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終章 赦す者と赦される者 ☆
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純白のドレスはツルンとしていて、胸元から腰、スカートの中央には、金糸でオリーブの葉の刺繍がびっしりとほどこされている。
また、オフショルダーの背中側からは、神父が肩から提げるストラのように、同じく金糸の刺繍がほどこされた帯が下がっていた。
カタログを見ていて鞠花はこのドレスの高貴さに惹かれ、祥吾も「聖人っぽさが鞠花に似合うな」と同意して即決した。
祥吾も同じブランドの物にし、ネクタイはシルバー、ベストはブルーグレーだ。
彼が白を選んだのは、自分が鞠花に対して純白――何も隠さず、無垢な心で式に臨みたいと思ったかららしい。
式は順調に進み、誓いのキスとなる。
鞠花のウエディングヴェールを祥吾が上げ、二人は見つめ合って微笑んだ。
(お父さん、お母さん。この人と共に歩んでいきます。あの日彼を助けたのも、惹かれ合ったのも、きっと運命だと思うから)
荘厳なパイプオルガンの音色を聴き、鞠花は目を閉じる。
彼女の頬を祥吾の手が包み、優しく唇が重なった。
天井の高いチャペルにパイプオルガンの音が反響し、空へ空へと続いていく気がする。
(見ていてね。私、この人と一緒に幸せになるから)
誓いのキスが終わったあと、鞠花の目にはうっすらと涙が溜まっていた。
ハネムーンに選んだのは、モルディブだ。
ヨーロッパなども良かったけれど、日々ストレス過多で働いている祥吾の事を思うと、美しい海と空を眺め、日がな一日のんびりするのが一番だと思ったからだ。
「ん……、ン」
エメラルドグリーンの海を目の前に、神殿を模した白い柱のある円形ベッドで、鞠花は生まれたままの姿で祥吾からのキスを受けていた。
「しょ……ご、さん……」
彼の名前を呼ぶ声が、甘くかすれる。
そんな鞠花の濡れた蜜壷を、ズグズグと祥吾の一物が前後し、擦り立てる。
「あんっ! ン……っ、ん、ぁ……、待って……。休ませて……」
モルディブに来た初日から、祥吾は避妊具なしに何度も鞠花を求めてきた。
初日は美しい夕焼けを見ながらビーチで夕食をとり、そのあとプルメリアの花でハートを描かれたベッドで、朝まで抱かれた。
翌日もプールや海で水着になって遊ぶものの、人がこないのをいい事に、結局脱がされて交じり合ってしまう。
白い砂の上で四つん這いになって貫かれたかと思えば、プールの中で浮力を利用して子供のように抱き上げられた状態で、ジャブジャブと水音を立てて突き上げられる。
力尽きてうたた寝をし、復活した頃合いで、読書をしていた祥吾が気付き、またキスをして深い交歓となる。
昼も夜も鞠花は甘い声を上げ、本能のままに腰を振り立てた。
最初は「こんな退廃的な生活、駄目」と言ったものの、「こんなに休んで愛し合えるのは、滅多にないぞ?」と言われ、結局言う事を聞いてしまう。
今もまた、西の空が赤やオレンジ、朱、黄色に金色、薄紫……と、震えがくるほど美しいグラデーションに彩られているのを見上げ、ガツガツと腰を振られていた。
「んぅ……っ、あ、あんっ、あ、あぁ……っ」
彼が腰を突き入れるたび、鞠花の大きな乳房がユサユサと揺れる。
鞠花を見下ろす祥吾は、汗で濡れた髪を顔に貼り付かせ、頬を流れて唇に到達した汗をペロリと舐める。
――綺麗な人。
最初に抱いた印象はそのまま、こんな美しい男性と結婚したのがいまだ信じられない。
「鞠花……っ、愛してる……っ」
色っぽくかすれた声を聞くたび、一人の女性としての自尊心が満たされてゾクゾクした。
「君だけだ……っ、好きだ……っ、ずっと、このままずっと……っ」
果てしない願いを、熱に浮かされたように口にしながら、祥吾は鞠花を貫き、両手で乳房を揉んでは彼女のお腹や腕を撫でる。
その目には、鞠花しか映っていない。
――この人を、こんな風にしてしまったのは私のせいだ。
喜びとも反省ともつかない感情がこみ上げ、鞠花は愉悦のままに目を細めた。
――大丈夫、一生側にいるから。
――そんな、捨てられる子供みたいな目をしなくても、もう逃げないよ。
突き上げられ犯されている中、鞠花には彼の必死な気持ちが、全身を伝わって分かる気がした。
一度彼の前から失踪したからこそ、祥吾は二度と鞠花を失ってなるものかと、心の底に怯えを抱えている。
――ごめんね。
それを申し訳なく思いつつ、これが自分なりの甘美な復讐なのだと思った。
――一生、私を求めて、愛して。
「好き……っ、ぃ――――」
泣き声にも似た嬌声を聞き、蜜洞の中で祥吾の一物がぐんっと質量を増した。
「あぁ……っ、鞠花……っ」
祥吾の抽送はいっそう激しくなり、繰り返す潮騒に二人の激しい息づかいが混じる。
「一生、……っそばに、――ぃ、るから……っ」
彼を安心させるために頭を撫でると、祥吾は許しを与えられた罪人のように、泣きそうな顔で笑った。
赦す者と赦される者。
最終的に、二人は歪んだ形で繋がってしまった。
それでも、祥吾は「幸せだ」と言うのだろう。
