5 / 9
だから、結婚しよう ☆
しおりを挟む
コウモリの羽にも似たとても大きな羽が背中から生え、お尻からは尻尾が覗き、楽しげに笑った彼の感情を表すかのように、ユラユラと動いていた。
私を苛む無数の触手は、ハロルド様の背後にある魔法陣らしきものから生えているようだった。
「騙してすまない。健康を害する睡眠薬は使っていないから安心してくれ」
「あ……、はい……」
私はいまだ自分がどうなったのか、彼が〝何〟なのか分からず、呆然として頷く。
「エメライン、私は淫魔だ。人の中に溶け込み、淫夢を見せては淫らな気に満ちた精気を分けてもらって生きている」
「淫魔……? え、……と。先代のガードナー候は……?」
「彼とは契約をした。先代侯爵の体質に問題があり、彼と妻の間には子が生まれなかった。彼には弟がいるが、折り合いが悪かったので可能なら弟に家督を譲りたくなかったらしい。だから私は彼と契約し、周囲の認識を歪ませて〝息子〟となった」
「あ……」
言われて、私はいつハロルド様が当主になったのだっけ……? と首をひねる。
けれど思い出そうとしても、若い彼が侯爵となった日を覚えていなかった。
どうも私も認識が歪められているらしく、それを知った瞬間、背筋に寒気が走った。
「それで……、これは……」
ニュルゥ…………と、触手に全身を撫でられた私は、ビクビクッ♡ と身を震わせながら尋ねる。
「君の精気はとても美味だ。だから私のご馳走になってくれたらと思って、ずっと機会を窺っていた」
「ごっ、ご馳走って……!」
まさかこのまま、触手に呑まれて死……!?
血の気を引かせた私を見て、ハロルド様は首を横に振った。
「君のような上質なご馳走を死なせる訳がない。もし君が望むなら、この世の何より気持ちいい事をしてあげよう。その上で、何でも願いを叶えてあげよう」
「わ、私は何をすれば……? あなたは何を望んでいるのです?」
こわごわと尋ねると、彼はニッコリと笑った。
「私に愛され、抱かれていればいい。何なら、結婚して妻になってくれると嬉しい」
ええと……。
ずっと彼を想っていたけれど、相手が淫魔だった場合はどうすればいいのだろう。
「私、淫魔の妻になるんですか?」
「表向きは人間のふりを続けるから、君は何も困らないはずだ」
「家の中でだけ、淫魔なのですか?」
「必要がなければ羽は出さないし、触手も出さない。普通に人間の男として君を抱いてもいい」
「わ、私……、……ハロルド様を、……お慕いしていたのです」
「ああ、分かっている」
彼はベッドの上に乗り、全裸で仰向けになっている私に迫ってくる。
「だから、結婚しよう」
私の目の前で、彼が麗しく整った顔でにっこり微笑む。
……あぁ、背後で触手が神様の後光のようにブワッと広がっていますが、嬉しいんですね……。
私はなまぬるーい笑みを浮かべ、諦めを覚える。
「健康に害を及ばさず、家族に迷惑をかけず、社交界の皆さんに後ろ指を指されないのなら……」
幾つか条件を提示すると、ハロルド様は私の手をとって甲にキスをしてきた。
「問題ない」
私の金髪を撫でたハロルド様は、とろりと笑って口づけてきた。
あぁ、ずっと憧れていた方とキスできるなんて……。
この際、淫魔だという事は割とどうでもいい。
……と思ってしまうぐらい、私は触手の粘液で身も心もトロトロにされていた。
柔らかい唇が触れ合い、うっとりとした頃になって彼の舌がぬるりと入り込んでくる。
「ん……っ」
彼にキスされている間、細い触手が私の淫芽をチロチロと撫でてきた。
「ふぅ……っ、う、――ん、んぅっ」
ハロルド様を抱き締めようとすると、腕を捉えていた触手が離れていく。
先ほどから全身に触手の粘液を擦りつけられ、体の奥に淫猥な熱がジンジンと宿っていた。
私はあまりの気持ちよさに腰を揺らし、陶酔して彼の舌を吸い、舐める。
するとハロルド様は、私の乳房を優しく揉んできた。
粘液がついた乳首を指でヌルヌルと撫でられると、触手だけでは感じられなかった心地よさが私を襲ってくる。
「ん……っ、はぁあ……っ♡」
私は解放された口から嬌声を漏らし、陶然と微笑む。
彼は私の太腿を左右に開き、粘液と愛液とでヌルヌルに光っている秘唇を見て病んだ笑みを浮かべた。
「綺麗だ……」
私を苛む無数の触手は、ハロルド様の背後にある魔法陣らしきものから生えているようだった。
「騙してすまない。健康を害する睡眠薬は使っていないから安心してくれ」
「あ……、はい……」
私はいまだ自分がどうなったのか、彼が〝何〟なのか分からず、呆然として頷く。
「エメライン、私は淫魔だ。人の中に溶け込み、淫夢を見せては淫らな気に満ちた精気を分けてもらって生きている」
「淫魔……? え、……と。先代のガードナー候は……?」
「彼とは契約をした。先代侯爵の体質に問題があり、彼と妻の間には子が生まれなかった。彼には弟がいるが、折り合いが悪かったので可能なら弟に家督を譲りたくなかったらしい。だから私は彼と契約し、周囲の認識を歪ませて〝息子〟となった」
「あ……」
言われて、私はいつハロルド様が当主になったのだっけ……? と首をひねる。
けれど思い出そうとしても、若い彼が侯爵となった日を覚えていなかった。
どうも私も認識が歪められているらしく、それを知った瞬間、背筋に寒気が走った。
「それで……、これは……」
ニュルゥ…………と、触手に全身を撫でられた私は、ビクビクッ♡ と身を震わせながら尋ねる。
「君の精気はとても美味だ。だから私のご馳走になってくれたらと思って、ずっと機会を窺っていた」
「ごっ、ご馳走って……!」
まさかこのまま、触手に呑まれて死……!?
