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ハワイ 編
私たち三人なら、何とかなる
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「今は僕だけのものだよ」
「ん」
気持ちを確かめ合い、触れるだけのキスをする。
「久賀城優美になったんだね。慎也の奥さんだけど、僕の奥さんでもあるね」
「うん」
正樹との結婚式のあと、私は改めて慎也との指輪を嵌めた。
今では左手の薬指に似たデザインの結婚指輪が、二つ重なっている。
最近の結婚指輪はオシャレ目的で色んなタイプがあるから、こうやって重ねづけしていてもきっと変に思う人はいないだろう。
私ももう、ここまでくれば覚悟ができている。
今までも三人で問題なく暮らせていたし、ペントハウスだからかお隣さん的な人に詮索される事もない。
当分は専業主婦で、仕事先の人に……という心配もない。
友達も理解ある人ばかりで、二人との事情を知らなくても、必要以上に私のプライベートに顔を突っ込む失礼な人はいない。
何とか、やってけそうだ。
私は目の前に左手をかざし、薬指に嵌まったリングを見る。
「幸せになろうね」
「うん。僕も、優美ちゃんを幸せにする。慎也の事も」
微笑んだあと、彼は目を閉じて何かを想った。
祈っているようにも思えるその表情を見て、私はまだ彼が心に一筋縄ではいかない感情を抱いているのを察した。
けれど、きっと大丈夫。
私たち三人なら、何とかなる。
根拠のない自信を感じながら、私も目を閉じて正樹に寄り添った。
**
「ううう…………」
結局、正樹にも朝まで抱かれた。
しかもこいつ、後ろも好むから体力の消耗が半端ない。
こうなる事を予想していたのか(いや、後半は三人一緒に泊まるから絶対確信して準備していたと思うけど)、しっかりローションや道具まで用意して、ハワイでまでアナルプレイをされてしまった。
「優美ちゃん、立てない? ルームサービス頼んだから、慌てなくていいよ」
私はいまだ裸のまま、ベッドの中でうーうー言っている。
一方、正樹はシャワーを浴びてスッキリして、寝室内にあるソファに腰掛けて新聞を広げている。
「うー……」
さっきから起き上がろうとしているんだけど、腰砕けになって何回も失敗している。
「奥さん、どうしたの?」
新聞を脇に置いた正樹が、羽毛布団ごと私を抱き起こす。
「おトイレ……行きたい」
弱々しい声で訴えると、彼は笑顔になり、私に自分のTシャツをズボッと被せたあと、トイレまで連れて行ってくれた。
用を済ませてなんとかベッドルームまで戻り、きちんと服を着て正樹にTシャツを返す。
「今日は一日、部屋でゆっくりしてようか。歩けるようになったらビーチとか、その辺に買い物とか、プールでもいいし、好きな所に行こう」
「うん」
ソファに座ってオットマンに足をのせると、ようやく覚醒してきた気がする。
正樹がミニバーからペットボトルの水を取ってくれ、キッチンにあるケトルでお湯を沸かしてコーヒーを淹れ始めた。
彼はさっそくこちらでコナコーヒーを買ったので、室内に甘い香りが充満してくる。
気分良さそうにコーヒーを淹れている彼を見て、私も笑顔になる。
日本にいた時はどうなるかな? と少し不安にも思っていたけど、ハワイでの一大イベントの結婚式を無事終えられて良かった。
あとはのんびりと、新婚旅行を楽しむだけだ。
ブランチをルームサービスでとって、そのあとも正樹とイチャイチャしながらのんびりと過ごした。
夕方近くの少し気温が低くなった頃になって、私は正樹と散歩に出る事にした。
マウイ島のホテルも海に面していて、勿論立派なプールもある。
ホテル周辺を歩いてからビーチに行ってみようかという事になり、私たちは手を繋いでのんびり歩いた。
「ん?」
「どした?」
敷地内にあるベンチに見覚えのある後ろ姿があって、私は思わず声を上げた。
「あれってエディさんじゃない?」
海を望めるベンチに座ってボーッとしてるのは、やっぱり彼だ。
周囲にはシャーロットさんもクリスさんもおらず、どうやら一人で行動しているらしい。
