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これを着ろということかしら?
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結局バスルームでは濃厚なキスをずっと続けていただけで終わり、お湯がぬるくなった頃合いでリリアンナは真っ赤になってバスタブから出た。
ホットカンには魔法で常に熱いお湯が入っているので、ディアルトのためにお湯を足し、自分は体を拭いてからそそくさとバスルームを後にした。
もともとマッサージはするつもりでいて、そのために着替えも持って来ていた。
だが持って来た下着類に着替えようとしたところ、入っているバスケットの隣に薄いブルーのドレスがトルソーに着せられてあった。
(これを着ろということかしら?)
と思っても、この離宮でディアルトの部屋にドレスが置いてあって、そのドレスを着る人物はリリアンナしかいない。
シアナは月の離宮で暮らしていても、まったく別の場所で生活している。
離宮といっても立派な城であり、中庭を中心としてロの字型に区画が分けられてあった。
とりあえず下着とペチコートを身につけてから、リリアンナはドレスをじぃっと見てみる。
「あ……」
すると、トルソーの首に青いリボンが結ばれていて、そのリボンにカードメッセージがついている。
『親愛なるリリアンナ嬢 私のためにこのドレスを着てください ディアルト』
「ふふ……」
ディアルトからのメッセージだと分かると、リリアンナは自然に微笑みドレスを着ることにした。
リリアンナは普段コルセットなどを用いない。そんな物をつけていては動きづらいし、補整下着をせずとも彼女はたゆまぬ訓練で引き締まった体つきをしている。
なので普段彼女が着るドレスは、ただ被って背中のボタンを留めるだけの、ごく簡単な作りだ。
侍女の手伝いも要らず一人で着てしまった頃になり、ディアルトがバスルームから出てくる気配があった。
リリアンナは廊下に控えているだろうロキアを呼びに行った。
「リリィはやっぱり青が似合うよな」
椅子に座ったディアルトは、首にケープを巻きロキアに髪を切られている。
シャキン、シャキンとよく研がれた鋏の音がし、ディアルトはリラックスした表情で控えているリリアンナを見る。
「そうですか? こんな素敵なドレスをありがとうございます」
さすがリリアンナのことを熟知しているディアルトらしく、ドレスは上半身はスッキリとしたシルエットながら、下半身は重ねたチュールでスカートにボリュームを出している。窮屈なファウンデーションを用いずともレディらしいラインが出て、スカートの丈そのものも少し短めなので歩きやすい。
「ロキア、リリアンナは俺だけのものだ。いいだろう」
最後に刷毛で髪の毛をサッサッと払われつつ、ディアルトが自慢をする。
「そうでございますね。リリアンナ様はとても美しくお強い方です」
「だろう。前線に行っても、色んな奴が俺とリリアンナの〝実際のところ〟を聞きたがってな」
「殿下、そろそろお食事なのでは?」
スッと冷たい視線をやりつつ横やりを入れるリリアンナは、もういつもの調子を取り戻している。
ディアルトは「あぁ、これが堪らないんだよなぁ」と幸せそうに言ってからケープを取られ伸びをした。
「では、シアナ様がお待ちですので、ご案内致します」
ロキアがドアを開き、二人をシアナが待っている晩餐室まで先導した。
ホットカンには魔法で常に熱いお湯が入っているので、ディアルトのためにお湯を足し、自分は体を拭いてからそそくさとバスルームを後にした。
もともとマッサージはするつもりでいて、そのために着替えも持って来ていた。
だが持って来た下着類に着替えようとしたところ、入っているバスケットの隣に薄いブルーのドレスがトルソーに着せられてあった。
(これを着ろということかしら?)
と思っても、この離宮でディアルトの部屋にドレスが置いてあって、そのドレスを着る人物はリリアンナしかいない。
シアナは月の離宮で暮らしていても、まったく別の場所で生活している。
離宮といっても立派な城であり、中庭を中心としてロの字型に区画が分けられてあった。
とりあえず下着とペチコートを身につけてから、リリアンナはドレスをじぃっと見てみる。
「あ……」
すると、トルソーの首に青いリボンが結ばれていて、そのリボンにカードメッセージがついている。
『親愛なるリリアンナ嬢 私のためにこのドレスを着てください ディアルト』
「ふふ……」
ディアルトからのメッセージだと分かると、リリアンナは自然に微笑みドレスを着ることにした。
リリアンナは普段コルセットなどを用いない。そんな物をつけていては動きづらいし、補整下着をせずとも彼女はたゆまぬ訓練で引き締まった体つきをしている。
なので普段彼女が着るドレスは、ただ被って背中のボタンを留めるだけの、ごく簡単な作りだ。
侍女の手伝いも要らず一人で着てしまった頃になり、ディアルトがバスルームから出てくる気配があった。
リリアンナは廊下に控えているだろうロキアを呼びに行った。
「リリィはやっぱり青が似合うよな」
椅子に座ったディアルトは、首にケープを巻きロキアに髪を切られている。
シャキン、シャキンとよく研がれた鋏の音がし、ディアルトはリラックスした表情で控えているリリアンナを見る。
「そうですか? こんな素敵なドレスをありがとうございます」
さすがリリアンナのことを熟知しているディアルトらしく、ドレスは上半身はスッキリとしたシルエットながら、下半身は重ねたチュールでスカートにボリュームを出している。窮屈なファウンデーションを用いずともレディらしいラインが出て、スカートの丈そのものも少し短めなので歩きやすい。
「ロキア、リリアンナは俺だけのものだ。いいだろう」
最後に刷毛で髪の毛をサッサッと払われつつ、ディアルトが自慢をする。
「そうでございますね。リリアンナ様はとても美しくお強い方です」
「だろう。前線に行っても、色んな奴が俺とリリアンナの〝実際のところ〟を聞きたがってな」
「殿下、そろそろお食事なのでは?」
スッと冷たい視線をやりつつ横やりを入れるリリアンナは、もういつもの調子を取り戻している。
ディアルトは「あぁ、これが堪らないんだよなぁ」と幸せそうに言ってからケープを取られ伸びをした。
「では、シアナ様がお待ちですので、ご案内致します」
ロキアがドアを開き、二人をシアナが待っている晩餐室まで先導した。
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