516 / 539
番外編 2 タワマン事件簿
私は殴られっぱなしのサンドバックじゃない
しおりを挟む
「〝男友達〟は大勢いますから」
はい、自作自演を認めましたね。
「彼らが私のために勝手にやった事かもしれません。私は知りませんけど」
あぁー……、取り巻き男性が大勢いるから、自分は何をしたか知りませんと。
「でもさ、あのいかにも怪しい黒ずくめの男、まだマンション付近をウロウロしてるよね? もしかしたら〝女王様〟にご褒美がもらいたくてうろついてるんじゃない? その内また何かしでかしたら、今度こそとっ捕まって、誰に命じられたのかゲロするかもね」
あ、正樹の口調が変わった。
そして黒ずくめの男性がマンション付近にいると知って、さやかさんの表情がピクッと緊張した。
これは知らされてない奴かな?
「まぁ、そっちは警察がいずれどうにかしてくれるよね。成宮さん達は被害届を出してる訳だから。根掘り葉掘りされたら困る、誰かさんと違って」
正樹が嘲笑する。
「『夫を心配させたくなかった』は嘘。あんたには夫なんていない。成宮さんを突き飛ばした男との関係をほのめかすぐらいなら、あんたの家に押し入った強盗も、ほぼやらせで確定。物を盗られたっていっても、本当はあとから返してもらってるか、何も盗られてないんだろ? それっぽく見えるようにちょっと痣をつけておいて、シクシク泣いてれば皆同情してくれると思ったんだよな?」
正樹の言葉の端々から、苛つきが伝わってくる。
「なんでそんな事をしたんですか? 成宮さんへの恨みは、服が被ったというしょうもない理由だとして、杉川さんの旦那さんに迫った事や、三笠さんを脅して優美の写真を撮らせた事、そして優美の写真に穴を空けた事への弁明は?」
慎也がさらに問い詰める。
さやかさんは相変わらず、微笑んでるけど目が笑ってない。
その目で私を見てきたので、ゾクッとしてしまった。
「美香さんはいつも威張ってるから嫌いなんです。ババアのくせに若作りして、億トレーダーの旦那がいる? 夫婦共に浮気しているくせに別れないんですよ? とっとと別れて、見た目だけが好みっていうジジイとでも再婚すればいいのに。そうしたら私が光圀さんと再婚してもいいのになー、ってちょっと思ってました」
おい、大した自信だな。
「でもあの地味男、私が話しかけても迷惑そうな顔をするんです。失礼しちゃう。だから清花さんが入ってきたタイミングで困らせてやりました。今さら光圀さんに女好きの疑惑が増えても、大して変わらないでしょう? ダブル不倫の夫婦なんですから」
……凄い毒だなぁ。
五十嵐さんに佐藤さんに、色々あったけど、この人も真性だな。
そんでもって、私は美香さんと光圀さんの真実を知っている。
だからこの人も、勝手なイメージで勝手な事を言ってるなと、ちょっとムカついてしまった。
あの夫婦は回り道をしてしまったけど、あの夫婦なりに愛し合っていたのに。
「他人の家庭を引っかき回して楽しいですか? 美香さんがさやかさんに何かしましたか? 彼女の性格的に、気に食わない事があったのは察します。でもあなたのやっている事は常軌を逸しています」
私はさやかさんの無感情な目を見つめ返し、言い返す。
すると、彼女はニタァ……と笑った。
「優美さんって、そうやっていつも『自分は正しいんです』っていう顔をして、いいですねぇ。美人でスタイルが良くて、美男をはべらせて、ダイエット法を皆に伝授して、清花さんの事も励まして? 頼られて凄いですねぇ。気持ちいいでしょうねぇ。みぃーんな、あなたの思うがままですね?」
「それって、ただの嫉妬ですよね?」
私はスパンと切り返す。
「今まであなたみたいな人を何人も見てきました。私は意図的に誰かに嫌がらせをしていないし、悪意を持って接した事なんてありません。気に食わないから、自分はそうなれないからという理由で、何回も一方的に恨みを買っていました。あなたもそれと同じです。何も特別じゃない」
特別じゃないと言われて、さやかさんの笑みが消えた。
「優美さんは何千万も稼げますか? 私はこの顔と、磨き上げた体と話術で稼いできました」
「凄いと思いますよ、シンプルにそう思います。私にはできない」
そう言った途端、さやかさんが噛み付いてきた。
「は? 何ですか? その上から目線は。夜に働く事はできないって、ペントハウスから見下ろしているんですか? 小さい食品会社勤務で、汗臭く営業していただけなのに、運良く久賀城ホールディングスの御曹司に見初められたから、そこまで人を見下すんですか? すごーい」
あぁ……、もう、なぁー。
慎也と正樹も両側で溜め息をついている。
「劣等感があるとこうなるよなぁ。そこまで言ってないのに、誇大解釈する」
正樹が脚を組む。
はい、自作自演を認めましたね。
「彼らが私のために勝手にやった事かもしれません。私は知りませんけど」
あぁー……、取り巻き男性が大勢いるから、自分は何をしたか知りませんと。
「でもさ、あのいかにも怪しい黒ずくめの男、まだマンション付近をウロウロしてるよね? もしかしたら〝女王様〟にご褒美がもらいたくてうろついてるんじゃない? その内また何かしでかしたら、今度こそとっ捕まって、誰に命じられたのかゲロするかもね」
あ、正樹の口調が変わった。
そして黒ずくめの男性がマンション付近にいると知って、さやかさんの表情がピクッと緊張した。
これは知らされてない奴かな?