そして、鞠花も自分は幸せだと思う。
繰り返し打ち付ける波の音を聞きながら、鞠花は何度目になるか分からない絶頂を果たし、喜悦の涙を流した。
完
また、オフショルダーの背中側からは、神父が肩から提げるストラのように、同じく金糸の刺繍がほどこされた帯が下がっていた。
カタログを見ていて鞠花はこのドレスの高貴さに惹かれ、祥吾も「聖人っぽさが鞠花に似合うな」と同意して即決した。
祥吾も同じブランドの物にし、ネクタイはシルバー、ベストはブルーグレーだ。
彼が白を選んだのは、自分が鞠花に対して純白――何も隠さず、無垢な心で式に臨みたいと思ったかららしい。
式は順調に進み、誓いのキスとなる。
鞠花のウエディングヴェールを祥吾が上げ、二人は見つめ合って微笑んだ。
(お父さん、お母さん。この人と共に歩んでいきます。あの日彼を助けたのも、惹かれ合ったのも、きっと運命だと思うから)
荘厳なパイプオルガンの音色を聴き、鞠花は目を閉じる。
彼女の頬を祥吾の手が包み、優しく唇が重なった。
天井の高いチャペルにパイプオルガンの音が反響し、空へ空へと続いていく気がする。
(見ていてね。私、この人と一緒に幸せになるから)
誓いのキスが終わったあと、鞠花の目にはうっすらと涙が溜まっていた。
ハネムーンに選んだのは、モルディブだ。
ヨーロッパなども良かったけれど、日々ストレス過多で働いている祥吾の事を思うと、美しい海と空を眺め、日がな一日のんびりするのが一番だと思ったからだ。
「ん……、ン」
エメラルドグリーンの海を目の前に、神殿を模した白い柱のある円形ベッドで、鞠花は生まれたままの姿で祥吾からのキスを受けていた。
「しょ……ご、さん……」
彼の名前を呼ぶ声が、甘くかすれる。
そんな鞠花の濡れた蜜壷を、ズグズグと祥吾の一物が前後し、擦り立てる。
「あんっ! ン……っ、ん、ぁ……、待って……。休ませて……」
モルディブに来た初日から、祥吾は避妊具なしに何度も鞠花を求めてきた。
初日は美しい夕焼けを見ながらビーチで夕食をとり、そのあとプルメリアの花でハートを描かれたベッドで、朝まで抱かれた。
翌日もプールや海で水着になって遊ぶものの、人がこないのをいい事に、結局脱がされて交じり合ってしまう。
白い砂の上で四つん這いになって貫かれたかと思えば、プールの中で浮力を利用して子供のように抱き上げられた状態で、ジャブジャブと水音を立てて突き上げられる。
力尽きてうたた寝をし、復活した頃合いで、読書をしていた祥吾が気付き、またキスをして深い交歓となる。
昼も夜も鞠花は甘い声を上げ、本能のままに腰を振り立てた。
最初は「こんな退廃的な生活、駄目」と言ったものの、「こんなに休んで愛し合えるのは、滅多にないぞ?」と言われ、結局言う事を聞いてしまう。
今もまた、西の空が赤やオレンジ、朱、黄色に金色、薄紫……と、震えがくるほど美しいグラデーションに彩られているのを見上げ、ガツガツと腰を振られていた。
「んぅ……っ、あ、あんっ、あ、あぁ……っ」
彼が腰を突き入れるたび、鞠花の大きな乳房がユサユサと揺れる。
鞠花を見下ろす祥吾は、汗で濡れた髪を顔に貼り付かせ、頬を流れて唇に到達した汗をペロリと舐める。
――綺麗な人。
最初に抱いた印象はそのまま、こんな美しい男性と結婚したのがいまだ信じられない。
「鞠花……っ、愛してる……っ」
色っぽくかすれた声を聞くたび、一人の女性としての自尊心が満たされてゾクゾクした。
「君だけだ……っ、好きだ……っ、ずっと、このままずっと……っ」
果てしない願いを、熱に浮かされたように口にしながら、祥吾は鞠花を貫き、両手で乳房を揉んでは彼女のお腹や腕を撫でる。
その目には、鞠花しか映っていない。
――この人を、こんな風にしてしまったのは私のせいだ。
喜びとも反省ともつかない感情がこみ上げ、鞠花は愉悦のままに目を細めた。
――大丈夫、一生側にいるから。
――そんな、捨てられる子供みたいな目をしなくても、もう逃げないよ。
突き上げられ犯されている中、鞠花には彼の必死な気持ちが、全身を伝わって分かる気がした。
一度彼の前から失踪したからこそ、祥吾は二度と鞠花を失ってなるものかと、心の底に怯えを抱えている。
――ごめんね。
それを申し訳なく思いつつ、これが自分なりの甘美な復讐なのだと思った。
――一生、私を求めて、愛して。
「好き……っ、ぃ――――」
泣き声にも似た嬌声を聞き、蜜洞の中で祥吾の一物がぐんっと質量を増した。
「あぁ……っ、鞠花……っ」
祥吾の抽送はいっそう激しくなり、繰り返す潮騒に二人の激しい息づかいが混じる。
「一生、……っそばに、――ぃ、るから……っ」
彼を安心させるために頭を撫でると、祥吾は許しを与えられた罪人のように、泣きそうな顔で笑った。
赦す者と赦される者。
最終的に、二人は歪んだ形で繋がってしまった。
それでも、祥吾は「幸せだ」と言うのだろう。
そして、鞠花も自分は幸せだと思う。
繰り返し打ち付ける波の音を聞きながら、鞠花は何度目になるか分からない絶頂を果たし、喜悦の涙を流した。
完
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