【R-18】年下国王の異常な執愛~義母は義息子に啼かされる~【挿絵付】

臣桜

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番外編1義息子の劣情:二十歳の企み1

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「母上、おはようございます。今朝は遅かったですね」
「おはよう、オーガスト。……そうね、少し体がだるいような気がして」

 朝食の席に、リディアはいつもより遅れて姿を現した。

 貞操帯をつけて二日目だからか、その歩き姿は幾分ぎこちない。

 しかしリディアの体調不良はそれだけではない。

 昨晩獣のような声を出すほど感じさせられ、そのあとオーガストの熱杭でたっぷりと擦られた。
 本当に抱かれたときと遜色ない体力の使い方をし、目覚めてすぐ起き上がれなかったほどだ。

 何も知らないリディアは、それもこれも慣れない貞操帯というものをつけたせいだと決め込んだ。なのでオーガストを見る目も、若干恨みがましいものだったのだが……。

 けれど正直を言えば、このように体の疲れを感じて目覚めるのも、ここ数年ずっとだ。だから本心では、まだ二十代だが歳を取って疲れが抜けなくなったのだなと悲しく思っていた。

「あなたは国母ですから、どうぞお体を大切に。もし政務が無理なようなら、自室で横になっていていいですからね」
「気持ちはありがたいけれど、お仕事をお休みすることなどできないわ」

 何事もなかったかのような顔でリディアに提案したオーガストは、たっぷりと睡眠をとり英気を養っていた。

 昨晩リディアを自らの手で清めたあと、ちゃんと貞操帯をつけさせ同じデザインのネグリジェを着せる。

 それから空が白む時間まで、リディアを抱き枕にぐっすりと眠ったのだ。

 早朝はいつも騎士たちと体を鍛えることになっている。
 淫戯自体も四年前から続けているので、起きる時間も把握していた。
 朝になれば隠し通路を通って自分の寝室に戻り、それとなく寝具を乱して鍛錬に出掛ける。

 少なくとも彼はこの生活を、二十一歳になるまでずっと続けるつもりだ。


**


 そしてオーガストが二十一歳になる前日。

『すべて』の準備を終え明日を待つだけとなったオーガストは、リディアと盃を交わしていた。

「本当におめでとう、オーガスト。明日であなたは殿下ではなく陛下と呼ばれる存在になるわ」

 すでに二十八歳の誕生日を迎えたリディアは、艶然と微笑んだ。

 六年前よりもさらに女っぷりに磨きがかかり、その肢体も官能的になった彼女は、目にした者の心を奪う魔性の美しさを醸し出している。
 その彼女はいつも何かしら忙しく働いていて、個人的に近付きたいと思う者を自然と阻んでいた。

 リディアにあれこれ仕事を振り分けるのも、オーガストの差し金だったのだが。
 そんな彼女の個人の時間を独り占めできるのはオーガストだけだし、明日強引に結婚してしまえば、一生彼女を自分のものにできる。

 ――実に結構。

 オーガストは内心舌なめずりをしていた。

 加えてこの六年で、リディアも貞操帯に慣れたようだ。

 同時に真夜中の淫戯も遠慮がなくなり、挿入する以外のことは一通りこなした。

 十一歳のときからずっとリディアの閨に忍び込んでいるので、彼女の月のものの周期も把握している。
 いまではオーガストの秘密の手帳にメモをし、新婚となったあかつきにいつなら確実に孕ませられるかも分かっていた。

 リディアが自分を思う以上に、オーガストという男はリディアを分かっている。

 反抗期の頃ならすぐリディアと喧嘩をしていたが、いまなら彼女がカリカリしているのを見て「ああ、『そろそろ』なのか」と生暖かい気持ちで理解を示すほどだ。

「すべて母上が側で見守り、深い愛情で包み込んでくださったからですよ」

 意味深長な言葉を口にするが、リディアは字面を受け取って微笑む。

「いいえ、私の愛情だけでオーガストが育ったのではないわ。あなたがたゆまぬ努力をし、精進し続けたからよ。お母様は鼻が高いわ」

 もうすっかり『母』の顔をしているリディアの心のなかに、ブライアンが占める箇所はほぼないのだろう。

 ドレスも宝石も、すべてオーガストが見立てた。

 ブライアンのことを考える暇もなくオーガストが相手をし、彼女が一人になる時間があれば『息子』の顔をして甘える。
 そうすれば、リディアは絶対に断れないと分かっているからだ。

 いまなら何を言えばリディアが喜び、悲しみ、怒るのかすべて理解している。
 なので普段はリディアの理想の息子を演じ、オーガストが立腹したときだけわざと意地悪を言うことにしていた。

 結果リディアはオーガストの言葉に揺さぶられ、見事なまでに息子の言うなりになる。
 息子の我が儘に振り回されているのではなく、リディアは「自分は母としてオーガストの言葉すべてを迎え入れている」と思い込んでいた。

 年を追うごとに、リディアのオーガストへの執着は増してゆく。
 本当はそれよりもオーガストの執着のほうが凄まじいのだが、彼は周囲に気付かれる素振りを見せていない。

「リディア様は本当に殿下がお好きなのですね」と周囲に笑われるほど、リディアの世界はオーガスト一色に塗り変わっていた。

 いまリディアは幸せいっぱいという顔をし、白ワインのグラスを傾けている。
 彼女にとっては祝杯なのだろう。

「母上、あまり調子に乗って飲み過ぎないように。明日は大事な式典がありますから」
「ええ、分かっているわ。でもこのワイン美味しいから、もう一杯……」

 手酌でワインをおかわりしようとするリディアの手から、オーガストがボトルを取り上げた。

「この一杯でおしまいですよ? あなたはあまり酒が強くないのだから」
「分かったわ。約束する」

 トクトクと薄い琥珀色が注がれ、リディアはエメラルドグリーンの瞳を細めてその様子を見守っている。

「明日で国王陛下になる方に、お酌をしてもらうなんて贅沢だわ」
「何を言っているんです。母上なら毎日でも酌をしますよ」

「駄目よ。あなたには隣に座るべき王妃陛下がいるのだから。私は明日で『あれ』を外すけれど、オーガストも約束通り結婚する相手は決めたの? いままで舞踏会を開いても、これといった噂話を聞かなかったけど……」

 突如始まったお説教にも、オーガストは動じない。

「ええ、もう決めてありますからご心配なく」
「本当!?」

 いきなり雪でも降ったかのような表情で驚いたリディアの手元で、チャプッとワインが撥ねた。
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