「まぁ、そっちは警察がいずれどうにかしてくれるよね。成宮さん達は被害届を出してる訳だから。根掘り葉掘りされたら困る、誰かさんと違って」
正樹が嘲笑する。
「『夫を心配させたくなかった』は嘘。あんたには夫なんていない。成宮さんを突き飛ばした男との関係をほのめかすぐらいなら、あんたの家に押し入った強盗も、ほぼやらせで確定。物を盗られたっていっても、本当はあとから返してもらってるか、何も盗られてないんだろ? それっぽく見えるようにちょっと痣をつけておいて、シクシク泣いてれば皆同情してくれると思ったんだよな?」
正樹の言葉の端々から、苛つきが伝わってくる。
「なんでそんな事をしたんですか? 成宮さんへの恨みは、服が被ったというしょうもない理由だとして、杉川さんの旦那さんに迫った事や、三笠さんを脅して優美の写真を撮らせた事、そして優美の写真に穴を空けた事への弁明は?」
慎也がさらに問い詰める。
さやかさんは相変わらず、微笑んでるけど目が笑ってない。
その目で私を見てきたので、ゾクッとしてしまった。
「美香さんはいつも威張ってるから嫌いなんです。ババアのくせに若作りして、億トレーダーの旦那がいる? 夫婦共に浮気しているくせに別れないんですよ? とっとと別れて、見た目だけが好みっていうジジイとでも再婚すればいいのに。そうしたら私が光圀さんと再婚してもいいのになー、ってちょっと思ってました」
おい、大した自信だな。
「でもあの地味男、私が話しかけても迷惑そうな顔をするんです。失礼しちゃう。だから清花さんが入ってきたタイミングで困らせてやりました。今さら光圀さんに女好きの疑惑が増えても、大して変わらないでしょう? ダブル不倫の夫婦なんですから」
……凄い毒だなぁ。
五十嵐さんに佐藤さんに、色々あったけど、この人も真性だな。
そんでもって、私は美香さんと光圀さんの真実を知っている。
だからこの人も、勝手なイメージで勝手な事を言ってるなと、ちょっとムカついてしまった。
あの夫婦は回り道をしてしまったけど、あの夫婦なりに愛し合っていたのに。
「他人の家庭を引っかき回して楽しいですか? 美香さんがさやかさんに何かしましたか? 彼女の性格的に、気に食わない事があったのは察します。でもあなたのやっている事は常軌を逸しています」
私はさやかさんの無感情な目を見つめ返し、言い返す。
すると、彼女はニタァ……と笑った。
「優美さんって、そうやっていつも『自分は正しいんです』っていう顔をして、いいですねぇ。美人でスタイルが良くて、美男をはべらせて、ダイエット法を皆に伝授して、清花さんの事も励まして? 頼られて凄いですねぇ。気持ちいいでしょうねぇ。みぃーんな、あなたの思うがままですね?」
「それって、ただの嫉妬ですよね?」
私はスパンと切り返す。
「今まであなたみたいな人を何人も見てきました。私は意図的に誰かに嫌がらせをしていないし、悪意を持って接した事なんてありません。気に食わないから、自分はそうなれないからという理由で、何回も一方的に恨みを買っていました。あなたもそれと同じです。何も特別じゃない」
特別じゃないと言われて、さやかさんの笑みが消えた。
「優美さんは何千万も稼げますか? 私はこの顔と、磨き上げた体と話術で稼いできました」
「凄いと思いますよ、シンプルにそう思います。私にはできない」
そう言った途端、さやかさんが噛み付いてきた。
「は? 何ですか? その上から目線は。夜に働く事はできないって、ペントハウスから見下ろしているんですか? 小さい食品会社勤務で、汗臭く営業していただけなのに、運良く久賀城ホールディングスの御曹司に見初められたから、そこまで人を見下すんですか? すごーい」
あぁ……、もう、なぁー。
慎也と正樹も両側で溜め息をついている。
「劣等感があるとこうなるよなぁ。そこまで言ってないのに、誇大解釈する」
正樹が脚を組む。
0
お気に入りに追加
1,819
あなたにおすすめの小説
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R18】こんな産婦人科のお医者さんがいたら♡妄想エロシチュエーション短編作品♡
雪村 里帆
恋愛
ある日、産婦人科に訪れるとそこには顔を見たら赤面してしまう程のイケメン先生がいて…!?何故か看護師もいないし2人きり…エコー検査なのに触診されてしまい…?雪村里帆の妄想エロシチュエーション短編。完全フィクションでお送り致します!
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる