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占い師
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親友たちと馬車に乗り、向かった先は平民街の外れ。
慣れない場所に、アリアは少し怖くなってしまう。
今まで両親のいいつけを守って、近寄ってはいけないという場所に足を向けたことはない。
「ねぇ……、本当に大丈夫?」
「大丈夫よ。私も来たことがあるのだけれど、中は狭いから私がつきそうわね」
自分の言動に責任を感じたのか、フェリシアはそう言ってアリアに同行する。
残りの三人は、馬車で待機ということになった。
目の前にあるのは小さな民家。
生活感が溢れていて、そこに人を導くような存在がいるとは、正直思えない。
チラッと庭を見るとハーブがたくさん植えられていて、風に乗って微かにいい香りがする。
「突然で大丈夫?」
「大丈夫なのよ」
なおも心配するアリアに、フェリシアはクスッと笑って呼び鈴の紐を引いた。
チリンと音がし、少し経ってから「はぁい」と中年ほどの女性の声が応える。
「どなた?」
ドアから顔を覗かせたのは、ごくありふれた中年の女性だ。
「マーサさんに会いに来ました。いま、大丈夫ですか?」
慣れた様子でフェリシアが言うと、途中で買った土産物のお菓子を女性に手渡す。
「あら、ラーレット侯爵夫人。いらっしゃいませ。おばあちゃんなら奥にいます。どうぞ」
どうやら本当にフェリシアはここの住人と知り合いらしく、二人はそのまま奥に通される。
こぢんまりとした家の中は、小さなリビングと同じ空間にキッチンがあり、アリアは珍しくてつい見てしまう。
自分が失礼なことをしていると自覚していたからか、途中で小さな兄妹と目が合った時、思わず赤面した。
奥――。
裏庭があるほうまで家の中を抜けると、日だまりの中のテーブルセットに座っている老婦人がいる。
「おばあちゃん、お客さんよ」
女性が少し声を張り上げると、庭を見ていた老婦人が振り向いた。
「おや、綺麗なお嬢さんが二人も……。おいで」
その人――マーサは、どこにでもいそうな老婦人だ。
豊満な体つきに、髪は少し薄くなったのかスカーフを巻いている。小さな丸眼鏡の奥には、しわに埋もれたような目があった。
「アリア、座って」
勝手知ったるという様子でフェリシアは白い椅子に座り、その隣をアリアに勧める。
「お邪魔します……」
「どれ、新しいお茶を淹れようね」
マーサはそう言って立ち上がり、家の方へ歩いてゆく。
「あの……、お手伝いしなくていいのかしら?」
彼女が杖を使って歩いているのを見ると、なにやら手伝ったほうがいいのでは? とアリアは心配になる。
「大丈夫よ。娘さんがいらっしゃるし、客の私たちが下手な手伝いをすると逆に気を遣わせるわ」
フェリシアの答えを聞くと、それもそうかと思わされる。
「占いの代金はどうなっているの?」
なおもコソコソと尋ねると、ケロッとした返事がある。
「あら、さっきお土産のお菓子を渡したじゃない。あれでいいの。お金は取らない主義なんですって」
「そうなのね……」
社交界にいると、占い師の話は自然と入ってくる。
今回の自分のように、引き合わせるためのものだったり、ライバルを蹴落とすためのものだったり……。
その度にアリアは、一歩引いた所から「自分には関係ない」と思っていた。
心の中でどこか、「そこまで必死になっているのは、みっともない」と思ってしまっている自分もいる。
その自分が占い師を訪れるとは、なんという展開なのか。
「お待たせしました」
そこにマーサが、ガラスのポットにハーブティーを入れて戻ってきた。
「今日はどっちのお嬢さんがお客さんなんだい? どうも……、私には見当がついているけどね」
コポコポと音がしてティーカップにハーブティーが淹れられる。うららかな日差しのなか、薄い色のお茶が透明に輝く。
マーサの言葉は貴族に対するものではなかったが、アリアは気にしなかった。
そういうことを気にする性格ではないということもあるし、今回は自分がマーサの知恵を借りに来た。
そして彼女は高齢の女性であるために、もう自分なりの生き方を決めているのではないかとも思う。
それに、人生の先輩は敬うべきという気持ちがアリアにはある。
「見当……、つくものなんですか?」
思わずアリアが問うと、マーサはしわを増やして笑った。
「そりゃああんた……、そんなに妖精がついていたらね」
「妖精?」
