【本編完結】【R-18】逃れられない淫らな三角関係~美形兄弟に溺愛されています~

臣桜

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正樹と料理 編

正樹のヒヤヒヤクッキング

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「手は軽く開いた状態ね。あちこち混ぜなくていいから、一定方向にシャカシャカまぜて、白く濁ったお水を捨てる。これを二回ぐらい繰り返して」

「オッケ」

 慎也はキッチン用のスツールに腰掛け、私たちを見守っている。

「あんまり力を込めると、お米が割れちゃうからNGね。指を立てて優しく」

 正樹から離れて様子を見ていると、コツを掴んだらできるらしく、言われた通りにお米を研ぎ終えた。

「じゃあ、炊飯器のお釜に移して、今は二合だから二のラインまでお水を入れて。最初はドバッと入らないように、計量カップを使うといいかも」

「うん」

 正樹はウォーターサーバーと流しとを行き来し、言われた通りに水を入れる。

「そのあと三十分、お米をお水の中でねんねさせます」

「ねんね?」

「お水をたっぷり吸わせるの。冬場だとお水が冷たいから一時間って言われてるかな。そうしたら、もちもちツヤツヤお米になります。OK?」

「了解! これは多分覚えた!」

 正樹がどや顔をするので、私はおかしくなってクスクス笑ってしまった。
 いつも美味しいコーヒーを淹れてくれてるけど、お米係も兼任してくれてもいいな。

 そのあと、三十分経つまで三人でラジオ体操をして、スクワットや床の上でできる運動をした。

 いい感じに体が温まったあと、私と正樹は手を洗ってキッチンに戻り、炊飯器のスイッチを入れた。

「じゃあ、焼き魚です。冷蔵庫のお魚が入ってる場所はここ」

 冷蔵庫を開け、私は正樹に魚コーナーを見せる。

「今日はもとから塩味のついている塩鮭ね。鮭は全部塩味ついてる訳じゃないから、パックを見て塩って書いてあるかチェック。他は、西京漬けとか外側に色々ついてる切り身もあるし、秋になったらサンマの塩焼きは自分でちょちょいと塩を振って下処理するとか、色々あるけれど、今はグリルの使い方から」

「ラジャ」

 大きな鮭の切り身をパックから取り出し、調理バットの上にのせる。

「このまま焼いても間違いじゃないけど、切り身は加工されてから時間が経ってるので、ドリップと呼ばれるものが出てます。まぁ、ぶっちゃけ、出ちゃった体液」

 身も蓋もない言い方に、向こうで慎也が「ぶふぉっ」と噴き出した。

「時間が経つごとに出ちゃうもんだけど、買って来たばっかりでも多少出てるので、キッチンペーパーとかで綺麗綺麗します」

 私はペーパーを正樹に渡し、一切れは自分で実際にやってお手本を示す。
 見よう見まねで、正樹も魚を綺麗に拭き取った。

「で、これは裏技で、魚でも肉でもそうなんだけど、お酒をちょっと掛けておくと身が柔らかくなります」

 私は正樹に大さじと小さじの概念を説明し、小さじ一を塩鮭に馴染ませるミッションを頼む。
 手が少し震えているのが初々しい。

 その間に、冷蔵庫から玉子焼き用の卵を出し、味噌汁の具も出しておく。

「お魚は焼きたてで食べたいから、ご飯が炊き上がる時間を逆算しないとです。高速炊きだと、大体三十分ちょいぐらいで炊けるから、今はグリルにセットしておくだけ。タイマーを二十分にセットしておいて、鳴ったらグリル点火ね」

「分かった。結構頭使うね?」

「そうそう。甘く見られないんだよ。一品ずつ、かかる時間を計算して同時進行していかないとなの。よし、じゃあお味噌汁作ろっか。今日は豆腐とワカメとお葱のお味噌汁です」

 いよいよ切り作業になり、向こう側で慎也が不安そうな顔をしている。

「ワカメは塩ワカメと、生ワカメがあります。生ワカメはそのまま切ればOK。今日は塩ワカメ」

「なんで塩味ついてるの?」

 正樹が素朴な疑問をぶつけてくる。

「保存だよ。ベーコンもハムも、お肉をしょっぱくして保存してるでしょ」

「あっ、なる……」

「でも塩ワカメは真水で戻してからじゃないと、しょっぱくて食べられないからね」

 そして私は正樹に「どれだけ使うでしょうか」ゲームをし、適正な量を教える。

「これ、三倍に増えんの!?」

「そう。だから袋一杯使ったら、鍋がワカメで圧死する。OK?」

「OK」

 正樹は両手を広げ、三倍になった時のイメージを膨らませている。

「で、ボウルにお水を入れて、この中で五分ぐらい放置。塩で水気を吸われてるから、お水をあげてふやかすの。途中で二、三回ぐらいお水を替えて、塩分を薄めてあげる」

「分かった」

 正樹はボウルの中でワカメをちゃぷちゃぷさせ、「大きくなれよ」と声を掛けた。

「よし! じゃあお葱切ってみようか!」

「イエーイ!」

 急に正樹がハイテンションになり、スラリと三徳包丁を抜く。

 本日のハイライトだ。

 慎也は目元と口元をヒクヒクさせている。それほどか。

「とりあえず、葱のお尻の部分を……まぁー、十五センチぐらい切ってみようか」

「分かった!」

 正樹は長葱をまな板の上に置き、右手を振り上げた。
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