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番外編 2 タワマン事件簿
なんかしっくりこない……
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「私、思うんだけど、強盗に押し入られて百歩譲って夫に言わないとしても、他の人のためにコンシェルジュや管理人には言うと思うの。普通なら注意喚起したいじゃん。……まぁ、襲われたてでそれどころじゃなかった、って言われたら何も言えないけど」
「確かに」
私は納得して、さらにメモしていく。
「彼女が〝被害者〟になって、何のメリットがあるか」
ボソッと和人くんが、子供たちと遊びながら言う。
ちゃんと聞いてる。
「……誰かと結びついてると思うなら、確実なのは光圀さんだけど……。仮に彼が関係しているとして、さやかさんが被害者になって得をするなら、美香さんを陥れるため……とか? 光圀さんが誰かを雇って強盗に仕立てたとして」
弱いなー、と思いながら私は思いついた事を言ってみる。
「本当は離婚したいから? で、その強盗を雇った証拠を、妻になすりつける?」
文香が自分で言っておきながら「こっわ」と震え上がる。
「んーーーーーー。なんかしっくりこない……」
私はテーブルに突っ伏す。
「確かに光圀さんって、表情変わらないし超草食系で、ぶっちゃけ何考えてるか分からなくて、ちょっと不気味ではある。けどそこまでの悪人なのかな? って」
「でも、妻以外の女とキスしてたのは事実だろ? 成宮さんの話を信じるなら」
慎也が言い、正樹が「あはっ」と笑った。
「じゃあ、その成宮さんの奥さんも、グルで混乱させるためにそう言ったとか?」
「ああああああああ……」
こんがらかって、私は野太い声を上げた。
「すっごい声。喉傷めるからやめな」
文香が呆れて私の背中をポンポンと叩いた。
「なんか、ごめん。情報が入ったからって思ったけど、どんだけ話し合っても本人たちから直接話を聞けないなら、余計にこんがらかるだけだよね」
五十嵐さんが反省し、私は顔を上げて「いやいやいや」と手を振る。
「凄い助かったよ。ありがとう。彼女の本当の顔っていうか、分かって進展はあったもん」
「うん」
素直に頷いた彼女の返事を聞いてから、慎也が時計を見て空気を変えた。
「腹減ってないか? ランチ目的で集まったし、飯作るから皆で食おうか」
「おっ、いいね! 私も手伝う!」
彼が腕まくりして立ちあがったので、私も続く。
「じゃあ、僕は子供たち見てるね。和人くんタッチ交代」
正樹が言い、文香は挙手する。
「私は見学してる。匠の技を学ぶ」
「ん」
大学生の時に知り合った時、文香は料理がまったくできなかった。
私に服やコスメ、美容法など色んな事を教えてくれる代わりに、彼女は私に家庭料理を教えてほしいといってきた。
それも、夏休みとかを使って、きちんとバイト代を払うから、色んな物を集中的に教えてほしいという、ガチのやつだ。
当時はまだ和人くんとくっついてなかったので、彼女の恋心と「手料理を食べさせてあげたい」といういじらしい気持ちにキュンキュンした。
今では普通に料理ができるようになっている。
それとは別に、慎也は突き抜けて料理の好きな人だから、彼からレシピやアイデアを学んでいた。
「私も見てる」
こちらも修行中の五十嵐さんが言い、そのあと慎也がメインで料理を作っていく。
メニューは海老と茄子を使ったトマトソースのスパゲッティと、キノコのコンソメスープ、事前に慎也が作っておいた、例の牛乳、砂糖不使用のバナナアイスだ。
普通のメニューだけど、随所に慎也の小技が光る。
慎也はプロから、料理と一緒に盛り付けも習っているので、ホントに自宅で映える料理が出る。
女子三人、「すげぇ」と言って写真を撮り、皆で「うまいうまい」と言ってペロリと完食した。
**
それから数日後、私はマンションに取りに行く物があり、俊希をシッターさんにお願いして、一人で歩いていた。
慎也と正樹からは「あまりフラフラしないように」と言われているけれど、ちょっと物を取ってすぐ戻るなら、まぁいいんじゃないかと思った。
ちょっとそこまでの用事なので、Tシャツにデニムスキニー、スニーカー、キャップというカジュアルな格好だ。
「確かに」
私は納得して、さらにメモしていく。
「彼女が〝被害者〟になって、何のメリットがあるか」
ボソッと和人くんが、子供たちと遊びながら言う。
ちゃんと聞いてる。
「……誰かと結びついてると思うなら、確実なのは光圀さんだけど……。仮に彼が関係しているとして、さやかさんが被害者になって得をするなら、美香さんを陥れるため……とか? 光圀さんが誰かを雇って強盗に仕立てたとして」
弱いなー、と思いながら私は思いついた事を言ってみる。
「本当は離婚したいから? で、その強盗を雇った証拠を、妻になすりつける?」
文香が自分で言っておきながら「こっわ」と震え上がる。
「んーーーーーー。なんかしっくりこない……」
私はテーブルに突っ伏す。
「確かに光圀さんって、表情変わらないし超草食系で、ぶっちゃけ何考えてるか分からなくて、ちょっと不気味ではある。けどそこまでの悪人なのかな? って」
「でも、妻以外の女とキスしてたのは事実だろ? 成宮さんの話を信じるなら」
慎也が言い、正樹が「あはっ」と笑った。
「じゃあ、その成宮さんの奥さんも、グルで混乱させるためにそう言ったとか?」
「ああああああああ……」
こんがらかって、私は野太い声を上げた。
「すっごい声。喉傷めるからやめな」
文香が呆れて私の背中をポンポンと叩いた。
「なんか、ごめん。情報が入ったからって思ったけど、どんだけ話し合っても本人たちから直接話を聞けないなら、余計にこんがらかるだけだよね」
五十嵐さんが反省し、私は顔を上げて「いやいやいや」と手を振る。
「凄い助かったよ。ありがとう。彼女の本当の顔っていうか、分かって進展はあったもん」
「うん」
素直に頷いた彼女の返事を聞いてから、慎也が時計を見て空気を変えた。
「腹減ってないか? ランチ目的で集まったし、飯作るから皆で食おうか」
「おっ、いいね! 私も手伝う!」
彼が腕まくりして立ちあがったので、私も続く。
「じゃあ、僕は子供たち見てるね。和人くんタッチ交代」
正樹が言い、文香は挙手する。
「私は見学してる。匠の技を学ぶ」
「ん」
大学生の時に知り合った時、文香は料理がまったくできなかった。
私に服やコスメ、美容法など色んな事を教えてくれる代わりに、彼女は私に家庭料理を教えてほしいといってきた。
それも、夏休みとかを使って、きちんとバイト代を払うから、色んな物を集中的に教えてほしいという、ガチのやつだ。
当時はまだ和人くんとくっついてなかったので、彼女の恋心と「手料理を食べさせてあげたい」といういじらしい気持ちにキュンキュンした。
今では普通に料理ができるようになっている。
それとは別に、慎也は突き抜けて料理の好きな人だから、彼からレシピやアイデアを学んでいた。
「私も見てる」
こちらも修行中の五十嵐さんが言い、そのあと慎也がメインで料理を作っていく。
メニューは海老と茄子を使ったトマトソースのスパゲッティと、キノコのコンソメスープ、事前に慎也が作っておいた、例の牛乳、砂糖不使用のバナナアイスだ。
普通のメニューだけど、随所に慎也の小技が光る。
慎也はプロから、料理と一緒に盛り付けも習っているので、ホントに自宅で映える料理が出る。
女子三人、「すげぇ」と言って写真を撮り、皆で「うまいうまい」と言ってペロリと完食した。
**
それから数日後、私はマンションに取りに行く物があり、俊希をシッターさんにお願いして、一人で歩いていた。
慎也と正樹からは「あまりフラフラしないように」と言われているけれど、ちょっと物を取ってすぐ戻るなら、まぁいいんじゃないかと思った。
ちょっとそこまでの用事なので、Tシャツにデニムスキニー、スニーカー、キャップというカジュアルな格好だ。
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