血の気を引かせた私を見て、ハロルド様は首を横に振った。
「君のような上質なご馳走を死なせる訳がない。もし君が望むなら、この世の何より気持ちいい事をしてあげよう。その上で、何でも願いを叶えてあげよう」
「わ、私は何をすれば……? あなたは何を望んでいるのです?」
こわごわと尋ねると、彼はニッコリと笑った。
「私に愛され、抱かれていればいい。何なら、結婚して妻になってくれると嬉しい」
ええと……。
ずっと彼を想っていたけれど、相手が淫魔だった場合はどうすればいいのだろう。
「私、淫魔の妻になるんですか?」
「表向きは人間のふりを続けるから、君は何も困らないはずだ」
「家の中でだけ、淫魔なのですか?」
「必要がなければ羽は出さないし、触手も出さない。普通に人間の男として君を抱いてもいい」
「わ、私……、……ハロルド様を、……お慕いしていたのです」
「ああ、分かっている」
彼はベッドの上に乗り、全裸で仰向けになっている私に迫ってくる。
「だから、結婚しよう」
私の目の前で、彼が麗しく整った顔でにっこり微笑む。
……あぁ、背後で触手が神様の後光のようにブワッと広がっていますが、嬉しいんですね……。
私はなまぬるーい笑みを浮かべ、諦めを覚える。
「健康に害を及ばさず、家族に迷惑をかけず、社交界の皆さんに後ろ指を指されないのなら……」
幾つか条件を提示すると、ハロルド様は私の手をとって甲にキスをしてきた。
「問題ない」
私の金髪を撫でたハロルド様は、とろりと笑って口づけてきた。
あぁ、ずっと憧れていた方とキスできるなんて……。
この際、淫魔だという事は割とどうでもいい。
……と思ってしまうぐらい、私は触手の粘液で身も心もトロトロにされていた。
柔らかい唇が触れ合い、うっとりとした頃になって彼の舌がぬるりと入り込んでくる。
「ん……っ」
彼にキスされている間、細い触手が私の淫芽をチロチロと撫でてきた。
「ふぅ……っ、う、――ん、んぅっ」
ハロルド様を抱き締めようとすると、腕を捉えていた触手が離れていく。
先ほどから全身に触手の粘液を擦りつけられ、体の奥に淫猥な熱がジンジンと宿っていた。
私はあまりの気持ちよさに腰を揺らし、陶酔して彼の舌を吸い、舐める。
するとハロルド様は、私の乳房を優しく揉んできた。
粘液がついた乳首を指でヌルヌルと撫でられると、触手だけでは感じられなかった心地よさが私を襲ってくる。
「ん……っ、はぁあ……っ♡」
私は解放された口から嬌声を漏らし、陶然と微笑む。
彼は私の太腿を左右に開き、粘液と愛液とでヌルヌルに光っている秘唇を見て病んだ笑みを浮かべた。
「綺麗だ……」
109
お気に入りに追加
182
あなたにおすすめの小説
【R18】助けてもらった虎獣人にマーキングされちゃう話
象の居る
恋愛
異世界転移したとたん、魔獣に狙われたユキを助けてくれたムキムキ虎獣人のアラン。襲われた恐怖でアランに縋り、家においてもらったあともズルズル関係している。このまま一緒にいたいけどアランはどう思ってる? セフレなのか悩みつつも関係が壊れるのが怖くて聞けない。飽きられたときのために一人暮らしの住宅事情を調べてたらアランの様子がおかしくなって……。
ベッドの上ではちょっと意地悪なのに肝心なとこはヘタレな虎獣人と、普段はハッキリ言うのに怖がりな人間がお互いの気持ちを確かめ合って結ばれる話です。
ムーンライトノベルズさんにも掲載しています。
【R18】軍人彼氏の秘密〜可愛い大型犬だと思っていた恋人は、獰猛な獣でした〜
レイラ
恋愛
王城で事務員として働くユフェは、軍部の精鋭、フレッドに大変懐かれている。今日も今日とて寝癖を直してやったり、ほつれた制服を修繕してやったり。こんなにも尻尾を振って追いかけてくるなんて、絶対私の事好きだよね?絆されるようにして付き合って知る、彼の本性とは…
