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番外編 2 タワマン事件簿
考える事ワンパターンかよ
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(……やっぱりなぁ……)
さやかさんの名前が出ても、もう驚かなかった。
あれだけ不審な点が沢山出て、ウルトラホワイトとは思わない。
「…………取引先に言われたくなかったら……、言う事を聞けと……」
「奥原ー、アウトー」
「ぶふっ……」
心の中で思っていた事を正樹が口にして、私は思わず噴き出してしまった。
そんな私たちを、どん底まで追い詰められた三笠さんが、凄い顔をして見ている。
すんませんね。うち、大体こんな感じなんです。
「奥原さん、他に何か言ってました? 特に優美に関して」
慎也がさらに尋ねる。
彼は溜め息をつき、お茶を飲む。
もう隠そうとしたり、自分の体面を保とうとする事も諦めたようだ。
「久賀城さんのところで、不和があると言っていました」
「ふわ?」
私は言葉をオウム返しにして尋ねる。
「何だそりゃ」
隣で正樹が呟く。
三笠さんは気まずそうな顔でチラッと私を見て、目を逸らす。
「久賀城さんのところは、……奥さんが好色で、兄の正樹さんも連れ込んで三人でイチャイチャしていると。正樹さんには『夫と別れるからもう少し待っていてほしい』と言い、夫の慎也さんには『いずれ正樹さんに出ていってもらうから、二人で仲良くやろう』と言い、ご自分の魅力で三人での関係をズルズル続けて、男性関係だけでなく、金銭面でも甘い汁を吸っていると……」
「…………は?」
私はこれ以上なく目をまん丸にし、なんなら口までポカーンと開けていた。
正樹は隣で笑いを堪えきれず、大きな地震が起きたのかっていうぐらい、めっちゃ肩を揺らしている。
こいつはこういう真面目なシーンで、笑いを堪えられないタイプだ。
慎也と言えば、窓の外を見て遠い目をしていた。
「……くっだらねぇ」
そして小さく呟いた。
「お友達のFamさんにも、優美さんが取り入って、服装からアクセサリーからメイクまで、すべて真似て嫌がられているとか。それでFamさんは以前、SNSで病んだ投稿をしたとか……」
「はぁぁぁ…………?」
すっごい初耳で、私は高い声を出す。
「……もともと埼玉の貧乏一家の出身なのに、その美貌で他人に取り入って、今の地位に就いたとか。ご自身は何の努力もしていない寄生虫とか……」
私はもう、スペースキャット顔だ。
「どいつもこいつも……。考える事ワンパターンかよ」
慎也が舌打ちし、ぞんざいに溜め息をついて脚を組む。
「はー、分かりました! 大体、ほとんど! 分かりました」
慎也はパンッと太腿を打ち、怒りを振り切るように言う。
「で、あなたが優美を盗撮していたついでに、自分の分も撮らせて、それに穴を空けたのもあの女ですね?」
もう彼は〝奥原さん〟と言う事もやめた。
「……恐らく。写真を渡したのは事実ですので」
三笠さんは悄然として応える。
「マンション内は移動自由だし、他の人に罪をなすりつけるために、成宮さんがいる階のゴミ箱にわざと捨てたのも考えられるね」
笑い終わったらしい正樹が、慎也に言う。
「成宮さんが突き落とされた時、友人が遊びに来る日を見計らい、彼女の友人を名乗って黒ずくめの男が入った。その辺りの情報が漏れてると考えられる。……でも、成宮さんの友達が、面識のない女に話すと思えない」
正樹は少しの間「んー……」と腕組みして考える。
そして明るく、とんでもない事を言った。
「盗聴器でも仕掛けた? あはっ」
彼らが話している間、私はまだスペースキャット顔で固まったままだった。
「三笠さん、あの女を家に上げましたか? もしくは成宮さんと仲良くしていて、家に入ったとか聞きました?」
慎也が尋ね、彼は少し考える。
「……直接は聞いていませんが、以前ロビーを通ったら、二人が雑談しているのを耳にしました。『スマホの電池が切れそうで、電源借りてしまって……』という事は」
慎也は確信したように溜め息をついて頷き、正樹は今にも笑いそうに大きく口を開けていた。
さやかさんの名前が出ても、もう驚かなかった。
あれだけ不審な点が沢山出て、ウルトラホワイトとは思わない。
「…………取引先に言われたくなかったら……、言う事を聞けと……」
「奥原ー、アウトー」
「ぶふっ……」
心の中で思っていた事を正樹が口にして、私は思わず噴き出してしまった。
そんな私たちを、どん底まで追い詰められた三笠さんが、凄い顔をして見ている。
すんませんね。うち、大体こんな感じなんです。
「奥原さん、他に何か言ってました? 特に優美に関して」
慎也がさらに尋ねる。
彼は溜め息をつき、お茶を飲む。
もう隠そうとしたり、自分の体面を保とうとする事も諦めたようだ。
「久賀城さんのところで、不和があると言っていました」
「ふわ?」
私は言葉をオウム返しにして尋ねる。
「何だそりゃ」
隣で正樹が呟く。
三笠さんは気まずそうな顔でチラッと私を見て、目を逸らす。
「久賀城さんのところは、……奥さんが好色で、兄の正樹さんも連れ込んで三人でイチャイチャしていると。正樹さんには『夫と別れるからもう少し待っていてほしい』と言い、夫の慎也さんには『いずれ正樹さんに出ていってもらうから、二人で仲良くやろう』と言い、ご自分の魅力で三人での関係をズルズル続けて、男性関係だけでなく、金銭面でも甘い汁を吸っていると……」
「…………は?」
私はこれ以上なく目をまん丸にし、なんなら口までポカーンと開けていた。
正樹は隣で笑いを堪えきれず、大きな地震が起きたのかっていうぐらい、めっちゃ肩を揺らしている。
こいつはこういう真面目なシーンで、笑いを堪えられないタイプだ。
慎也と言えば、窓の外を見て遠い目をしていた。
「……くっだらねぇ」
そして小さく呟いた。
「お友達のFamさんにも、優美さんが取り入って、服装からアクセサリーからメイクまで、すべて真似て嫌がられているとか。それでFamさんは以前、SNSで病んだ投稿をしたとか……」
「はぁぁぁ…………?」
すっごい初耳で、私は高い声を出す。
「……もともと埼玉の貧乏一家の出身なのに、その美貌で他人に取り入って、今の地位に就いたとか。ご自身は何の努力もしていない寄生虫とか……」
私はもう、スペースキャット顔だ。
「どいつもこいつも……。考える事ワンパターンかよ」
慎也が舌打ちし、ぞんざいに溜め息をついて脚を組む。
「はー、分かりました! 大体、ほとんど! 分かりました」
慎也はパンッと太腿を打ち、怒りを振り切るように言う。
「で、あなたが優美を盗撮していたついでに、自分の分も撮らせて、それに穴を空けたのもあの女ですね?」
もう彼は〝奥原さん〟と言う事もやめた。
「……恐らく。写真を渡したのは事実ですので」
三笠さんは悄然として応える。
「マンション内は移動自由だし、他の人に罪をなすりつけるために、成宮さんがいる階のゴミ箱にわざと捨てたのも考えられるね」
笑い終わったらしい正樹が、慎也に言う。
「成宮さんが突き落とされた時、友人が遊びに来る日を見計らい、彼女の友人を名乗って黒ずくめの男が入った。その辺りの情報が漏れてると考えられる。……でも、成宮さんの友達が、面識のない女に話すと思えない」
正樹は少しの間「んー……」と腕組みして考える。
そして明るく、とんでもない事を言った。
「盗聴器でも仕掛けた? あはっ」
彼らが話している間、私はまだスペースキャット顔で固まったままだった。
「三笠さん、あの女を家に上げましたか? もしくは成宮さんと仲良くしていて、家に入ったとか聞きました?」
慎也が尋ね、彼は少し考える。
「……直接は聞いていませんが、以前ロビーを通ったら、二人が雑談しているのを耳にしました。『スマホの電池が切れそうで、電源借りてしまって……』という事は」
慎也は確信したように溜め息をついて頷き、正樹は今にも笑いそうに大きく口を開けていた。
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