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ハワイ 編

おいで、俺たちの花嫁さん

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「僕は何でも美味しく頂くよ~」

 明るく言った正樹は私の肩を組み、ご機嫌な顔で目を覗き込んでくる。

「とっておきで、毎日これしか食べないモノは決まってるけどね?」

「う……」

 ちょっとマジモードで言われると、照れてしまう。

「……俺も正樹と同じモノが好きかなぁ」

 反対側の手を握った慎也が、わざとらしく言って笑う。

 く……くそ……。

 匂わせの段階で私はすっかり照れてしまい、部屋までの道のりを真っ赤になりながら歩いたのだった。



**



 部屋に戻ったあと、三人での初夜となる。

 まずお風呂に入らないとだけど、例の広いテラスにあるジャグジーは景観を楽しみながら用なので、とりあえず髪と体を洗うのは普通のバスルームだ。
 そこは三人で入るほど広くないので、一人ずつ順番にという事になった。

 二人からは「三人での初夜一日目は心の余裕がないから、お風呂上がりにすぐ」とリクエストがあった。

 恥ずかしいけど、要求がストレートで分かりやすくて宜しい。

 私はとある準備、、、、、があるので、理由を付けて二人に先にお風呂に入ってもらった。

 少し緊張しながら髪も体も綺麗にし、上がってから全身念入りにケアをする。
 それからバスタオルの間に挟んでいたモノを取り出し、ピラリとかざす。

「……よし」

 小さく頷いてから、私はソレを身につけた。





 バスルームを出てベッドルームに向かう途中、室内はすでに間接照明のみになっていてムードのある雰囲気になっていた。

 ベッドルームからは二人の話し声、笑い声が聞こえる。
 今まで何回も三人でしてるのに、初夜という言葉がつくだけで、こんなにも緊張してしまう。

「あ……、あの」

 ドアの陰に隠れて声を掛けると、すでに下着一枚姿の二人が微笑んで私を見た。

「どうしたの? こっちおいでよ」

「う……、うん。笑わないでね?」

 念を押したあと、私は恥ずかしくて目を合わせられないので、床を見たまま寝室に入った。

 ハワイ旅行の前に、文香にランジェリーショップに連れていかれた。
『せっかくの初夜だから、とっておきの純白ランジェリーでも仕込んでいけば?』と言われたのだ。

 何だかんだ二人に嫉妬する文香だけれど、彼らの事は私の夫になる人と認めていた。
 だからこそ、肝心な時には頼もしい親友として「三人での新婚初夜なら、しっかり決めてこい」と背中を押してくれた。

 そして今、私はヒラヒラの白いベビードールを身につけていた。

 いや、ベビードールっちゅうか……、セクシーウエディングランジェリー?
 よく分からないけれど、文香が厳選して『これ!』と決めてくれた。

 白い花の刺繍があしらわれたブラレットがあり、その下はマイクロミニスカート丈の、フワッとした二段のチュールがある。
 同じデザインの白いレースのパンティに、太腿にはガーターリング、そして白いガーターストッキング。
 頭にはこれ用のウエディングヴェールを被っていた。

 三度目の花嫁姿で、今までの二回以上に勿論すっっっごい! 恥ずかしい!

「あ……、あの……」

「ヤル気満々じゃん!」って突っ込まれたらどうしよう……。

 私は恥ずかしさのあまりそこから動けず、俯くと短すぎるヒラヒラを必死に引っ張った。

 すると二人がベッドから下りて、私のもとに歩み寄ってきた。

「う……」

 おずおずと顔を上げると、嬉しそうに微笑んだ正樹が私の手をとり、甲にキスをしてきた。
 そして反対の手の甲に、慎也がキスをする。

「おいで、俺たちの花嫁さん」

 笑われるかと思っていたのに素直に受け入れられ、逃走したくなるほど恥ずかしい。

 むしろ、まだ笑ってくれた方がマシなような……。

 顔を真っ赤にしている私をベッドに座らせ、二人は顔を見合わせる。

「ヴェールアップって感慨深いよな」

「慎也、どうぞ?」

「サンキュ」

 微笑んだ慎也は、ヴェールに手を掛けてフワッと上げる。
 そして私の顔を見て、愛しそうに相好を崩す。

「可愛いな……。世界一美人だ」

 褒め言葉に何も言えず俯こうとした時、慎也に軽く顎を掴まれ上を向かされる。

 あ、と思った時には彼と目が合い、キスをされていた。

 フワッと唇が重なり、ちゅむ、とついばまれる。
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