目をぱちくりとさせるアリアを、フェリシアもびっくりした目で見る。
「あんたのことが大好きな妖精が、周りを飛び回ってるよ。大事にしたい、この子はいい子だから隠しておきたい。そんな思いが伝わってくるよ」
節くれ立った手でマーサはハーブティーを飲み、目を細める。
「あんた、もしかして両親と髪の色が違ったりしないかい?」
「えっ? どうして……!?」
アリアの父は、見事なブロンドの持ち主だ。母はシルバーブロンド。
妹もそれを継いでいるというのに、アリアは一人黒髪で生まれてしまった。
小さい頃は気にしなかったが、少し成長した頃になって「不義の子」という単語を聞く度に嫌な気持ちになった。
「妖精はたまに悪戯をしてね。あんたみたいなとっても綺麗な子には、魔法をかけちまうのさ。嫉妬……って言うのかね」
「生まれ持っての……ものかと思っていました……」
呆然として自分の黒髪に手をやると、マーサは何度も頷く。
「時に愛されすぎた子は、存在そのものを妖精の子と取り替えられちまう。それを思えばまぁ、可愛い悪戯さ」
「そう……なんですね」
自分の代わりに見ず知らずの妖精の子が家にいることを想像し、アリアは多少ゾッとする。
「それで、アリアは妖精と関わりがあって……、男性とのご縁がないという可能性はありますか?」
ハーブティーを一口飲み、フェリシアが切り出す。
あまりに直接的な言葉に、アリアは思わず咳き込んだ。
「あぁ……、そうかそうか。そうだね、それもあるね」
だがマーサは、やっと二人の令嬢の目的が分かったという顔で頷く。
「髪の色が違って苦労をしたのかな? と思ったんだが、そうじゃないんだね。あんたはちゃんと前を向いて恋をしようとしているんだね。偉いねぇ」
マーサの言葉も笑顔も温かく、アリアはふと彼女にとても親近感を感じた。
「そうだね、あんたを好いている妖精たちが恋の邪魔をしている可能性はある。あんたがどんなに美人でも、男性から見るとその魅力に膜がかかって見えちまうんだ」
「膜? ですか?」
フェリシアも、自分が知らなかった親友の真実に興味津々だ。
「本当のこの子の美しさ、魅力を教えたくなくて、認識阻害のような効果がかけられているんだ。この子が誰かのものになっちまうのが、悔しくてたまらないんだよ」
自分の孫が仕方のない悪戯をしている、という顔をするマーサに、アリアも心から憤慨することもできない。
「そうだったのね……」
ただ、この二十四年生きてきて初めて知った真実に、深い溜息をつくだけだ。
「じゃあ、その妖精たちをなんとかすれば、アリアにいい男性が現れますか?」
アリアよりもフェリシアが前のめりになり、マーサに質問をする。
「それはそうなんだけどねぇ……」
そう言ってマーサは眼鏡を外し、飴色の目でじっとアリアの顔を覗き込んだ。
「……え、……と」
きょとんとしたアリアの顔をしばらく見てから、マーサはゆっくり首を振りつつ眼鏡を戻す。
「この子は滅多にお目にかかれないほど、妖精に愛されてる。私ていどのちょっと妖精が見られる人間では手に負えないよ」
「そんな……!」
やはりアリアよりフェリシアが声を上げ、ギュッと親友の手を握る。
「この子、本当にいい子なんです。性格もいいし優しいし、ちょっと間の抜けたところもあるけれど、本当にいい子なんです。一生独身だなんてあんまりだわ」
(――間の抜けたところがある。というのも初耳だわ。それに一生独身のつもりもないんだけれど……)
心の中でそう思いながらも、いまはフェリシアが自分のために一生懸命になってくれているのは分かっているつもりだ。
「これこれ、早とちりするんじゃないよ。手がないとは言っていない」
「じゃあ、どうすれば……?」
フェリシアの声に、マーサはスッと北のほうを指さした。
「ここからずっと北に行った先、マグノリアが咲き誇る山がある。その山の中に小さな祠があるから、そこに祈っておいで。もちろん、妖精に好かれたお嬢さん一人でだ」
「祠……? 妖精よりも強い存在がいるのですか?」
「純粋無垢な者の守護神がいてね。……けれどとても古い木なんだ。もうすぐ枯れてしまうんじゃないかと私は思っているんだけれど……。あの木もそろそろ花を咲かせるのは難しくなっていると思うから、最後に、と思って行ってごらん」
「……行ってみます」
友人に誘われ来てみれば、思いも寄らない真実を知った。
思っていたよりも自分の状況は深刻らしく、その解決法があるのなら行動してみてもいいではないか。
アリアはそう思ったのだ。
自分に新しい縁ができることで、友人が喜んでくれるのなら――。
そしてそれはきっと、家族の喜びや一族の繁栄にも繋がるのだ。
慣れない場所に、アリアは少し怖くなってしまう。
今まで両親のいいつけを守って、近寄ってはいけないという場所に足を向けたことはない。
「ねぇ……、本当に大丈夫?」
「大丈夫よ。私も来たことがあるのだけれど、中は狭いから私がつきそうわね」
自分の言動に責任を感じたのか、フェリシアはそう言ってアリアに同行する。
残りの三人は、馬車で待機ということになった。
目の前にあるのは小さな民家。
生活感が溢れていて、そこに人を導くような存在がいるとは、正直思えない。
チラッと庭を見るとハーブがたくさん植えられていて、風に乗って微かにいい香りがする。
「突然で大丈夫?」
「大丈夫なのよ」
なおも心配するアリアに、フェリシアはクスッと笑って呼び鈴の紐を引いた。
チリンと音がし、少し経ってから「はぁい」と中年ほどの女性の声が応える。
「どなた?」
ドアから顔を覗かせたのは、ごくありふれた中年の女性だ。
「マーサさんに会いに来ました。いま、大丈夫ですか?」
慣れた様子でフェリシアが言うと、途中で買った土産物のお菓子を女性に手渡す。
「あら、ラーレット侯爵夫人。いらっしゃいませ。おばあちゃんなら奥にいます。どうぞ」
どうやら本当にフェリシアはここの住人と知り合いらしく、二人はそのまま奥に通される。
こぢんまりとした家の中は、小さなリビングと同じ空間にキッチンがあり、アリアは珍しくてつい見てしまう。
自分が失礼なことをしていると自覚していたからか、途中で小さな兄妹と目が合った時、思わず赤面した。
奥――。
裏庭があるほうまで家の中を抜けると、日だまりの中のテーブルセットに座っている老婦人がいる。
「おばあちゃん、お客さんよ」
女性が少し声を張り上げると、庭を見ていた老婦人が振り向いた。
「おや、綺麗なお嬢さんが二人も……。おいで」
その人――マーサは、どこにでもいそうな老婦人だ。
豊満な体つきに、髪は少し薄くなったのかスカーフを巻いている。小さな丸眼鏡の奥には、しわに埋もれたような目があった。
「アリア、座って」
勝手知ったるという様子でフェリシアは白い椅子に座り、その隣をアリアに勧める。
「お邪魔します……」
「どれ、新しいお茶を淹れようね」
マーサはそう言って立ち上がり、家の方へ歩いてゆく。
「あの……、お手伝いしなくていいのかしら?」
彼女が杖を使って歩いているのを見ると、なにやら手伝ったほうがいいのでは? とアリアは心配になる。
「大丈夫よ。娘さんがいらっしゃるし、客の私たちが下手な手伝いをすると逆に気を遣わせるわ」
フェリシアの答えを聞くと、それもそうかと思わされる。
「占いの代金はどうなっているの?」
なおもコソコソと尋ねると、ケロッとした返事がある。
「あら、さっきお土産のお菓子を渡したじゃない。あれでいいの。お金は取らない主義なんですって」
「そうなのね……」
社交界にいると、占い師の話は自然と入ってくる。
今回の自分のように、引き合わせるためのものだったり、ライバルを蹴落とすためのものだったり……。
その度にアリアは、一歩引いた所から「自分には関係ない」と思っていた。
心の中でどこか、「そこまで必死になっているのは、みっともない」と思ってしまっている自分もいる。
その自分が占い師を訪れるとは、なんという展開なのか。
「お待たせしました」
そこにマーサが、ガラスのポットにハーブティーを入れて戻ってきた。
「今日はどっちのお嬢さんがお客さんなんだい? どうも……、私には見当がついているけどね」
コポコポと音がしてティーカップにハーブティーが淹れられる。うららかな日差しのなか、薄い色のお茶が透明に輝く。
マーサの言葉は貴族に対するものではなかったが、アリアは気にしなかった。
そういうことを気にする性格ではないということもあるし、今回は自分がマーサの知恵を借りに来た。
そして彼女は高齢の女性であるために、もう自分なりの生き方を決めているのではないかとも思う。
それに、人生の先輩は敬うべきという気持ちがアリアにはある。
「見当……、つくものなんですか?」
思わずアリアが問うと、マーサはしわを増やして笑った。
「そりゃああんた……、そんなに妖精がついていたらね」
「妖精?」
目をぱちくりとさせるアリアを、フェリシアもびっくりした目で見る。
「あんたのことが大好きな妖精が、周りを飛び回ってるよ。大事にしたい、この子はいい子だから隠しておきたい。そんな思いが伝わってくるよ」
