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結婚式 編
結婚披露宴
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私と彼の家族も、親戚も、文香も和人くんも、学生時代の友達も、シャーロットさんたちも。
皆、私と慎也の結婚を祝福してくれている。
――ありがとう。
慎也と顔を見合わせ微笑み合い、私はチャペルの外まで出た。
そのあと皆で集まって写真撮影をしたあと、いざ披露宴となった。
**
披露宴の会場は、ホテルの宴会場の一番大きな場所を押さえた。
そこには五百人以上が収容できるらしい。
高砂の後ろにはクリーム色の壁に、ホテルの名前がプロジェクターで投影されている。
あとからそこで私たちのなれそめ動画や、プロジェクションマッピングが投影されるそうだ。
天井からはゴールドのシャンデリアが下がって、会場を照らしている。
壁やカーペット、椅子のカバーなどはミッドナイトブルーで統一されていて、大人っぽい落ち着きがあった。
……というのは、事前に確認して知った情報だ。
今、私と慎也は、披露宴前の準備をしなければならない。
最初に着替えたのは、海外ハイブランドのドレスだ。
パキッとした真っ赤なチューブトップドレスに、襟元から腰まで色とりどりの花が刺繍されているデザインだ。
スカートにも、同様の刺繍が裾へ向かって広がるように施されている。
文香が「優美はハッキリした色が似合うよ」と言ってくれ、彼女と一緒にカタログを沢山見た結果、このドレスに決めた。
勿論、慎也と正樹にも確認してもらって、「絶対似合うよ!」と太鼓判を押してもらった。
慎也もお色直しをして、普通丈のジャケットに濃紺のシャツ、ボルドーの蝶ネクタイとオシャレな雰囲気になっている。
着替えた私たちは、スタッフに合図されて会場に入った。
ドラマチックな音楽が流れるなか、割れんばかりの拍手に迎えられ、私たちは高砂席に向かう。
それから司会による開宴の言葉、新郎新婦の紹介のあと、久賀城家側からは某企業のお偉いさん、私側からはE&Eフーズの部長がスピーチをしてくれた。
そのあと乾杯になり、私たちもシャンパンで喉を潤した。
美食家の慎也がこだわったフレンチコースが順番に運ばれ始める。
皆がいる席を見ると、友達はご馳走を喜んでくれていた。
「美味しいね」
「ん。あんまり暇はないみたいだから、食べられる時に食べておかないと」
「あはは、本当に結婚式当日って戦場みたいだね」
慎也とも和やかに話しながらしばし食事を楽しむ。
けれど友達がしばしば写真撮影に訪れるので、食事の手を止めて撮影に応じる。
やがてケーキ入刀になり、ウエディングケーキが運ばれてきた。
ケーキは色んなデザインがあって悩んだ。
タワーみたいに高いのも派手だけれど、どうせならオシャレで美味しい物がいいねという事になった。
結局、三段構えでベリー系のフルーツでデコレーションされた物に決まったのだった。
集まった女子たちは、ケーキを見て「可愛い~」と言って写真を撮っている。
そしてまたドラマチックな音楽が流れるなか、私と慎也は二人でナイフを握って入刀し、ファーストバイトをした。
文香が最前列でバッシャバシャと写真を撮ってる姿は、なかなか気合いが入っている。
シャーロットさんも相当だ。
この日のためのブランド物のワンピースも格好いいけど、構えている一眼レフが半端ない。
……いつから写真に目覚めたんだっけ。
軽く混乱している間も時間は進み、私は次のお色直しのために中座する事になった。
「ああ、忙しい! ご飯食べたい!」
廊下を速歩に進みながら、私は弱音を吐く。
「今夜の便、ファーストクラスのコース料理で我慢してくれ」
「おうよ!」
再度入場する時は、私は和装になっていた。
白無垢の上に、千代見草に鶴柄の色打ち掛け、髪型もアレンジして和風のヘアアクセサリーをつけている。
慎也は紋付き袴で、和装の彼も格好いい。
それからテーブルラウンドになるんだけど、話し合った結果、角テーブルに小さな酒樽を置いて、ミニ鏡開きをする。
小さな樽は和風の絵柄がついているけれど、ミニサイズだからかとても可愛い。
それに合わせた小さな木槌を慎也と握り、テーブルの人に声を掛けてもらってピコッと割る。
