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妊娠・出産 編
ムラムラしてない?
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「とうとうきたかって感じだけどね。まあ、誠心誠意取り組ませてもらうよ」
「だな。俺はまだまだ若輩者だけど、頑張るよ。いつか優美が管理職、もしくは秘書として入った時に働きやすいように、二人で風通しを良くしておく」
「だねー。僕もこの数年で役員のおっさん達と随分仲良くなったし」
「パパたち頑張ってまちゅねー」
私はお腹をさすってクスクス笑う。
「それ、いいねぇ。パパって言ってくれたり、赤ちゃん言葉を使うと、子供がいるって感じがするよ。今まで、赤ちゃん言葉って言ったらただの煽り言葉だったし」
「正樹が人を煽りすぎるだけだろ」
「あはは! 絶対そうだ!」
慎也のツッコミに、私は手を打ち鳴らして笑う。
「……ん、……ふぁ……」
けど、眠気を感じ、私は大きなあくびをする。
慌てて手で口元を覆うと、慎也が私の手からマグカップを取り上げた。
「もう寝よう。お疲れさん」
「ん」
彼の方を向くと、チュッと触れるだけのキスをされる。
微笑んで反対を向くと、正樹も優しく私の唇をついばんだ。
枕元の照明が落とされたあと、しばらく窓ガラスの向こうでくっきり浮かび上がる夜景を見ていた。
不意に、素朴な疑問を口にした。
「ムラムラしてない? 大丈夫?」
妊娠が分かった十一月末から、ずっとセックスしていない。
あれだけしていたのに二人がスンッと大人しくなったから、疑問を抱くのは自然の道理だ。
「大丈夫だよ。満たされてるし幸せ。セックスしなくても幸せになれる」
「そうだよ。できたら嬉しいけど、しなくても大丈夫。そんなもんだよ」
ぶっちゃけ、私は妊娠中だけどムラムラしてしまう。
けど、子宮収縮には気をつけなきゃいけない。
二人もその説明を受けて了解している。
彼らが我慢できる、大丈夫と言ってくれるのはありがたい。
でも出産までずっと我慢させて、果たして大丈夫なのかな? と思ってしまう。
二人が浮気をするなんて考えない。
でも二人は女性が放っておかないイケメンで、セックス大好きマンだ。
私以外の女性に興味はないと頭では理解していても、不安にはなってしまう。
若くてしたい盛りなのに、我慢させてしまっているのでは……と。
「……二人とも、セックスマシーンなのに可哀想……」
ぽつん、と呟くと、二人がコントみたいにガクッと項垂れた。
「あのなぁ、セックスマシーンって……」
「優美ちゃんさぁ……」
二人のジト目が痛い。
「そうやって俺たちを心配してるフリして、結局は煽ってるからホントにやめとけよ?」
「う……うん、ごめん。煽ってるつもりはなかったんだけど、心配で……」
「何が心配なの?」
正樹が私の肩を組んでくる。
「うーん……、浮気は心配してないけど。『うおお! やりてー!』ってならないのかな? って心配で。前、あんなにも頻繁にしてたじゃない。だから……」
理解があるような事を言っておきながら、浮気されるのは嫌だ。
風俗に行かれるのも嫌だ。
だから私の言葉は、中途半端に途切れてしまう。
「俺たちが〝よそ〟で性欲解消すると思ってる? そこまで見境ないつもりはないんだけど」
慎也は私の手を握り、耳元で囁く。
「……ご、ごめん」
「僕たちね、優美ちゃんが無事に出産できるなら、何でもできるワケ。セックス我慢するぐらい、どうって事ないんだよ? そりゃ、前は優美ちゃんが大好きでやりすぎてたから、ギャップがあって心配しちゃうんだろうけど」
「うん……」
頷いたあと、尋ねる。
「ソロプレイもしてないの?」
「「ぶふんっ」」
二人が同時に噴き出した。
「ソロプレイなら全然いいからね? お惣菜に動画とかグラビア使っても許す!」
二人はそれぞれ左右を向いたまま、しばらーく黙っていた。
やがて、正樹が特大の溜め息をつく。
「優美ちゃん以外のお惣菜はいらないからね? ぶっちゃけ、そういうの見てみたけど、ほんっとうに全然反応しないの。グラビアなら『あー、この水着、優美ちゃんに着せたいなー』って思って終わり。僕をこういう体にしたのは優美ちゃんなんだから、そういう事は言ったら駄目だからね?」
「たまにおっぱい見せてくれたら、それでシコれるから大丈夫」
「ふ……っ、ふふふ、……っ、はは」
