339 / 539
ハワイ 編
俺のもんになったな
しおりを挟む
「あぁー……。疲れた……」
私はバフッとベッドに倒れ込む。
勿論、キングサイズのベッドだ。
室内は白い壁に、金色の額縁にはハワイアンキルトが飾られてある。
ベッドはアイスブルーで、リネンの色は白。床はウッド調のフローリングで、カーテンやソファ類は明るいベージュ。
全体的にナチュラルで明るい雰囲気の部屋で、窓からは青い海がドバーン! と見える。
最高!
「スイートルームじゃなくてごめんな」
荷物を置いた慎也が言い、私は「なんで!?」と声を上げる。
「ここ、一泊しかしないんだよ? それなのにベッドルームとは別にリビングがあって、キッチンもあるしバスも洗面所もめっちゃ綺麗だし、謝る意味が分かんない!」
クワッと目を剥いて言ったからか、慎也は破顔する。
「優美のそういう、気取らないところ好きだよ」
慎也は靴を脱いで、ベッドに上がる。
私も履いていたスニーカーを脱いで、きちんと足までベッドに上がった。
微かな衣擦れの音を立てて、慎也が私の手を握ってくる。
「……何か、正樹がいないと静かだよな」
「んふ、そうだね」
ハワイでは、一部屋に泊まる人数を変則的にしていた。
これは慎也とのハネムーンであり、正樹と結婚式を挙げ、そのハネムーンでもある。
三人で結婚生活を送っていくと決めたとはいえ、最初の夜は二人きりで過ごそうと三人で決めたのだ。
だから、一泊目と二泊目は慎也と二人きり。
三日目に正樹と結婚式を挙げて、三泊目、四泊目は正樹と。
そのあとは、三人で……、だ。
何だか、とうとうここまできちゃった、という感じがある。
ずーっと三人でワチャワチャしながら結婚という一つ目のゴールに向けて、三人四脚で進んできた。
ゴールは遠いな……と思っていたけど、あっという間に入籍になり、そのあとはトントンだ。
「優美……、キスしたい」
「ん……」
甘い声で言われ、私は横向きになると目を閉じる。
慎也は少しの間私を見つめていたけれど、頭を撫で、耳の輪郭をたどって頬に触れ、唇に指を当てる。
ふにゅり、と唇を潰して遊んできたので、私は思わず笑って彼の指先を咥える。
「んー、ちゅっ」
彼の指を咥えたまま、チュッチュッとしゃぶっていると、慎也が「母性に目覚めそう」って言うもんだから笑ってしまった。
ベッドの上に寝転がったまましばし笑う。
そのあと、慎也が私を抱き寄せてキスをした。
大切そうに唇を重ね、一度顔を離して私を見てから微笑み、またキスをする。
「……俺のもんになったな」
愛しげな表情で呟く彼に、私は微笑み返した。
本当は「あなただけ」と言ってあげたい。
けれどそれは、何もかも許されているように見える私の、唯一できない事だ。
慎也のものでもあるけれど、正樹のもの。
誠実でいようとすれば、そういう言い方しかできなくなる。
分かっているからか、慎也は「いいよ」というように微笑んでから私を抱き締めてきた。
体に脚がかかり、クーラーで冷えた部屋の中、二人でぬくもりを分かち合う。
「雰囲気的には、慎也の方がお祖父さんに似ているかもね」
話題を変えると、彼は「ん」と微笑み応じてくれる。
「かもな。俺はどっちかというと顔が濃い方で、髪質もちょとクセがある。爺さんの血をより強く継いだのかな。正樹は俺よりすんなりとした顔立ちだし、髪の毛もサラサラで羨ましいよ」
「玲奈さん、毛量多いよね。ツヤコシのある綺麗な髪で羨ましい」
「ふふ、本人に言ってやれよ。最近『薄くなってきた気がする』って言ってたから、喜ぶぞ」
「そうしよっと」
そのあともゆったりと抱き合い、思い出したようにキスをする。
「……疲れてると思うけど、今夜いい?」
慎也が尋ねてくる。
「うん、いいよ。ランチのあと、ちょっとショッピングに出かけて、早めに戻って休憩しようか。明日は移動だし、休憩できる時にしておかないと、結婚式まではゆっくりできないかも。私の体力をとっておくのも第一だし」
「だな。ホントに」
慎也は嬉しそうに、おかしそうに笑い、私の髪を耳にかける。
「体力使わせてごめん。……でも、好きだから触りたい」
「うん、いいよ。その分美味しい物食べさせてもらうから」
「旅行中は太るとか気にしないで、たっぷり遊んで楽しんで、帰国してから皆で運動しよう」
「だねー。楽しまないと。でも、ハワイで早朝ジョギングとか楽しそう。私、シューズ持って来たよ」
「俺も。正樹も持って来てるはず。結婚式が終わって落ち着いたら、色々楽しもう」
私はバフッとベッドに倒れ込む。
勿論、キングサイズのベッドだ。
室内は白い壁に、金色の額縁にはハワイアンキルトが飾られてある。
ベッドはアイスブルーで、リネンの色は白。床はウッド調のフローリングで、カーテンやソファ類は明るいベージュ。
全体的にナチュラルで明るい雰囲気の部屋で、窓からは青い海がドバーン! と見える。
最高!
