上 下
352 / 539
ハワイ 編

今だけは、俺だけのもん

しおりを挟む
「……できるといいな」

 私の隣に横たわった彼は、肘枕をして何度も私のお腹を撫でる。

「うん。できるといいね。……あんまり気にしすぎても駄目なんだろうけど、家族が増えたらいいなって思う」

 私は微笑んで彼の胸板に額をつける。

「……何か、まだ『夢みたいだな』って感じる。結婚した事も、ハワイに来てこうやって優美を抱いたのも」

「私も。……旅行してるのも相まって現実味がないよね。国内の温泉旅行なら、ゆっくり噛み締められたのかな?」

「どうだろ。でも記念なら、やっぱり海外のほうが印象に残るよな。優美のご家族も喜んでくれたし、俺はハワイに来て良かったと思ってる」

「うん、私もそう思う」

 微笑み合ってまたキスをして、私は正樹の事を考えた。

 今、何してるかな。
 隣の部屋にいるけど、声聞こえてないかな……とか、今さらか。

 思わず溜め息をついたからか、慎也はすぐに察したようだった。

「二日後には正樹が幸せの絶頂にいるだろうから、あんま気にすんな」

「ん……」

 頷いた私の頭を撫でた慎也が、顔を覗き込んでくる。

「俺はこのままでいたい。ずっと新婚初夜が続けばいいと思ってる。……今だけは、俺だけのもんだって思ってたい。……だから、俺の事を考えてほしい」

 想いを告げられ、私は彼の頭を抱き締め、額に口づける。

「うん……。ごめん」

 慎也は私の体を抱き寄せ、背中やお尻を撫でてくる。

「……もっかい、したい」

「ん? ……うん。明日立てるぐらいには手加減してほしいけど……」

 せっかくの新婚旅行なので、何回かするのは想定済みだ。
 慎也は私を抱き寄せたまま、耳元でボソッと呟いた。

「腹ん中、タプタプになるまで中出しする」

「もぉ!」

 シモい事を言われて彼の胸板を叩くと、慎也は笑い転げた。

 二人で笑い、収まった頃にまたキスをして、互いを愛撫していった。





 結局、朝の四時くらいまで抱かれてしまい、目が冴えてしまったのだか眠たいんだか分からない状態で、バルコニーで水を飲んだ。

 この時期のハワイの日の出は七時台らしく、外はまだ暗い。

 沢山達かされて、声もかすれて、歩く時もヨロヨロだったけど、とてもハイになっていた。

 疲れて眠たくて倒れる寸前だったけれど、私たちは潮風を浴びながら水を飲み、じっくり話し合ったあと、ようやくベッドに戻った。



**



(ねっむ…………)

 起きたのは、九時近くだった。

 朝食レストランは十時までやっているらしいので、シャワーを浴びて支度をしたあと、すっぴんで階下に向かった。

 朝食カードを見せると、スタッフが席まで案内してくれた。
 まず席に着くとホールスタッフがコーヒーか紅茶かを聞いてくれるので、二人でコーヒーと答える。

 コーヒーカップがテーブルに置かれたあと、私はトレーとプレートを持って食べ物を取りに行く。
 パンやサラダ、ハム、チーズに卵料理、ソーセージやハムなど、いつもの通りだ。

 ハワイっぽいなと思ったのは、フルーツがふんだんにある事や、パンケーキやワッフル、エッグベネディクト、アサイーボウルなどのアラカルトメニューが頼めるところだ。

「気になるなら好きな物を頼んでいいよ」

「ホント? ありがとう。せっかくだからパンケーキ頼んでみようかな」

 ご飯を食べるならしょっぱい系がいいけど、特別な旅行なので記念になる物を頼みたかった。

 席は幸運な事に窓際で、海を眺めながら食事ができる。
 と言っても、広々としたレストランは一面のガラス張りで、開放的なバルコニー席もあるので、ほぼすべての席から海が見えると言っていい。

 スタッフにパンケーキを頼むと、慎也もエッグベネディクトを頼んだ。
 他にも、せっかくだからという事でビュッフェの物も少しつまむ。

「……ん? あれ、正樹じゃない?」

 ゆっくり食べようとした時、私は奥の席で新聞を広げている正樹を見つけて慎也に言う。

「あ、ホントだ。呼ぼうか」

「私、呼んでくるね」

 慎也があっさり受け入れてくれたので、私は立って正樹のもとへ歩いていった。

「正樹」

「ん……、と。あー……」

 新聞を立てて読んでいた正樹は、私の姿を見て目を見開いたあと、苦笑いする。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

【R18】こんな産婦人科のお医者さんがいたら♡妄想エロシチュエーション短編作品♡

雪村 里帆
恋愛
ある日、産婦人科に訪れるとそこには顔を見たら赤面してしまう程のイケメン先生がいて…!?何故か看護師もいないし2人きり…エコー検査なのに触診されてしまい…?雪村里帆の妄想エロシチュエーション短編。完全フィクションでお送り致します!

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

新婚の嫁のクリトリスを弄り倒す旦那の話

おりん
恋愛
時代背景その他諸々深く考え無い人向け。 続かないはずの単発話でしたが、思っていたより読んでいただけたので小話を追加しました。

たくさんの視線のある中,女子高生がバスでいやらしいことをされ,連続絶頂

sleepingangel02
恋愛
バスに乗ろうとしていた女子高生に超絶イケメンな男性が

処理中です...