬉しいのです。……ですが、そのお気持ちを……『あと一回』を減らしてくだされば」

「分かった、ちゃんと『あと一回』を我慢する。他はないか?」

 約束をしてくれ、ルーカスはさらにアリアに不満がないか尋ねる。

「もっと……。手を繋いでお散歩したり、見つめ合ったり、なにげなくキスをしたり。すぐ体を求めるのではなくて、気持ちのふれあいが欲しいです。私、もっともっとルーカスさまに恋がしたいんです。私を、ときめかせてください」

「……分かった。すまない」

 言いづらかったのだろう、と思ってルーカスは恥ずかしくなる。

 一目惚れをして、あっという間に結婚をして、すぐに夫婦生活が始まった。

 結婚するまではレディにキス以上のことをしてはいけないと、自戒していたのが爆発してしまったのかもしれない。

「……初めて女性を好きになって、味わった君の体は癖になるほど甘美だ。俺が気持ち良ければ君も気持ち良くて、それで『好き』が成立していたのだと思い込んでいた」

「ちゃんと気持ちいいですし、体の繋がりは心の繋がりをより深くしてくれます」

「……だが確かに、それだけじゃ駄目だな。体の関係だけじゃなくて、俺という個人をもっと君に好きになってもらわなくては」

「好きですよ。でも、もっともっと好きになりたいですし、まだ知らない旦那さまのことを知りたいです」

 互いの裸を知っていても、裸の心は知らなかったかもしれない。

「少し執務の時間を削って、もっとデートをする回数を増やそうか。……でも、夜は求めてもいいか?」

「はい、お願いします」

 ニコッと微笑むアリアを、ルーカスは思わず抱きしめていた。

「……君が大事だ。自分の欲よりも、君が側にいてくれて健康で笑ってくれていることのほうが、ずっと大事だ」

「すみません、ちょっと言い過ぎましたね。私、基本的に大丈夫ですよ? ちょっとだけ心に留め置いてくだされば……と思っただけなんです。なので、あまり気にしないでください」

「あぁ、君の内に秘めていた気持ちは分かった。……だが」

 アリアを抱きしめたまま、ルーカスはマグノリアの神木と祠とを睥睨へいげいする。

 ここまで肝を冷やしたことも生まれて初めてで、相手は人間ではないとはいえ、何か仕返しをしてやりたい。

「君は俺のものなのだと、ちゃんと知らせないと駄目だな」

「え?」

 ルーカスの言葉にアリアはきょとんとし、体を離して夫を見る。

 すると、その顔は何かを企んで不敵に笑っていた。

「あいつの目の前で君を抱いてやる」
「えぇっ!?」

 焦るアリアを押し倒し、ルーカスはせっかく隠したアリアの体を暴いてゆく。ドレスの胸元をまたはだけ、裾をたくし上げる。

 アリアの背中を自分の胸板につけ、マグノリアの神木からアリアの顔が見えるようにした。

「ほら、感度のいい胸だろう。実体のない貴様なら触れられまい」

 姿の見えない神に嫉妬し、ルーカスは見せつけるようにアリアの乳房を揉みまわす。

「あっ、あんっ、ル、ルーカスさまっ、いけませんっ」

 アリアも目の前に人がいて目でみている訳ではないのに、神の前だと思うと畏れ多く、「いけない」という気持ちでより感じてしまう。

「いい色をしているだろう。俺の指だけに反応する胸だ」

 クリクリと先端をいじりまわすと、アリアが高い声をあげる。同時に蜜がスリップの裏側を濡らした。

「アリア、脚を開くんだ。奴に見せつけてやれ」

「だっ、だめです!」

「夫の言うことより、神とやらのほうを気にするのか?」

 耳元で意地悪く囁かれ、ペチッと腿の内側を叩かれる。

 そのやや乱暴な言葉と行動に、アリアの体に小さな火がついた。

「も……、もう。ば、罰が当たります」

 背後からルーカスに抱きすくめられ、首筋にキスをされる。熱い唇を感じる度に、自分の体がさらに鋭敏になる気がした。

「この神の罰など俺が認めない。人の妻に手を出しておきながら罰を与えるだと? ハッ。笑えるな」

 タプタプとアリアの胸を楽しんでから、ルーカスの手はグイッとアリアの脚を広げた。

「きゃっ!」

 すでに濡れている花弁をなで上げ、蜜で濡らした指先で突起を転がす。

「んぅっ、あっ、あぁっ!」

 敏感に反応したアリアは甘い声を出し、それがミルク色の霧や木蓮の花を震わせた――ような気がした。

「アリア、もっといい声で啼け」

 ルーカスも興奮しているのか、いきなりズブリと指が二本挿入される。

 しかしたっぷりと濡れていたアリアの蜜壷は、抵抗なく夫の指を迎え入れた。

「あっ……、あ、ぁ、あぁんっ、んっ、あぁっ」

 グチグチとナカをかき回され、膨れた真珠も一緒にこねられる。体を跳ねさせるアリアは、ルーカスに体を預けて腰を反らせた。

「どうだ、貴様にはできないことだ」

 立ちこめるマグノリアの香りにルーカスも興奮し、それがアリアの香りなのか神木から発せられるものなのかは分からない。

 ただ、とても心配した上でアリアの無事を確認でき、行き場のなくなった感情をこうして妻と神にぶつけたかった。

 濃厚な香りはいつも嗅いでいる妻の香りで、だがそれは恨んでいるマグノリアの香りでもある。

 結果、「見せつけてやる」という一心で、アリアは自分のものだということを自他ともに確認することにしたのだ。

「ルーカスさま……っ、もう、いいでしょう……っ? 私、わたっ……、あぁっ」

 涙混じりの目で夫を振り向き、何か抗議しようとしたアリアだが、新たな快楽にさらわれてしまう。

「駄目だ。最後までするぞ。そうしなければ、俺の気が収まらない」

 いつもならアリアにだだ甘のルーカスも、今ばかりは引こうとしない。そのやや強引なところや言葉も、いまのアリアには新たな刺激にしかならない。

(いやだ……。こういう強引なルーカスさまにもときめいてしまうから、一概にこういうことをするの駄目って言えないのよね)

 そう思う自分は、女のスイッチが入ってしまっていると思う。

 アリアの秘肉がたっぷり濡れたのを確認し、ルーカスはトラウザーズの前をくつろがせる。

 そこには臨戦態勢になった肉棒が直立し、アリアを穿たせろとその角度を誇示していた。
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