【R-18】年下国王の異常な執愛~義母は義息子に啼かされる~【挿絵付】

臣桜

文字の大きさ
上 下
61 / 71

番外編3:新婚調教10

しおりを挟む
 連日、リディアはオーガストに体を求められる。

 昼間は倦怠感を引きずってぼんやりとし、体力が回復しきっていないまま、夜になると朝まで抱かれる。
「疲れるからいや」と口では言っても、オーガストに「お願い」と求められると断ることができない。おまけに一度キスをし、体に触れられれば、それまで頑固に「感じてなるものか」と思っていた心と体があっけなく開かされる。

 その日もまた、広々とした部屋でリディアはまどろんでいた。
 オーガストは少し離れたところで本を読み、リディアは故郷の家族に手紙を書いているところだ。
 しかしいつの間にかリディアはペンを置き、幅広のソファに身をもたれさせうとうとと目を閉じている。

「……リディア」
「……ええ」

 オーガストの声にふぅっと意識が戻り、リディアは目をしばしばさせてペンを持とうとする。

「そんなに疲れてるのか?」

 ふとオーガストが本を閉じ、立ち上がってこちらにやってきた。

「平気よ」

 口ではそう言うのだが、実際眠たくて堪らない。

「あなたを求めるのは自然なことだから、反省はしないし謝らない。だが心配はさせてくれ」

 リディアが座っているソファに腰掛けると、オーガストは彼女を引き寄せ自分の膝に頭を乗せさせる。

「こうやって少し眠ればいい。大丈夫、ここにいる間は仕事も何もないから」
「……ええ……」

 オーガストの香りが鼻腔を満たし、リディアは静かに深呼吸をしたあと目蓋を閉じる。優しく頭を撫でられているうちに意識が深い場所へ落ちていって、そのままぐっすりと眠ってしまった。






「ん……」

 目覚めると幾分気持ちがスッキリしているように思える。

「ありがと……。オーガスト……」

 まだ寝起きのポヤポヤとした声で礼を言うと、額をサラリと撫でられた。

「本……読んでるの?」

 リディアは仰向けで寝ていて、オーガストの手元に『経済進化論』という堅苦しいタイトルの本があるのに気づく。

「読んで『いた』。あなたが目覚めたなら、あなたとの時間を大事にしたい」

 新婚の夫らしいことを言われ、つい胸の奥が甘く疼く。
 しかしオーガストが手を動かし、サラリとリディアの乳房を撫でたものだから、驚いて起き上がった。

「え……っ。えぇっ?」

 コルセット等を用いないリディアのシュミーズドレスは、すっかり胸元が晒されて乳房がまるごと出てしまっている。

「ま、また悪戯をしたの!?」
「俺の前で眠るあなたが悪い。俺はあなたが寝ている間に悪戯をする、常習犯だと分かっているだろう」

 しかし悪びれもせず言い返されるので、リディアとしても論破する言葉が見つからない。

「それはそうだけれど……。ああ、もう。私ってつい、オーガストに『いい子』とか『良い夫』の姿を求めてしまうのよね。現実は『お母様が寝ている間に体を弄んだ悪い子』で、『年相応の欲を持つ夫』なのに、どうしてこう……。オーガストに夢を見てしまうのかしら?」

「あぁ……」と溜め息をつきつつ、リディアは乳房を隠しまたオーガストの膝に頭を乗せる。

「俺は『悪い子』で『年相応』か?」

 しかしリディアは、その言葉がオーガストが最も気にしている〝年齢差〟を逆撫でしたと気づいていない。
 オーガストがどんな想いでリディアの就寝中に手を出し、今だって彼女の前では年齢以上に見られる落ち着きと威厳を兼ね揃えるよう努力しているかなど、彼女は知らない。

 周囲から見ればオーガストは二十一歳と思えない落ち着きがあり、先見の明もあり立派に国王として務めを果たしている。
 しかしリディアから見れば、オーガストはいつまで経っても『まず息子』であり、それが『夫になった』のは変わらない。

 パタン、と本をサイドテーブルに置き、オーガストは両腕でリディアの上半身を抱え自分にもたれさせる。
 剥き出しになった乳房をやわやわと揉み、リディアの唇を摘まんだ。

「散々あなたに種付けしている俺を、いまだ子供扱いするのか?」

 毎日興が乗ると自分から「母上」と言っているくせに、オーガストはねちねちとリディアを責める。
 薄いドレスの上から秘部に手を置き、揉み込むように刺激してゆく。

「ぁん……。だ、だから子供扱いはしていないってば……。いまのあなたは私の旦那様でしょう? それはちゃんと分かっているわ」

 リディアとて、己の胸に沸き起こる気持ちをどう説明すればいいか分からない。

 最初こそ、『殿下』が自分に懐いてくれて本当に嬉しかった。
 ブライアンに気に入られたいと思うと同時に、オーガストとも懇意になり、血は繋がっていなくても本当の家族のようになれれば……と思った。

 だがブライアンが逝去し、リディアが愛情を向ける存在はただ一人になった。
 ブライアンの中に『男』を感じる間もなく、彼はいなくなってしまう。もちろんリディアもそれまで恋愛らしい恋愛をしていない。

 目の前でぐんぐん成長してゆくオーガストは、『男の子』から『少年』へ変わり、母であるリディアに我が儘を言ったり不器用に甘えてくる。

 その頃からやけにボディタッチが多いと思っていたが、彼が『青年』になる頃には、オーガストの目に込められる熱に気づいてしまった。

 リディアが裁縫やレース編みをしている時、視線を感じて顔を上げればオーガストがじっと見ている。「なに?」と尋ねても「別に」と言って、視線を逸らした。だがまたリディアが手を動かすと、あのまとわりつくような視線を感じるのだ。
 髪を上げた時の首筋や、ドレスから覗く胸元、コルセットで締めた腰やそこからドレスに覆われる臀部。そのようなものに視線を感じていた。

 思春期だから、近くにいる自分が気になるのだろう。

 そう思おうとしても、他にも侍女や女官、メイドたちがおり、オーガストにもっと年齢が近い者だって毎日側で仕事をしている。

 だというのに、なぜ『母親』である自分にそのような目を向けるのだろう? と、疑問と共にゾクリとした背徳を覚えた。
 オーガストが自分を『女』として扱うたび、口では毅然として「いけません」と拒絶するのに、内なる女が悦んでしまうのだ。
 リディアはそれを、懸命に「自分は男性を知らないからだ」と言い聞かせていた。

 どんな男性にも特別扱いされず、女として求められなかった。だから、オーガストに優しくされて、独占欲を見せられ、求められると嬉しくなってしまう。
 しかしそれは「いけないことだ」というのも、重々分かっている。

 彼はいずれ国王となり、どこかから王女なり大貴族の令嬢なりを娶る。そのときリディアは『国王の母』として存在し、彼から一歩離れた場所に立たなければいけない。
 もしかしたら同じ屋根の下でオーガストは花嫁と毎日子作りに励むかもしれないし、世継ぎが生まれたら自分は『おばあさま』だ。

『それ』はガーランドを思えば、喜ぶべき光景だ。

 しかし一個人のリディアからすれば、見たくない光景でもあった。

 オーガストに求められれば求められるほど、リディアも彼に依存し離れがたくなってしまう。
 そうなってしまう前に、政略結婚でもいいからどこか遠い場所に嫁いでしまいたかった。大切なオーガストとの思い出を胸に、別の男の妻となり、オーガストを想って抱かれるのだ。

 いずれ子を孕み、完全に別の家の人間となって、公の場でオーガストとよそよそしい挨拶をする……。

 ――そこまでの未来を覚悟していた。




 だから、知るよしもない。

 オーガストが最初からリディアを妻にしようと画策し、手放す気など毛頭無かったなど。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

処理中です...