ゆっくり歩いて近づくと、私は彼を覗き込み『こんちは』と声を掛ける。
「ん」
気持ちを確かめ合い、触れるだけのキスをする。
「久賀城優美になったんだね。慎也の奥さんだけど、僕の奥さんでもあるね」
「うん」
正樹との結婚式のあと、私は改めて慎也との指輪を嵌めた。
今では左手の薬指に似たデザインの結婚指輪が、二つ重なっている。
最近の結婚指輪はオシャレ目的で色んなタイプがあるから、こうやって重ねづけしていてもきっと変に思う人はいないだろう。
私ももう、ここまでくれば覚悟ができている。
今までも三人で問題なく暮らせていたし、ペントハウスだからかお隣さん的な人に詮索される事もない。
当分は専業主婦で、仕事先の人に……という心配もない。
友達も理解ある人ばかりで、二人との事情を知らなくても、必要以上に私のプライベートに顔を突っ込む失礼な人はいない。
何とか、やってけそうだ。
私は目の前に左手をかざし、薬指に嵌まったリングを見る。
「幸せになろうね」
「うん。僕も、優美ちゃんを幸せにする。慎也の事も」
微笑んだあと、彼は目を閉じて何かを想った。
祈っているようにも思えるその表情を見て、私はまだ彼が心に一筋縄ではいかない感情を抱いているのを察した。
けれど、きっと大丈夫。
私たち三人なら、何とかなる。
根拠のない自信を感じながら、私も目を閉じて正樹に寄り添った。
**
「ううう…………」
結局、正樹にも朝まで抱かれた。
しかもこいつ、後ろも好むから体力の消耗が半端ない。
こうなる事を予想していたのか(いや、後半は三人一緒に泊まるから絶対確信して準備していたと思うけど)、しっかりローションや道具まで用意して、ハワイでまでアナルプレイをされてしまった。
「優美ちゃん、立てない? ルームサービス頼んだから、慌てなくていいよ」
私はいまだ裸のまま、ベッドの中でうーうー言っている。
一方、正樹はシャワーを浴びてスッキリして、寝室内にあるソファに腰掛けて新聞を広げている。
「うー……」
さっきから起き上がろうとしているんだけど、腰砕けになって何回も失敗している。
「奥さん、どうしたの?」
新聞を脇に置いた正樹が、羽毛布団ごと私を抱き起こす。
「おトイレ……行きたい」
弱々しい声で訴えると、彼は笑顔になり、私に自分のTシャツをズボッと被せたあと、トイレまで連れて行ってくれた。
用を済ませてなんとかベッドルームまで戻り、きちんと服を着て正樹にTシャツを返す。
「今日は一日、部屋でゆっくりしてようか。歩けるようになったらビーチとか、その辺に買い物とか、プールでもいいし、好きな所に行こう」
「うん」
ソファに座ってオットマンに足をのせると、ようやく覚醒してきた気がする。
正樹がミニバーからペットボトルの水を取ってくれ、キッチンにあるケトルでお湯を沸かしてコーヒーを淹れ始めた。
彼はさっそくこちらでコナコーヒーを買ったので、室内に甘い香りが充満してくる。
気分良さそうにコーヒーを淹れている彼を見て、私も笑顔になる。
日本にいた時はどうなるかな? と少し不安にも思っていたけど、ハワイでの一大イベントの結婚式を無事終えられて良かった。
あとはのんびりと、新婚旅行を楽しむだけだ。
ブランチをルームサービスでとって、そのあとも正樹とイチャイチャしながらのんびりと過ごした。
夕方近くの少し気温が低くなった頃になって、私は正樹と散歩に出る事にした。
マウイ島のホテルも海に面していて、勿論立派なプールもある。
ホテル周辺を歩いてからビーチに行ってみようかという事になり、私たちは手を繋いでのんびり歩いた。
「ん?」
「どした?」
敷地内にあるベンチに見覚えのある後ろ姿があって、私は思わず声を上げた。
「あれってエディさんじゃない?」
海を望めるベンチに座ってボーッとしてるのは、やっぱり彼だ。
周囲にはシャーロットさんもクリスさんもおらず、どうやら一人で行動しているらしい。
ゆっくり歩いて近づくと、私は彼を覗き込み『こんちは』と声を掛ける。
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