節くれ立った手でマーサはハーブティーを飲み、目を細める。
「あんた、もしかして両親と髪の色が違ったりしないかい?」
「えっ? どうして……!?」
アリアの父は、見事なブロンドの持ち主だ。母はシルバーブロンド。
妹もそれを継いでいるというのに、アリアは一人黒髪で生まれてしまった。
小さい頃は気にしなかったが、少し成長した頃になって「不義の子」という単語を聞く度に嫌な気持ちになった。
「妖精はたまに悪戯をしてね。あんたみたいなとっても綺麗な子には、魔法をかけちまうのさ。嫉妬……って言うのかね」
「生まれ持っての……ものかと思っていました……」
呆然として自分の黒髪に手をやると、マーサは何度も頷く。
「時に愛されすぎた子は、存在そのものを妖精の子と取り替えられちまう。それを思えばまぁ、可愛い悪戯さ」
「そう……なんですね」
自分の代わりに見ず知らずの妖精の子が家にいることを想像し、アリアは多少ゾッとする。
「それで、アリアは妖精と関わりがあって……、男性とのご縁がないという可能性はありますか?」
ハーブティーを一口飲み、フェリシアが切り出す。
あまりに直接的な言葉に、アリアは思わず咳き込んだ。
「あぁ……、そうかそうか。そうだね、それもあるね」
だがマーサは、やっと二人の令嬢の目的が分かったという顔で頷く。
「髪の色が違って苦労をしたのかな? と思ったんだが、そうじゃないんだね。あんたはちゃんと前を向いて恋をしようとしているんだね。偉いねぇ」
マーサの言葉も笑顔も温かく、アリアはふと彼女にとても親近感を感じた。
「そうだね、あんたを好いている妖精たちが恋の邪魔をしている可能性はある。あんたがどんなに美人でも、男性から見るとその魅力に膜がかかって見えちまうんだ」
「膜? ですか?」
フェリシアも、自分が知らなかった親友の真実に興味津々だ。
「本当のこの子の美しさ、魅力を教えたくなくて、認識阻害のような効果がかけられているんだ。この子が誰かのものになっちまうのが、悔しくてたまらないんだよ」
自分の孫が仕方のない悪戯をしている、という顔をするマーサに、アリアも心から憤慨することもできない。
「そうだったのね……」
ただ、この二十四年生きてきて初めて知った真実に、深い溜息をつくだけだ。
「じゃあ、その妖精たちをなんとかすれば、アリアにいい男性が現れますか?」
アリアよりもフェリシアが前のめりになり、マーサに質問をする。
「それはそうなんだけどねぇ……」
そう言ってマーサは眼鏡を外し、飴色の目でじっとアリアの顔を覗き込んだ。
「……え、……と」
きょとんとしたアリアの顔をしばらく見てから、マーサはゆっくり首を振りつつ眼鏡を戻す。
「この子は滅多にお目にかかれないほど、妖精に愛されてる。私ていどのちょっと妖精が見られる人間では手に負えないよ」
「そんな……!」
やはりアリアよりフェリシアが声を上げ、ギュッと親友の手を握る。
「この子、本当にいい子なんです。性格もいいし優しいし、ちょっと間の抜けたところもあるけれど、本当にいい子なんです。一生独身だなんてあんまりだわ」
(――間の抜けたところがある。というのも初耳だわ。それに一生独身のつもりもないんだけれど……)
心の中でそう思いながらも、いまはフェリシアが自分のために一生懸命になってくれているのは分かっているつもりだ。
「これこれ、早とちりするんじゃないよ。手がないとは言っていない」
「じゃあ、どうすれば……?」
フェリシアの声に、マーサはスッと北のほうを指さした。
「ここからずっと北に行った先、マグノリアが咲き誇る山がある。その山の中に小さな祠があるから、そこに祈っておいで。もちろん、妖精に好かれたお嬢さん一人でだ」
「祠……? 妖精よりも強い存在がいるのですか?」
「純粋無垢な者の守護神がいてね。……けれどとても古い木なんだ。もうすぐ枯れてしまうんじゃないかと私は思っているんだけれど……。あの木もそろそろ花を咲かせるのは難しくなっていると思うから、最後に、と思って行ってごらん」
「……行ってみます」
友人に誘われ来てみれば、思いも寄らない真実を知った。
思っていたよりも自分の状況は深刻らしく、その解決法があるのなら行動してみてもいいではないか。
アリアはそう思ったのだ。
自分に新しい縁ができることで、友人が喜んでくれるのなら――。
そしてそれはきっと、家族の喜びや一族の繁栄にも繋がるのだ。
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