自分から試す事を言っておきながら、大切に想ってくれている二人の言葉に、胸がキュッとなる。そして笑いがこみ上げてきた。
「だな。俺はまだまだ若輩者だけど、頑張るよ。いつか優美が管理職、もしくは秘書として入った時に働きやすいように、二人で風通しを良くしておく」
「だねー。僕もこの数年で役員のおっさん達と随分仲良くなったし」
「パパたち頑張ってまちゅねー」
私はお腹をさすってクスクス笑う。
「それ、いいねぇ。パパって言ってくれたり、赤ちゃん言葉を使うと、子供がいるって感じがするよ。今まで、赤ちゃん言葉って言ったらただの煽り言葉だったし」
「正樹が人を煽りすぎるだけだろ」
「あはは! 絶対そうだ!」
慎也のツッコミに、私は手を打ち鳴らして笑う。
「……ん、……ふぁ……」
けど、眠気を感じ、私は大きなあくびをする。
慌てて手で口元を覆うと、慎也が私の手からマグカップを取り上げた。
「もう寝よう。お疲れさん」
「ん」
彼の方を向くと、チュッと触れるだけのキスをされる。
微笑んで反対を向くと、正樹も優しく私の唇をついばんだ。
枕元の照明が落とされたあと、しばらく窓ガラスの向こうでくっきり浮かび上がる夜景を見ていた。
不意に、素朴な疑問を口にした。
「ムラムラしてない? 大丈夫?」
妊娠が分かった十一月末から、ずっとセックスしていない。
あれだけしていたのに二人がスンッと大人しくなったから、疑問を抱くのは自然の道理だ。
「大丈夫だよ。満たされてるし幸せ。セックスしなくても幸せになれる」
「そうだよ。できたら嬉しいけど、しなくても大丈夫。そんなもんだよ」
ぶっちゃけ、私は妊娠中だけどムラムラしてしまう。
けど、子宮収縮には気をつけなきゃいけない。
二人もその説明を受けて了解している。
彼らが我慢できる、大丈夫と言ってくれるのはありがたい。
でも出産までずっと我慢させて、果たして大丈夫なのかな? と思ってしまう。
二人が浮気をするなんて考えない。
でも二人は女性が放っておかないイケメンで、セックス大好きマンだ。
私以外の女性に興味はないと頭では理解していても、不安にはなってしまう。
若くてしたい盛りなのに、我慢させてしまっているのでは……と。
「……二人とも、セックスマシーンなのに可哀想……」
ぽつん、と呟くと、二人がコントみたいにガクッと項垂れた。
「あのなぁ、セックスマシーンって……」
「優美ちゃんさぁ……」
二人のジト目が痛い。
「そうやって俺たちを心配してるフリして、結局は煽ってるからホントにやめとけよ?」
「う……うん、ごめん。煽ってるつもりはなかったんだけど、心配で……」
「何が心配なの?」
正樹が私の肩を組んでくる。
「うーん……、浮気は心配してないけど。『うおお! やりてー!』ってならないのかな? って心配で。前、あんなにも頻繁にしてたじゃない。だから……」
理解があるような事を言っておきながら、浮気されるのは嫌だ。
風俗に行かれるのも嫌だ。
だから私の言葉は、中途半端に途切れてしまう。
「俺たちが〝よそ〟で性欲解消すると思ってる? そこまで見境ないつもりはないんだけど」
慎也は私の手を握り、耳元で囁く。
「……ご、ごめん」
「僕たちね、優美ちゃんが無事に出産できるなら、何でもできるワケ。セックス我慢するぐらい、どうって事ないんだよ? そりゃ、前は優美ちゃんが大好きでやりすぎてたから、ギャップがあって心配しちゃうんだろうけど」
「うん……」
頷いたあと、尋ねる。
「ソロプレイもしてないの?」
「「ぶふんっ」」
二人が同時に噴き出した。
「ソロプレイなら全然いいからね? お惣菜に動画とかグラビア使っても許す!」
二人はそれぞれ左右を向いたまま、しばらーく黙っていた。
やがて、正樹が特大の溜め息をつく。
「優美ちゃん以外のお惣菜はいらないからね? ぶっちゃけ、そういうの見てみたけど、ほんっとうに全然反応しないの。グラビアなら『あー、この水着、優美ちゃんに着せたいなー』って思って終わり。僕をこういう体にしたのは優美ちゃんなんだから、そういう事は言ったら駄目だからね?」
「たまにおっぱい見せてくれたら、それでシコれるから大丈夫」
「ふ……っ、ふふふ、……っ、はは」
自分から試す事を言っておきながら、大切に想ってくれている二人の言葉に、胸がキュッとなる。そして笑いがこみ上げてきた。
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