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番外編 2 タワマン事件簿
新たな事件
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正樹は頬杖をついて、もっもっと口を動かしている俊希を見て微笑んでいる。
「優美ちゃん、ご飯まだだね。僕が食べさせてあげようか」
「や、いいよ」
なんか恥ずかしいから断ったけれど、正樹は立ちあがって私の隣に座る。
そして私のお箸を手に取って、小鉢に入っていた茄子の煮物を口に近づけてきた。
「はい、あーん」
「ん……」
照れて彼を見つめると、正樹はニヤリと笑う。
「時短。それにせっかくの飯、冷めたら悲しいでしょ」
「うん……」
確かにご飯は美味しく食べたい。
口を開けると、正樹が意味深な笑みを浮かべるのでめっちゃ恥ずかしい。
お箸で摘ままれた茄子が口に入れられ、もっ……と食べる私を正樹が目を細めて見ている。
はっずかし……。
ご飯食べてるだけなのに、何なの!? この雰囲気は。
照れて顔を真っ赤にし、ごまかすために横を向いて俊希に野菜スープを食べさせる。
野菜スープには、アルファベットの形をしたパスタも入っていた。
「食べてる優美ちゃん、可愛い」
正樹が語尾にハートマークがついていそうな声で言い、恥ずかしくて堪らない。
「やめてよもぉ……」
「食べさせプレイ、いいね」
正樹はいい笑みを浮かべ、お箸を持った手でグッとサムズアップする。
っこの……。
「正樹はきっかけがあれば何でも興奮できる、変態のエリートだからなぁ」
キッチンでお茶を蒸しながら、慎也が感心したように言う。
「何言ってんだよお前、シューズクローゼットで靴の整理しながら、こっそり優美ちゃんのパンプスの匂い嗅ごうとしてたの、僕は見逃さなかったからな」
「ちょ……っ!!」
私はクワッと目を見開き、全身に変な汗を掻いて慎也を見る。
彼はめっちゃ気まずそうな顔をしてから、わざとらしく目を逸らしてお茶の様子を見ていた。コノヤロウ……。
「…………に、匂った?」
私は恐る恐る尋ねる。
すると慎也は非情に残念そうな顔をした。
「……いい匂いがしただけだった」
「…………変態……」
っああああああ…………!!
靴&足ケアしてて良かった!!
「慎也って結構、優美ちゃんの匂いに執着してるよね。洗濯物の匂い嗅いでたり」
「っちょおおおおお!!」
今度こそ我慢ならんと、私は目をかっ開いて慎也を凝視する。
「っていうか、ちょっと汗の臭いが混じった体臭、残り香、最高じゃね?」
「開き直るな!」
キレた私の声を聞いて、俊希がぐずりだす。
「あっ! ごめんごめん……。あとでスーパー高い高いしてあげるからね」
ご飯の続きをあげると、俊希は大人しく食べてくれる。
「……慎也、あとで説教な」
私はそう言ったあと、なるべく気にしないようにして俊希にご飯をあげ、正樹から食べさせてもらった。
勿論、正樹も「これ以上何も言うな」とギロリと睨んでおいた。
そのあとは無事、私も俊希もご飯を完食し、まったりタイムの前に俊希と遊んで、彼が大ウケするゴリラの真似を全力でして、寝かしつけに成功したのだった。
**
周囲に注意しつつも、平和な日々がまた戻ったかと思ったが、新たな事件が起こった。
さやかさんの家に宅配を装った男が押し入り、彼女に暴行を働き金目の物を奪っていった。
暴行といっても、性被害ではなく暴力のほうだ。
だからいいという訳ではないけれど、彼女は全治三週間の怪我を負った。
また警察沙汰なのかと思いきや、そうはならなかったらしい。
教えてくれたのは清花さんで、たまたま買い物の帰りに見かけたさやかさんが顔に怪我を負っていて、心配して話を聞いたら……という事だった。
『警察に言ったの? って心配したんですけど、出張中の旦那さんに心配掛けたくないからって、黙り込んじゃって……』
あれ以来、清花さんから頻繁にお誘いがあって、彼女の家にお邪魔する事が増えた。
「優美ちゃん、ご飯まだだね。僕が食べさせてあげようか」
「や、いいよ」
なんか恥ずかしいから断ったけれど、正樹は立ちあがって私の隣に座る。
そして私のお箸を手に取って、小鉢に入っていた茄子の煮物を口に近づけてきた。
「はい、あーん」
「ん……」
照れて彼を見つめると、正樹はニヤリと笑う。
「時短。それにせっかくの飯、冷めたら悲しいでしょ」
「うん……」
確かにご飯は美味しく食べたい。
口を開けると、正樹が意味深な笑みを浮かべるのでめっちゃ恥ずかしい。
お箸で摘ままれた茄子が口に入れられ、もっ……と食べる私を正樹が目を細めて見ている。
はっずかし……。
ご飯食べてるだけなのに、何なの!? この雰囲気は。
照れて顔を真っ赤にし、ごまかすために横を向いて俊希に野菜スープを食べさせる。
野菜スープには、アルファベットの形をしたパスタも入っていた。
「食べてる優美ちゃん、可愛い」
正樹が語尾にハートマークがついていそうな声で言い、恥ずかしくて堪らない。
「やめてよもぉ……」
「食べさせプレイ、いいね」
正樹はいい笑みを浮かべ、お箸を持った手でグッとサムズアップする。
っこの……。
「正樹はきっかけがあれば何でも興奮できる、変態のエリートだからなぁ」
キッチンでお茶を蒸しながら、慎也が感心したように言う。
「何言ってんだよお前、シューズクローゼットで靴の整理しながら、こっそり優美ちゃんのパンプスの匂い嗅ごうとしてたの、僕は見逃さなかったからな」
「ちょ……っ!!」
私はクワッと目を見開き、全身に変な汗を掻いて慎也を見る。
彼はめっちゃ気まずそうな顔をしてから、わざとらしく目を逸らしてお茶の様子を見ていた。コノヤロウ……。
「…………に、匂った?」
私は恐る恐る尋ねる。
すると慎也は非情に残念そうな顔をした。
「……いい匂いがしただけだった」
「…………変態……」
っああああああ…………!!
靴&足ケアしてて良かった!!
「慎也って結構、優美ちゃんの匂いに執着してるよね。洗濯物の匂い嗅いでたり」
「っちょおおおおお!!」
今度こそ我慢ならんと、私は目をかっ開いて慎也を凝視する。
「っていうか、ちょっと汗の臭いが混じった体臭、残り香、最高じゃね?」
「開き直るな!」
キレた私の声を聞いて、俊希がぐずりだす。
「あっ! ごめんごめん……。あとでスーパー高い高いしてあげるからね」
ご飯の続きをあげると、俊希は大人しく食べてくれる。
「……慎也、あとで説教な」
私はそう言ったあと、なるべく気にしないようにして俊希にご飯をあげ、正樹から食べさせてもらった。
勿論、正樹も「これ以上何も言うな」とギロリと睨んでおいた。
そのあとは無事、私も俊希もご飯を完食し、まったりタイムの前に俊希と遊んで、彼が大ウケするゴリラの真似を全力でして、寝かしつけに成功したのだった。
**
周囲に注意しつつも、平和な日々がまた戻ったかと思ったが、新たな事件が起こった。
さやかさんの家に宅配を装った男が押し入り、彼女に暴行を働き金目の物を奪っていった。
暴行といっても、性被害ではなく暴力のほうだ。
だからいいという訳ではないけれど、彼女は全治三週間の怪我を負った。
また警察沙汰なのかと思いきや、そうはならなかったらしい。
教えてくれたのは清花さんで、たまたま買い物の帰りに見かけたさやかさんが顔に怪我を負っていて、心配して話を聞いたら……という事だった。
『警察に言ったの? って心配したんですけど、出張中の旦那さんに心配掛けたくないからって、黙り込んじゃって……』
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