「スイートルームじゃなくてごめんな」
荷物を置いた慎也が言い、私は「なんで!?」と声を上げる。
「ここ、一泊しかしないんだよ? それなのにベッドルームとは別にリビングがあって、キッチンもあるしバスも洗面所もめっちゃ綺麗だし、謝る意味が分かんない!」
クワッと目を剥いて言ったからか、慎也は破顔する。
「優美のそういう、気取らないところ好きだよ」
慎也は靴を脱いで、ベッドに上がる。
私も履いていたスニーカーを脱いで、きちんと足までベッドに上がった。
微かな衣擦れの音を立てて、慎也が私の手を握ってくる。
「……何か、正樹がいないと静かだよな」
「んふ、そうだね」
ハワイでは、一部屋に泊まる人数を変則的にしていた。
これは慎也とのハネムーンであり、正樹と結婚式を挙げ、そのハネムーンでもある。
三人で結婚生活を送っていくと決めたとはいえ、最初の夜は二人きりで過ごそうと三人で決めたのだ。
だから、一泊目と二泊目は慎也と二人きり。
三日目に正樹と結婚式を挙げて、三泊目、四泊目は正樹と。
そのあとは、三人で……、だ。
何だか、とうとうここまできちゃった、という感じがある。
ずーっと三人でワチャワチャしながら結婚という一つ目のゴールに向けて、三人四脚で進んできた。
ゴールは遠いな……と思っていたけど、あっという間に入籍になり、そのあとはトントンだ。
「優美……、キスしたい」
「ん……」
甘い声で言われ、私は横向きになると目を閉じる。
慎也は少しの間私を見つめていたけれど、頭を撫で、耳の輪郭をたどって頬に触れ、唇に指を当てる。
ふにゅり、と唇を潰して遊んできたので、私は思わず笑って彼の指先を咥える。
「んー、ちゅっ」
彼の指を咥えたまま、チュッチュッとしゃぶっていると、慎也が「母性に目覚めそう」って言うもんだから笑ってしまった。
ベッドの上に寝転がったまましばし笑う。
そのあと、慎也が私を抱き寄せてキスをした。
大切そうに唇を重ね、一度顔を離して私を見てから微笑み、またキスをする。
「……俺のもんになったな」
愛しげな表情で呟く彼に、私は微笑み返した。
本当は「あなただけ」と言ってあげたい。
けれどそれは、何もかも許されているように見える私の、唯一できない事だ。
慎也のものでもあるけれど、正樹のもの。
誠実でいようとすれば、そういう言い方しかできなくなる。
分かっているからか、慎也は「いいよ」というように微笑んでから私を抱き締めてきた。
体に脚がかかり、クーラーで冷えた部屋の中、二人でぬくもりを分かち合う。
「雰囲気的には、慎也の方がお祖父さんに似ているかもね」
話題を変えると、彼は「ん」と微笑み応じてくれる。
「かもな。俺はどっちかというと顔が濃い方で、髪質もちょとクセがある。爺さんの血をより強く継いだのかな。正樹は俺よりすんなりとした顔立ちだし、髪の毛もサラサラで羨ましいよ」
「玲奈さん、毛量多いよね。ツヤコシのある綺麗な髪で羨ましい」
「ふふ、本人に言ってやれよ。最近『薄くなってきた気がする』って言ってたから、喜ぶぞ」
「そうしよっと」
そのあともゆったりと抱き合い、思い出したようにキスをする。
「……疲れてると思うけど、今夜いい?」
慎也が尋ねてくる。
「うん、いいよ。ランチのあと、ちょっとショッピングに出かけて、早めに戻って休憩しようか。明日は移動だし、休憩できる時にしておかないと、結婚式まではゆっくりできないかも。私の体力をとっておくのも第一だし」
「だな。ホントに」
慎也は嬉しそうに、おかしそうに笑い、私の髪を耳にかける。
「体力使わせてごめん。……でも、好きだから触りたい」
「うん、いいよ。その分美味しい物食べさせてもらうから」
「旅行中は太るとか気にしないで、たっぷり遊んで楽しんで、帰国してから皆で運動しよう」
「だねー。楽しまないと。でも、ハワイで早朝ジョギングとか楽しそう。私、シューズ持って来たよ」
「俺も。正樹も持って来てるはず。結婚式が終わって落ち着いたら、色々楽しもう」
応援ありがとうございます!
2
お気に入りに追加
1,767
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる