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結婚式 編
結婚式
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一生会わないと思っていたし、万が一冠婚葬祭で顔を合わせても、二人を見て思いださないだろうと感じていた。
それにあの姉弟は、通りすがりの人に「膨張色」「脚が太い」と言っただけで、私が何者なのか、その後どうしたなんて考えもしなかっただろう。
世の中、そんなもんだ。
傷付き、気にし続けるのは、いつも傷つけられた側だ。
でも私は、あれがきっかけで慎也と正樹に出会えて変わる事ができた。
ある意味感謝すべきなんだろう。
「綺麗よぉ、優美さん」
「優美さん、一緒に写真撮ってもいい?」
仕上がった私を見て、玲奈さんと未望ちゃんが歓声を上げる。
少し離れた所では、黒留袖を着たお母さんとお祖母ちゃんが、ニコニコしてこちらを見ている。
順番に写真撮影をしたあと、私は姿見でウエディングドレス姿の自分を改めて見る。
慎也との式では、ドレスから何から、とにかく派手に決める方向になっていた。
ヘアメイクさんにゴージャスな感じで纏めてもらった髪にはティアラ。
耳と首には、ティアラに合わせたダイヤモンドのアクセサリー。
これらは幾らしたか分からないけど、ある日慎也に「当日はこれを着けて」と満面の笑みで言われたもんだから、断れなかった。
ウエディングドレスはビスチェタイプで、ざっくりとVの字になった胸元から腰までは、びっしりと刺繍が施されている。
腰から裾まではふんわりと広がって、後ろは何メートルか分からないけど、かなり長く引きずっている。
腰から裾までも、縦方向に刺繍が入っていて、一分の隙もないぐらい豪華だ。
腕にはレースのグローブ。ブーケはラナンキュラスと白薔薇の、豪華なキャスケードブーケ。
花が滝のように下がっている形で、白い花に蔦のように長く伸びる葉物が絶妙なシルエットを作っている。
鏡で花嫁になる自分を再確認したあと、私はお母さんに微笑んだ。
「今までありがとう。幸せになります」
ちょっと涙ぐんだお母さんは、目尻の皺を深くして頷く。
「しっかりね」
「うん!」
頷いたあと、私はスタッフさんと一緒にチャペルに向かった。
**
チャペルのドアが開いたあと、両親と一緒に入場してお辞儀をする。
軽く膝を折って頭を下げると、お母さんがヴェールダウンしてくれた。
タキシードを着たお父さんの腕に掴まると、照れくさそうに笑われ、私も笑い返した。
お馴染みの曲が流れるなか、練習した通りにお父さんと歩幅を合わせて一歩ずつ進む。
左右のベンチには沢山人が座っていて緊張するけど、なるべく集中して進んだ。
ドレスの裾が長いので、踏まないように蹴るイメージで進み、ヴァージンロードの途中で待っている慎也の前で立ち止まる。
慎也はシルバーのフロックコートを着ていた。
髪をセットし、ただでさえイケメンなのに今日は光り輝かんばかりだ。
お父さんが私の手を取り、慎也に委ねる。
それから私は、慎也にエスコートされて祭壇前まで進んだ。
神父さんが挨拶をしたあと、皆で聖歌を歌う。
そのあと神父さんが聖書のありがたい言葉を言い、私は緊張で頭の中を真っ白にさせていた。
これから披露宴も控えていて、やらないといけない事が目白押しだ。
二次会に参加したあと、正樹と挙げる式のドレスも持参して、夜の便でハワイに向かわないといけない。
グルグルしている間に、誓いの言葉となった。
神父さんの問いかけに、慎也がハッキリとした声で返事をする。
「誓います」
「では続いて新婦、優美。あなたは慎也を夫とし、病める時も健やかなる時も……」
お馴染みの問いかけをされ、私は緊張しながらしっかり返事をした。
「はい、誓います」
そのあと親族の小さい子が、スタッフに誘導されてリングピローを持ってきてくれた。
白く小さなリングピローには、正樹と三人で決めた指輪のうち、二つが収まっている。
最初に、慎也が私の指に指輪を嵌めてくれた。
続いて私も彼の指に、おそろいの指輪を嵌める。
誓いのキスになり、私は少ししゃがんで慎也にヴェールアップしてもらった。
今は、あえて正樹を見ない。
彼とは別の機会で結婚式を挙げるから、今は慎也だけを見ようと決めていた。
目を閉じると慎也が頬に手を添え、唇が重なった。
ほんの一、二秒だったけれど、私たちはしっかりと誓いの口づけを交わす。
そのあとは結婚誓約書にサインをして、退場の流れになる。
両サイドにいる皆が、小さな籠に入った花びらをパッと撒いてくれる。
その時になって正樹を見たけれど、彼は満面の笑顔でフラワーシャワーをしてくれていた。
それにあの姉弟は、通りすがりの人に「膨張色」「脚が太い」と言っただけで、私が何者なのか、その後どうしたなんて考えもしなかっただろう。
世の中、そんなもんだ。
傷付き、気にし続けるのは、いつも傷つけられた側だ。
でも私は、あれがきっかけで慎也と正樹に出会えて変わる事ができた。
ある意味感謝すべきなんだろう。
「綺麗よぉ、優美さん」
「優美さん、一緒に写真撮ってもいい?」
仕上がった私を見て、玲奈さんと未望ちゃんが歓声を上げる。
少し離れた所では、黒留袖を着たお母さんとお祖母ちゃんが、ニコニコしてこちらを見ている。
順番に写真撮影をしたあと、私は姿見でウエディングドレス姿の自分を改めて見る。
慎也との式では、ドレスから何から、とにかく派手に決める方向になっていた。
ヘアメイクさんにゴージャスな感じで纏めてもらった髪にはティアラ。
耳と首には、ティアラに合わせたダイヤモンドのアクセサリー。
これらは幾らしたか分からないけど、ある日慎也に「当日はこれを着けて」と満面の笑みで言われたもんだから、断れなかった。
ウエディングドレスはビスチェタイプで、ざっくりとVの字になった胸元から腰までは、びっしりと刺繍が施されている。
腰から裾まではふんわりと広がって、後ろは何メートルか分からないけど、かなり長く引きずっている。
腰から裾までも、縦方向に刺繍が入っていて、一分の隙もないぐらい豪華だ。
腕にはレースのグローブ。ブーケはラナンキュラスと白薔薇の、豪華なキャスケードブーケ。
花が滝のように下がっている形で、白い花に蔦のように長く伸びる葉物が絶妙なシルエットを作っている。
鏡で花嫁になる自分を再確認したあと、私はお母さんに微笑んだ。
「今までありがとう。幸せになります」
ちょっと涙ぐんだお母さんは、目尻の皺を深くして頷く。
「しっかりね」
「うん!」
頷いたあと、私はスタッフさんと一緒にチャペルに向かった。
**
チャペルのドアが開いたあと、両親と一緒に入場してお辞儀をする。
軽く膝を折って頭を下げると、お母さんがヴェールダウンしてくれた。
タキシードを着たお父さんの腕に掴まると、照れくさそうに笑われ、私も笑い返した。
お馴染みの曲が流れるなか、練習した通りにお父さんと歩幅を合わせて一歩ずつ進む。
左右のベンチには沢山人が座っていて緊張するけど、なるべく集中して進んだ。
ドレスの裾が長いので、踏まないように蹴るイメージで進み、ヴァージンロードの途中で待っている慎也の前で立ち止まる。
慎也はシルバーのフロックコートを着ていた。
髪をセットし、ただでさえイケメンなのに今日は光り輝かんばかりだ。
お父さんが私の手を取り、慎也に委ねる。
それから私は、慎也にエスコートされて祭壇前まで進んだ。
神父さんが挨拶をしたあと、皆で聖歌を歌う。
そのあと神父さんが聖書のありがたい言葉を言い、私は緊張で頭の中を真っ白にさせていた。
これから披露宴も控えていて、やらないといけない事が目白押しだ。
二次会に参加したあと、正樹と挙げる式のドレスも持参して、夜の便でハワイに向かわないといけない。
グルグルしている間に、誓いの言葉となった。
神父さんの問いかけに、慎也がハッキリとした声で返事をする。
「誓います」
「では続いて新婦、優美。あなたは慎也を夫とし、病める時も健やかなる時も……」
お馴染みの問いかけをされ、私は緊張しながらしっかり返事をした。
「はい、誓います」
そのあと親族の小さい子が、スタッフに誘導されてリングピローを持ってきてくれた。
白く小さなリングピローには、正樹と三人で決めた指輪のうち、二つが収まっている。
最初に、慎也が私の指に指輪を嵌めてくれた。
続いて私も彼の指に、おそろいの指輪を嵌める。
誓いのキスになり、私は少ししゃがんで慎也にヴェールアップしてもらった。
今は、あえて正樹を見ない。
彼とは別の機会で結婚式を挙げるから、今は慎也だけを見ようと決めていた。
目を閉じると慎也が頬に手を添え、唇が重なった。
ほんの一、二秒だったけれど、私たちはしっかりと誓いの口づけを交わす。
そのあとは結婚誓約書にサインをして、退場の流れになる。
両サイドにいる皆が、小さな籠に入った花びらをパッと撒いてくれる。
その時になって正樹を見たけれど、彼は満面の笑顔でフラワーシャワーをしてくれていた。
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