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絶望と救い1 ☆

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 自分はカルヴィンに恋心はない。けれど宰相としてずっと頼りにしていたのは確かだ。

 そんな彼の口から、リディアの価値は若さと外見だけと言われた。あまつさえ家柄を引き合いに出され、臣下たちに歓迎されていなかったと聞かされれば心がくじけそうになる。

 けれど背後からオーガストが囁いてきた。

「カルヴィンを擁護する訳ではないが、別に臣下たちはあなたの輿入れに反対などしていない。むしろパールに散々王宮を荒らされた後だったから、今度こそまともな女性が城に入ると期待していた。カルヴィンとてあの女を前に貶める訳にはいかないのだろう。あいつの言葉であなたが心を痛める必要はない」

 背後から抱きすくめられ、オーガストの体温を全身に感じる。低い声も、自分を探る指までもが今は頼もしく思えていた。

「……ありがとう、オーガスト」

「私がランチェスター子爵の交易を掴み、商業を牛耳る事ができれば、もっと前から甘い汁を吸う事ができたのですけれどね。つくづくあの前陛下は余計な事をしてくださった。私の政や提案にも口を出してきますし、亡くなられてせいせいしました」
「まぁ、悪い人だわ」
「……あぁ、あ。パール様、もう出てしまいます」

 パールの舌技を受けてカルヴィンは降参をする。その声を聞きパールは自ら四つ這いになった。

「きて……カルヴィン」

 誘惑するように尻を振るパールに、カルヴィンはキスをする。

 そしてパンッと大きく音を立ててパールの尻を叩いてから、王太后の口淫を受け大きくなった逸物をねじ込んだ。
 すぐにパールのあられもない嬌声が始まり、聞くに堪えない水音やパンパンという音が耳に入ってくる。

 ぐ……と我慢をしてリディアは息を潜めていたが、少し大人しくなっていたオーガストがまた動き出した。

「リディア、俺たちもしようか」

 彼女の腰を掴みオーガストは花弁の濡れ具合を確かめる。

「な、何を言っているの? こんな所で……。もし声が聞こえてしまったら、私たちがここにいるのが分かってしまうわ」
「あいつらも行為に耽っているからバレやしないさ」

 オーガストがガウンの前をはだけ、トラウザーズから屹立がブルリと跳ね出した。押し当てられるや否や、ズブンと勢いよく灼熱の塊がリディアを貫いた。

「――――っ!」

 悲鳴を上げそうになったのを必死に堪え、リディアは壁に縋り付いた。
 背後から貫かれ、華奢な腰が揺さぶられる。巨大な質量が隘路を穿ち、擦り、ジュプジュプと激しい水音をたて前後した。

「っふ、んン! っ……ぁ、――むゥッ」

 片手で壁に指を立て、片手は懸命に口を押さえ指すらも押し込む。懸命に声を堪えているというのに、オーガストは遠慮無くリディアを蹂躙する。
 覗き穴の向こう側でも同様の行為が行われ、あちらはパールがはばかりもなく声を上げていた。

「もっと声をお上げなさい、パール様。あなたは女王のような方だが、こうして男に組み敷かれ快楽を与えられるのがお好きなのでしょう? あなたが王座に就いたあかつきには好きなだけ財を使い、好きなだけ男を咥え込むといい。これからまた、あなたの時代が来るのです」
「あぁーっ! あぁ、カルヴィン! カルヴィン!」

 震える手でリディアはのぞき窓を閉じた。

 目からはとめどなく涙が零れ、床に滴ってゆく。だというのに狭い通路には自分とオーガストの熱く荒い息が入り交じり、体は火照ってゆく。

「ねぇ……、言っただろう? リディア。決して俺以外の男を信じてはいけないと。あなたの味方なのは俺だけだと」

 最奥まで逸物をねじ込み、グリグリとオーガストが子宮口を切っ先で虐めてくる。
 意識が飛んでしまいそうなほど気持ち良く、彼の言葉がすんなりと心に染み入ってきた。

「えぇ……そうね。私はもう、あなた以外の人は信じない。政も何もかも、カルヴィンの言葉は信じずに王であるあなたに傅くわ……っ」
「それでいい」

 ちゅぽんと一度屹立が引き抜かれ、媚肉が名残惜しいとわなないた直後、体をひっくり返され真正面から再び挿入された。

「っン……ぅ」

 壁に体を押しつけられ、グゥッと身長差を利用して突き上げられる。同時に深いキスが始まり、リディアもオーガストに縋り舌を絡めていた。

 ――もう私にはオーガストしかいない。
 ――いや、最初から誰も味方なんていなかった。

 ――私は陛下に毒を盛ってしまった。

 ――それを知っていて、オーガストはずっと側にいてくれて、支え続けてくれていた。
 ――彼に応えるには、母としての気持ちは忘れて女として愛し返さなければ。

「……リディア、部屋に戻ろう」

 耳元でオーガストが熱く囁き、繋がったまま彼女を抱え上げた。

「んぅっ、……ぁ。怖いわ、オーガスト」

 屹立に貫かれたままリディアはオーガストに手足でしがみつき、落ちないようにと力を込める。

「あなたはそうやって、ただ俺に縋っていればいい」

 カンテラを片手に、オーガストはリディアの尻に手を食い込ませゆっくりと歩き出した。

「んぅ、……ふぅ……」

 オーガストが歩く度にずん、ずん、と深い刺激が加わり、リディアは声を押し殺し夫の肩口に熱い息を吐きかける。涙は次から次へと零れ、彼女は少女のようにしゃくり上げていた。

「いいか、リディア。カルヴィンがずっと大人しくしていたのは、俺が即位するまであなたは結婚しないという意志を尊重していただけに過ぎない。即位式の時に強引に結婚しなければ、すぐにあいつは手を打っていただろう」
「……私、即位式の前にカルヴィンに想いを告げられたわ。……ン」

 あの時は純粋な驚きと、微かに嬉しいと思う気持ちがあった。
 けれど今は、カルヴィンの言葉や行動のすべてに汚らしい裏があるように思えて仕方がない。

「あいつはそういう男なんだ。外面は笑顔でいかにも『あなたのためです』というふりをして、本心では自分の益になる事しか考えない」
「……カルヴィンはお父様を陥れようとして、私に毒を持たせて陛下までも……」

 柔肉の奥深くに硬い亀頭が食い込むのが堪らなく気持ちいい。気を抜けばオーガストの肩を涎で汚してしまいそうだ。
 けれど口では絶望的な話をしていて、心と体がバラバラになりそうな感覚に陥る。

 頭の中でブライアンの優しい笑顔が浮かび、大きな手やとても良い扱いをしてくれた思い出が蘇る。
 同時に病に冒され、血の気が失せ髪も抜けてしまったあの痛々しい姿がまな裏にくっきりと浮かび上がる。

 ――ああ、自分は罪を犯したのだ。
 ――この身を欲してくれた優しい国王陛下に、自分は反逆の毒を飲ませてしまった。

 あまりの絶望に体が震え、芯がとても冷えている気がする。けれど貫いているオーガストの肉棒は熱く、それだけが揺るぎない現実に思えた。
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