◆ムーンライトノベルズにも投稿しています。
【R18】幼馴染な陛下と、甘々な毎日になりました💕
月極まろん
恋愛
幼なじみの陛下に、気持ちだけでも伝えたくて。いい思い出にしたくて告白したのに、執務室のソファに座らせられて、なぜかこんなえっちな日々になりました。
【R-18】記憶喪失な新妻は国王陛下の寵愛を乞う【挿絵付】
臣桜
恋愛
ウィドリントン王国の姫モニカは、隣国ヴィンセントの王子であり幼馴染みのクライヴに輿入れする途中、謎の刺客により襲われてしまった。一命は取り留めたものの、モニカはクライヴを愛した記憶のみ忘れてしまった。モニカと侍女はヴィンセントに無事受け入れられたが、クライヴの父の余命が心配なため急いで結婚式を挙げる事となる。記憶がないままモニカの新婚生活が始まり、彼女の不安を取り除こうとクライヴも優しく接する。だがある事がきっかけでモニカは頭痛を訴えるようになり、封じられていた記憶は襲撃者の正体を握っていた。
※全体的にふんわりしたお話です。
※ムーンライトノベルズさまにも投稿しています。
※表紙はニジジャーニーで生成しました
※挿絵は自作ですが、後日削除します
色々と疲れた乙女は最強の騎士様の甘い攻撃に陥落しました
灰兎
恋愛
「ルイーズ、もう少し脚を開けますか?」優しく聞いてくれるマチアスは、多分、もう待ちきれないのを必死に我慢してくれている。
恋愛経験も無いままに婚約破棄まで経験して、色々と疲れているお年頃の女の子、ルイーズ。優秀で容姿端麗なのに恋愛初心者のルイーズ相手には四苦八苦、でもやっぱり最後には絶対無敵の最強だった騎士、マチアス。二人の両片思いは色んな意味でもう我慢出来なくなった騎士様によってぶち壊されました。めでたしめでたし。
【R18】赤ずきんは狼と狩人に食べられてしまいました
象の居る
恋愛
赤ずきんは狩人との待ち合わせに行く途中で会った狼に、花畑へ誘われました。花畑に着くと狼が豹変。狼の言葉責めに赤ずきんは陥落寸前。陰から覗く狩人は……。
ほぼエロのハッピー3Pエンド!
いろいろゆるゆるな赤ずきん、狼はケモノタイプ、狩人は赤ずきんと7歳違い。
ムーンライトノベルズでも公開してます。
【R18】××××で魔力供給をする世界に聖女として転移して、イケメン魔法使いに甘やかされ抱かれる話
もなか
恋愛
目を覚ますと、金髪碧眼のイケメン──アースに抱かれていた。
詳しく話を聞くに、どうやら、私は魔法がある異世界に聖女として転移をしてきたようだ。
え? この世界、魔法を使うためには、魔力供給をしなきゃいけないんですか?
え? 魔力供給って、××××しなきゃいけないんですか?
え? 私、アースさん専用の聖女なんですか?
魔力供給(性行為)をしなきゃいけない聖女が、イケメン魔法使いに甘やかされ、快楽の日々に溺れる物語──。
※n番煎じの魔力供給もの。18禁シーンばかりの変態度高めな物語です。
※ムーンライトノベルズにも載せております。ムーンライトノベルズさんの方は、題名が少し変わっております。
※ヒーローが変態です。ヒロインはちょろいです。
R18作品です。18歳未満の方(高校生も含む)の閲覧は、御遠慮ください。
【R18】幼馴染な陛下は、わたくしのおっぱいお好きですか?💕
月極まろん
恋愛
幼なじみの陛下に告白したら、両思いだと分かったので、甘々な毎日になりました。
でも陛下、本当にわたくしに御不満はございませんか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる