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好きな人と結ばれました

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「うぅ……っ、う、ぁあ……っ、ん、んぅっ」

 ずんずんと体の最奥まで振動が届き、思わず本能の声が漏れてしまう。
 脳天には常にどうにもならない気持ちよさが伝わり、冷静な判断がくだせない。

「リリィ、中がキュウキュウ締まってとても気持ちいいよ」

 ディアルトの色っぽい声、そしていやらしい言葉に、耳から快楽が増す。

「いや……っ、だめ、ぁ、ディアルト様……っ、あ、おかしく、なっちゃ……っ」

 頭を振ると、ざり、ざり、と後頭部から髪の毛とシーツが擦れ合う音がした。

「おかしくなっていいよ」

 誘惑するかのようなディアルトの声が、リリアンナを堕落へと導く。
 トントンと最奥を何度も小突かれ、快楽の波動が体を突き抜ける。終わりのない気持ちよさにリリアンナは涙を零し、子供のようにいやいやと頭を振っていた。

「ん……っ、ひ、――ぁ、は、……っう、ぅ……っ」

 ディアルトにされる事すべてに、体が悦んでしまう。
 肌を撫でられればゾクゾクと腰が震え、胸の先端を摘ままれるとそこから乳房全体にじゅわりと快楽のエキスが染み渡る気がする。
 最奥を突き上げられ、ぐりぐりと亀頭でいじめられると、体が無意識に跳ねて反応する。感じ切って勃起した肉芽を優しく弾かれ、わななきっぱなしの唇から頼りない喘ぎ声が漏れた。

「ディ……っ、ぁる、ト、さま……っ、も、気持ちいいの、やです……っ」

 とうとう音を上げたリリアンナに、ディアルトは自身の唇を舐める。汗を垂らした逞しい体を晒したまま、手で黒髪をかき上げる姿は色気ダダ漏れで精神的につらい。
 これ以上心にも体にも刺激を加えられると、自分という器から何かが溢れておかしくなってしまいそうだ。

「ごめんね、リリィ。君が可愛くて何度でも達かせたくなる」

 感じ切って涙目になり、あうあうと喘いでいるリリアンナを、ディアルトは愛しげに見下ろして手で彼女の涙を拭った。
 指先についた涙の雫を舌で舐め取り、リリアンナの両脚を抱え上げた。

「もう少しで終わらせるから、我慢して」

 そう言ってディアルトはまた、ずんっとリリアンナの蜜洞を突き上げた。

「っきゃ、ぅ……っ、うっ、ぁああぁっ」

 気持ち良すぎて苦痛にもなっているリリアンナは、何とか現実に自分を留めようと、両手でバリバリとシーツを引っ掻いて抵抗する。

「っリリィ……っ、締まる……っ」

 ディアルトはフーッと乱暴に息を吐き、まだ吐精しないように自身を制御した。だがリリアンナは遠慮なくディアルトの分身を締め付け、気持ち良くて堪らないこの行為の終わりを望んでいた。
 そこから先、ディアルトは本能の赴くままに腰を動かし、リリアンナを貪った。
 リリアンナは何度も打ち付けられる腰の強さに、悲鳴を上げ体をくねらせる。かと思えば油断していた隙に肉芽をピンッと弾かれ、獣の断末魔のような声を上げて絶頂に飛ばされた。

「っあぁあああぁ……っ!!」

 頭の中が真っ白になり、遠くキィン……と耳鳴りまでして訳が分からない。
 意識は現実と違う場所に乖離しているというのに、体は相変わらずずんずんと穿たれてリリアンナは無意識に嬌声を漏らしていた。
 ドロドロになった意識の中、恥ずかしい孔からプシャッと何かを飛ばしてしまったかもしれない。
 耳に入るのは、自分が引っ掻くシーツの甲高い音、ディアルトの荒々しい息づかい、軋むベッドの音にパンパンという打擲音。
 何もかも現実とは思えない、夢かと思うほど意識がフワフワしたなか――、

「……っ、ぁ、……うっ」

 膣内でディアルトの質量がぐぅっと膨れ上がったかと思うと、彼が苦しげな声を漏らす。

「は……っ、あ、――ぁ、リリィ……っ」

 切なげな声でリリアンナの名前を呼び、ディアルトが妻の膣奥で吐精した。

「んーっ、んぅ……ん……」

 激しい交合が終わった事を察し、リリアンナは体をベッドに預けて荒々しい呼吸を繰り返す。
 お腹の奥でドクドクとディアルトの分身が脈打ち、世継ぎとなるかもしれない子種を吐いているのだと思うと、堪らなく嬉しかった。

「は……ぁ」

 やがてディアルトはリリアンナの体に体重を預け、彼女の耳元でハァハァと呼吸を整える。
 そんな夫の背中を、リリアンナは愛しさとねぎらうような気持ちから、そっと撫でた。

(お母様……。私、好きな人と結ばれました。きっとディアルト様のお子を授かると思います。どうか見守っていてください)

 本当なら結婚式も孫の顔も、リーズベットに見せたかった。
 叶わない気持ちに少しセンチメンタルになり、それでもリリアンナは幸せな気持ちでディアルトを抱き締めた。

**

「新婚旅行は周辺国を回る事になっているけど、和平を結んだばかりだからファイアナにもお邪魔して、綺麗な青い海を見るのもいいね。砂浜が真っ白で綺麗だそうだよ」
「そうですか。魚釣りもできそうですね。今までファイアナの食品はそれほど入っていなかったので、あの国の物産や食べ物がとても気になります。あの時に食べた火牛のステーキも美味しかったです」
「これから先、国王として色々やらなければいけない事があるけど、リリィが側にいてくれるなら、ずっと頑張っていけそうだな」

 行為が終わり、水を飲み終わったあとに二人は明かりを落としてそんな話をしていた。
 窓の外、空にはまばゆい星が光り白い天の川がある。
 最初にディアルトがリリアンナに告白をしたあのバラ園でも、今は芳しいバラの花々が満開になり夜に匂い立っているだろう。

(結局……私は殿下の予告通り、バラの花と殿下……いいえ、ディアルト様の想いでこの幸せを掴んだのだわ)

 そしてリリアンナは、精霊が見えず「出来損ない」と言われたディアルトが、現在立派な国王になってくれた事を、本当に嬉しく思っていた。

 ディアルトがウィンドミドルの国王として辣腕を発揮し、美しく気高い剣妃リリアンナの間に王太子と妹姫が生まれるのは、また後の話である。

 完
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