405 / 539
妊娠・出産 編
そろそろ封印解除できる?
しおりを挟む
皆でワイワイ楽しんで、ご馳走があらかたなくなった頃、本日のメインイベントとなる。
「この日のために取り寄せた風呂敷なのよ」
玲奈さんがニコニコして、綺麗な翡翠色の七宝柄の風呂敷を取りだした。
そして慣れた手つきで一升餅を包み、おっちゃんこしてる俊希の胸の前で結んだ。
「よし! 俊希、立ってみようか! たっち!」
「俊希、頑張れ!」
「君ならできる!」
周りを総勢十四人の大人に囲まれ、俊希はキョトンとしている。
……可愛い……。
しばし私たちは記念撮影をしたり雑談しながら〝その時〟を待っていた。
やがて俊希はハイハイしたのち、開脚した状態で両手をつき、うんしょ、うんしょと立とうとする。
「頑張れ!」
「俊希、もうちょっと!」
皆声を掛け、励ましてくれる。
当の本人は分かっているのかいないのか、マイペースに重たい餅と格闘し、お尻を上げては尻餅をついている。
うう、頑張ってる……。じーんときちゃう……。
正確にはあと数日でだけど、もう一歳になるんだなぁ。
日々慌ただしくて、この一年あっという間だった。
前は家事をちゃんとやらないととか、トレーニングしないととか焦っていたけど、今は俊希を一番に考えて生きている。
健康に幸せに生きてくれるなら、私はどうなってもいいや。
そう思ってじんわり涙を滲ませている先、とうとう俊希が一升餅を背負ったまま立ちあがった。
「おーっ!」
慎也が興奮した声を出し、スマホの動画をアップにしている。
その隣で正樹は連写し、皆も囲み撮影みたいになっていた。
かくいう私も、めっちゃ写真を撮った。
「おめでとう~!」
私はめちゃくちゃ高速で拍手をし、写真を撮った皆も拍手してくれる。
そんな感じで、ほんのちょっぴり早い俊希の誕生日祝いは終わった。
皆でまた協力して片付けをしてくれ、立つ鳥跡を濁さずで帰っていく。
俊希も大勢に囲まれて疲れたみたいで、さっきおっぱいを飲んでから健やかに眠っていた。
私たち三人はテレビもつけずに、麦茶を飲みながらソファに座ってぼんやりしている。
「一年って早いね」
「そうだな。仕事に子供に家の事に……ってやってたら、あっという間だった」
「僕はだいぶ予習できたから、いつでも来い! って感じかな」
「あはは、確かに実体験つきのいい予習だったよね。手伝ってくれてありがとう」
正樹の肩に頭を寄せると、彼が肩を抱いてくる。
しばしそのままでいたけれど、正樹が「ねぇ」と耳元で囁いてきた。
「ん?」
顔を上げると、どこか気まずそうな、けれど真剣な顔をした彼がいる。
「空気読まなかったらごめん」
「なーに言ってんの。正樹が空気読まないの、いつもの事じゃん」
冗談めかして彼の太腿をポンと叩きつつ、私はある予感を抱く。
しばし彼は言葉を迷わせたあと、ためらいがちに切りだす。
「ずっと夜、ご無沙汰だったけど、そろそろ封印解除できる? 忙しくて、俊希が大事でそっち中心なのは分かってるんだ。優美ちゃんだって疲れてるだろうし、日々のあれこれでそういう気にならないのも分かる。……ただ、可能性というか、こっちは求めてるよっていう意味で伝えたかった」
正樹が言うとおり、ずっとエッチなしの生活を送ってきた。
相変わらず三人とも仲が良くて、当たり前のようにチュッチュとキスしていたし、ボディタッチも多かった。
出産前におかずを使ってのセルフ行為を許可すると言ったけど、結局彼らが性欲をどう処理しているのか分からないままだった。
それに気を回して悩む余裕がないぐらい、私は俊希で毎日が一杯だった。
でも、二人とも我慢してくれていたのは確かなんだ。
私も出産直後はその気になれなかったのは確かでも、最近ではムラムラする事もある。
けど妊娠からずっとできなかったのもあり、二人にどう伝えたらいいのか分からなくてタイミングを逃したままだった。
しばらくエッチから遠ざかっていると、どうやって誘っていたのか分からなくなって、戸惑っていた。
私は照れながら微笑み、慎也と正樹の手を握り、指を絡める。
「……ずっと待っていてくれてありがとう」
まず謝ろうと思ったけれど、先に口から出たのは感謝だった。
「妊娠してから不安定な時期もあったし、我が儘も言ったと思う。八つ当たりしちゃった時もあったと思う。でも二人とも、本当に理想の旦那様をしてくれた。私はとても恵まれた母親をやれていると思う。それは、二人にふかーく愛されているからだと理解してる」
感謝を口にすると、二人とも無言でキュッと手を握り返してくれる。
「この日のために取り寄せた風呂敷なのよ」
玲奈さんがニコニコして、綺麗な翡翠色の七宝柄の風呂敷を取りだした。
そして慣れた手つきで一升餅を包み、おっちゃんこしてる俊希の胸の前で結んだ。
「よし! 俊希、立ってみようか! たっち!」
「俊希、頑張れ!」
「君ならできる!」
周りを総勢十四人の大人に囲まれ、俊希はキョトンとしている。
……可愛い……。
しばし私たちは記念撮影をしたり雑談しながら〝その時〟を待っていた。
やがて俊希はハイハイしたのち、開脚した状態で両手をつき、うんしょ、うんしょと立とうとする。
「頑張れ!」
「俊希、もうちょっと!」
皆声を掛け、励ましてくれる。
当の本人は分かっているのかいないのか、マイペースに重たい餅と格闘し、お尻を上げては尻餅をついている。
うう、頑張ってる……。じーんときちゃう……。
正確にはあと数日でだけど、もう一歳になるんだなぁ。
日々慌ただしくて、この一年あっという間だった。
前は家事をちゃんとやらないととか、トレーニングしないととか焦っていたけど、今は俊希を一番に考えて生きている。
健康に幸せに生きてくれるなら、私はどうなってもいいや。
そう思ってじんわり涙を滲ませている先、とうとう俊希が一升餅を背負ったまま立ちあがった。
「おーっ!」
慎也が興奮した声を出し、スマホの動画をアップにしている。
その隣で正樹は連写し、皆も囲み撮影みたいになっていた。
かくいう私も、めっちゃ写真を撮った。
「おめでとう~!」
私はめちゃくちゃ高速で拍手をし、写真を撮った皆も拍手してくれる。
そんな感じで、ほんのちょっぴり早い俊希の誕生日祝いは終わった。
皆でまた協力して片付けをしてくれ、立つ鳥跡を濁さずで帰っていく。
俊希も大勢に囲まれて疲れたみたいで、さっきおっぱいを飲んでから健やかに眠っていた。
私たち三人はテレビもつけずに、麦茶を飲みながらソファに座ってぼんやりしている。
「一年って早いね」
「そうだな。仕事に子供に家の事に……ってやってたら、あっという間だった」
「僕はだいぶ予習できたから、いつでも来い! って感じかな」
「あはは、確かに実体験つきのいい予習だったよね。手伝ってくれてありがとう」
正樹の肩に頭を寄せると、彼が肩を抱いてくる。
しばしそのままでいたけれど、正樹が「ねぇ」と耳元で囁いてきた。
「ん?」
顔を上げると、どこか気まずそうな、けれど真剣な顔をした彼がいる。
「空気読まなかったらごめん」
「なーに言ってんの。正樹が空気読まないの、いつもの事じゃん」
冗談めかして彼の太腿をポンと叩きつつ、私はある予感を抱く。
しばし彼は言葉を迷わせたあと、ためらいがちに切りだす。
「ずっと夜、ご無沙汰だったけど、そろそろ封印解除できる? 忙しくて、俊希が大事でそっち中心なのは分かってるんだ。優美ちゃんだって疲れてるだろうし、日々のあれこれでそういう気にならないのも分かる。……ただ、可能性というか、こっちは求めてるよっていう意味で伝えたかった」
正樹が言うとおり、ずっとエッチなしの生活を送ってきた。
相変わらず三人とも仲が良くて、当たり前のようにチュッチュとキスしていたし、ボディタッチも多かった。
出産前におかずを使ってのセルフ行為を許可すると言ったけど、結局彼らが性欲をどう処理しているのか分からないままだった。
それに気を回して悩む余裕がないぐらい、私は俊希で毎日が一杯だった。
でも、二人とも我慢してくれていたのは確かなんだ。
私も出産直後はその気になれなかったのは確かでも、最近ではムラムラする事もある。
けど妊娠からずっとできなかったのもあり、二人にどう伝えたらいいのか分からなくてタイミングを逃したままだった。
しばらくエッチから遠ざかっていると、どうやって誘っていたのか分からなくなって、戸惑っていた。
私は照れながら微笑み、慎也と正樹の手を握り、指を絡める。
「……ずっと待っていてくれてありがとう」
まず謝ろうと思ったけれど、先に口から出たのは感謝だった。
「妊娠してから不安定な時期もあったし、我が儘も言ったと思う。八つ当たりしちゃった時もあったと思う。でも二人とも、本当に理想の旦那様をしてくれた。私はとても恵まれた母親をやれていると思う。それは、二人にふかーく愛されているからだと理解してる」
感謝を口にすると、二人とも無言でキュッと手を握り返してくれる。
0
お気に入りに追加
1,819
あなたにおすすめの小説
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
【R-18・短編】部長と私の秘め事
臣桜
恋愛
彼氏にフラれた上村朱里は、酔い潰れていた所を上司の速見尊に拾われ、家まで送られる。タクシーの中で元彼との気が進まないセックスの話などをしていると、部長が自分としてみるか?と言い……。
かなり前に企画で書いたものです。急いで一日ぐらいで書いたので、本当はもっと続きそうなのですがぶつ切りされています。いつか続きを連載版で書きたいですが……、いつになるやら。
ムーンライトノベルズ様にも転載しています。
表紙はニジジャーニーで生成しました
社長の奴隷
星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)
サディストの飼主さんに飼われてるマゾの日記。
風
恋愛
サディストの飼主さんに飼われてるマゾヒストのペット日記。
飼主さんが大好きです。
グロ表現、
性的表現もあります。
行為は「鬼畜系」なので苦手な人は見ないでください。
基本的に苦痛系のみですが
飼主さんとペットの関係は甘々です。
マゾ目線Only。
フィクションです。
※ノンフィクションの方にアップしてたけど、混乱させそうなので別にしました。
ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥
えっちめシーンの話には♥マークを付けています。
ミックスド★バスの第5弾です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる