上 下
17 / 71

初夜4 ☆

しおりを挟む
「……は……、はぁ……」

 顔を真っ赤にしてクタリと脱力しているリディアを、オーガストが陶然と見下ろす。
 その手は己の昂ぶりに添えられ数度しごいた後、クッションの数を減らしリディアの腰の高さを調節した。

「リディア、もう我慢できない。俺があなたを女にする」

 感極まったオーガストの顔も赤くなっていた。目は微かに潤み、リディアの腰を押さえている手も僅かに震えている。

「……オーガスト……」

 まだ白く霞む世界に意識を浸らせつつ、リディアは腕を伸ばしてオーガストの黒髪を撫でた。彼が幼い頃にしていたように、優しく愛情を込めて。

「リディア、初めてだから痛むかもしれない。たっぷり濡らしたけれど、もし痛かったら迷いなく俺の体にしがみついて爪を立てていいから」
「……あなたの体に傷を付けられないわ」

 この期に及んでもオーガストを気遣うリディアに、彼は心からのキスを贈る。

 そして先端を蕩けきった蜜口に宛てがい、ゆっくりと腰を進めた。

「ん……、ぁ、――あぁ……っ、――いた、……んン……」

 大きな先端がクプンと侵入に成功した後、野太い竿が続いてメリメリとリディアの処女肉を味わってゆく。
 疼痛に苛まれリディアは眉間に皺を寄せ、唇を一文字に引き結ぶ。小鼻が動いて懸命に呼吸をしているのに気付き、オーガストはリディアの唇に指を挿し入れた。

「リディア、我慢しなくていい。ほら、手はこっち」

 初めて味わった女の体は、十一年間焦がれ続けた女性(ひと)のものだった。

 あまりの喜びにオーガストの声は掠れ、目に涙が溜まっている。リディアの目にも同様に透明な雫が滴っているのを認め、彼は指先で拭ってくれた。
 敷布を両手で掴んでいるリディアの手を、オーガストが己の背中に導く。すぐに細い指が立てられ渾身の力が込められるが、その痛みすらオーガストにとっては誉だった。

「リディア、痛いか?」

 優しい指がスリスリと頬を撫でてくる。気遣わしげに顔の輪郭を辿り、耳や唇に触れてくる。その気持ちが嬉しくて、リディアは薄らと笑っていた。

「……大丈夫よ、オーガスト。……あなたは? 気持ちいいの?」

 ゆっくりと処女肉の中を進んだ屹立は、あと少しで最奥に先端を届かせるところだった。
 けれどオーガストは女性の最奥は、慣れると感じるけれど最初は痛むだけだと学んだので無理に入れようとしない。

「とても気持ちいい。リディア。……あぁ、やっぱりあなたは最高だ」

 陶酔した声が応え、オーガストは体を重ねるようにしてキスをしてくる。ちゅ、ちゅ、と唇を啄み、先ほどのように舌を差し入れて互いを探り合い――。
 挿入しただ愛しむオーガストを、リディアは更に気遣う。

「動かなくていいの? 経験はないけれど、噂では寝台が軋むほど動くものだと聞いたわ」

 するとオーガストがフッと年相応の笑顔を見せた。

「あなたはどこからそんな情報を仕入れてくるんだ? 侍女あたりか? 慣れれば激しくして快楽を得られるが、処女にそんな真似をしたらナカを傷めてしまう。俺はあなたとの最初の一回を大事にすると決めているんだ。あなたが変な事を気遣う必要はない」

「た、確かに侍女だけれど……。けれどそうなのね。……オーガストが望むようにしてくれればいいわ。私はさっき十分に気持ち良くさせてもらったから」

 胎内にみっちりとオーガストを感じつつも、リディアはまだ疼痛を手放せていない。
 それでも気持ち的には、オーガストが気持ちいいのなら動かれて痛んでも構わないとすら思っている。

「だからあなたは……。気持ち良くなるのは一緒でなければ嫌だと言っているだろう」

 密着していた体を離し、オーガストはリディアのなだらかな腹部を撫でる。ちょこんと窪んだ臍の周囲をくるりと指先で撫で、あえかに生えた銀色の茂みをサリサリと梳る。

「う……ん……」

 恥丘のあたりを優しく圧迫されると、リディアは悩ましげな声を出して彼を締め付けた。

「ここを触っても気持ち良くない?」

 ギュウギュウと締め付ける膣肉に耐えつつも、オーガストはどうしても挿入したままリディアに達してほしかった。
 親指でまるく膨れた肉真珠を弾くと、目に見えるほどビクンッとリディアの体が跳ねた。

「っあぁ! ……っそこは、ダメっ」

 重たい疼痛が支配する下腹部に、ジワンと快楽がない交ぜになる。痛いはずなのに続けてヌルヌルと肉真珠を虐められ、やがて蜜の量が増えていった。

「ダメ? 気持ち良くない?」
「……っ、きもち……っ、から、――ダメっ」

 後頭部を敷布に押しつけ、狂おしく頭を振ると髪が擦れる音がする。
 敏感な真珠を転がされ、いつの間にかリディアの口端からは透明な糸が垂れてしまう。
 疼痛と快楽の狭間で意識がたゆたい、うっとりと細められた目はこの上なく美しいオーガストを見つめていた。

「ほら、リディア。もう一度達してごらん。そうしたらもっと気持ち良くなれるから」

 耳朶をくすぐる低い声がし、リディアの快楽のみを追求する指がピチャピチャと真珠を擦り続ける。

「ん……っ、ン、んぁ、あ――、あぁ……っ、ん、――ぁっ」

 ギュウッとリディアの締め付けが強くなり、オーガストを深くまで咥え込んだまま彼女が達した。
 締め付けられたオーガストは、彼女の入り口がきつく喰い締め、オクがふわんと広がるのを感じる。同時にドッと蜜の量が増え、オーガストをぬるついた欲で包み込んだ。

「……っ、リディア、少し動く」
「ン……っ、いいわ……っ」

 あくまでもリディアに丁寧なオーガストは、宣言をしてからゆるゆると腰を動かし出した。
 食い千切られそうな締め付けの中、ほんの僅かに腰を揺らすだけで得も言われぬ快楽が訪れる。

 リディアもまた、指や舌とは違うモノの感触に全身が総毛立った感覚を覚えた。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

閉じ込められて囲われて

なかな悠桃
恋愛
新藤菜乃は会社のエレベーターの故障で閉じ込められてしまう。しかも、同期で大嫌いな橋本翔真と一緒に・・・。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

森でオッサンに拾って貰いました。

来栖もよもよ&来栖もよりーぬ
恋愛
アパートの火事から逃げ出そうとして気がついたらパジャマで森にいた26歳のOLと、拾ってくれた40近く見える髭面のマッチョなオッサン(実は31歳)がラブラブするお話。ちと長めですが前後編で終わります。 ムーンライト、エブリスタにも掲載しております。

処理中です...