蓋はあらかじめ切り込みが入っていて、マグネットで簡単に外れるようになっていた。
皆、私と慎也の結婚を祝福してくれている。
――ありがとう。
慎也と顔を見合わせ微笑み合い、私はチャペルの外まで出た。
そのあと皆で集まって写真撮影をしたあと、いざ披露宴となった。
**
披露宴の会場は、ホテルの宴会場の一番大きな場所を押さえた。
そこには五百人以上が収容できるらしい。
高砂の後ろにはクリーム色の壁に、ホテルの名前がプロジェクターで投影されている。
あとからそこで私たちのなれそめ動画や、プロジェクションマッピングが投影されるそうだ。
天井からはゴールドのシャンデリアが下がって、会場を照らしている。
壁やカーペット、椅子のカバーなどはミッドナイトブルーで統一されていて、大人っぽい落ち着きがあった。
……というのは、事前に確認して知った情報だ。
今、私と慎也は、披露宴前の準備をしなければならない。
最初に着替えたのは、海外ハイブランドのドレスだ。
パキッとした真っ赤なチューブトップドレスに、襟元から腰まで色とりどりの花が刺繍されているデザインだ。
スカートにも、同様の刺繍が裾へ向かって広がるように施されている。
文香が「優美はハッキリした色が似合うよ」と言ってくれ、彼女と一緒にカタログを沢山見た結果、このドレスに決めた。
勿論、慎也と正樹にも確認してもらって、「絶対似合うよ!」と太鼓判を押してもらった。
慎也もお色直しをして、普通丈のジャケットに濃紺のシャツ、ボルドーの蝶ネクタイとオシャレな雰囲気になっている。
着替えた私たちは、スタッフに合図されて会場に入った。
ドラマチックな音楽が流れるなか、割れんばかりの拍手に迎えられ、私たちは高砂席に向かう。
それから司会による開宴の言葉、新郎新婦の紹介のあと、久賀城家側からは某企業のお偉いさん、私側からはE&Eフーズの部長がスピーチをしてくれた。
そのあと乾杯になり、私たちもシャンパンで喉を潤した。
美食家の慎也がこだわったフレンチコースが順番に運ばれ始める。
皆がいる席を見ると、友達はご馳走を喜んでくれていた。
「美味しいね」
「ん。あんまり暇はないみたいだから、食べられる時に食べておかないと」
「あはは、本当に結婚式当日って戦場みたいだね」
慎也とも和やかに話しながらしばし食事を楽しむ。
けれど友達がしばしば写真撮影に訪れるので、食事の手を止めて撮影に応じる。
やがてケーキ入刀になり、ウエディングケーキが運ばれてきた。
ケーキは色んなデザインがあって悩んだ。
タワーみたいに高いのも派手だけれど、どうせならオシャレで美味しい物がいいねという事になった。
結局、三段構えでベリー系のフルーツでデコレーションされた物に決まったのだった。
集まった女子たちは、ケーキを見て「可愛い~」と言って写真を撮っている。
そしてまたドラマチックな音楽が流れるなか、私と慎也は二人でナイフを握って入刀し、ファーストバイトをした。
文香が最前列でバッシャバシャと写真を撮ってる姿は、なかなか気合いが入っている。
シャーロットさんも相当だ。
この日のためのブランド物のワンピースも格好いいけど、構えている一眼レフが半端ない。
……いつから写真に目覚めたんだっけ。
軽く混乱している間も時間は進み、私は次のお色直しのために中座する事になった。
「ああ、忙しい! ご飯食べたい!」
廊下を速歩に進みながら、私は弱音を吐く。
「今夜の便、ファーストクラスのコース料理で我慢してくれ」
「おうよ!」
再度入場する時は、私は和装になっていた。
白無垢の上に、千代見草に鶴柄の色打ち掛け、髪型もアレンジして和風のヘアアクセサリーをつけている。
慎也は紋付き袴で、和装の彼も格好いい。
それからテーブルラウンドになるんだけど、話し合った結果、角テーブルに小さな酒樽を置いて、ミニ鏡開きをする。
小さな樽は和風の絵柄がついているけれど、ミニサイズだからかとても可愛い。
それに合わせた小さな木槌を慎也と握り、テーブルの人に声を掛けてもらってピコッと割る。
蓋はあらかじめ切り込みが入っていて、マグネットで簡単に外れるようになっていた。
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