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同窓会 編
皆、私が幸せにするからね!
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「優美ちゃんは高校生卒業の、子供である時期を終える時に大きな決断をした。誰かに『痩せなさい』って言われたからじゃなく、自分で生き方を変える決意をしたんだ。それって簡単にできる事じゃない。今は完全に〝アフター〟になった君を誇っていいし、そんな君を好きになった人をもっと信頼していい」
「……っ、うん……っ」
涙が、止まってくれない。
「優美、私の事も信じてくれていいんだからね。あんたがどんな姿を見せても、私は優美の人間性を知っているし、信じている。誰にどんな扱いを受けても、私のあんたへの想いは変わらない。優美はそれだけ私に誠実に接してくれた。あんたの今までが、〝今〟の信頼を作ってるんだよ。それを忘れないで」
文香が私の前にしゃがみ、両手を握ってくる。
「ん……っ」
――ありがたい、なぁ。
四人が、ここにいてくれる事に心の底から感謝する。
「無礼な態度を取る人は、大切に扱わなくていい。彼らに心を割いて悩むだけ、優美ちゃんの時間も心も無駄になる。それなら僕たちの事を考えてよ」
微笑んだ正樹の言葉に、思わず笑みが零れた。
「ふふ……っ、そう、――だね」
笑った私の頬に、正樹がキスをする。
「人生は長いように思えて短いよ。いつ病気をするか分からないし、事故に遭うか分からない。嫌な奴の事を考えて悩むより、好きな人の事を考えて過ごそう。あいつらの事なんて考えられなくなるぐらい、僕たちが愛してあげる。毎日愛を囁いてたっぷりセックスして、美味しい物を食べて、綺麗な景色を見て、いい音楽を聴いて、幸せな家庭を築く。ホラ、忙しくなりそうでしょ?」
歌うような正樹の言葉に、私は笑って頷いた。
正樹の調子に合わせて、慎也も冗談めかして言う。
「俺たちみたいな完璧な婚約者がいるのに、よその男の事で悩むなよ。悩むなら俺たちの事で悩んで。飯の味付けが濃いとか、セックスがしつこいとか、悩む事は沢山あるだろ?」
「ん……っ、はは! 確かに! ご飯は美味しいけどね」
笑顔を見せた私を見て、文香が安心したように溜め息をつく。
「ここにいる四人を、生涯信じていいからね」
「うん」
私は微笑んで、文香の手を握る。
「優美は自分の力で、この四人との関係を掴み取った。オリエンテーションの時、優美が話しかけてくれたから、私はあんたと友達になれたし、付き合っていくうちにどんどん好きになった。二人との関係だってそうでしょう? 誰かにお膳立てされたものじゃなくて、自分の魅力で掴んだ関係だよ」
「そう……、だね」
肯定すると、文香はポンポンと私の手を叩く。
「努力して自分で得たものは裏切らないっていうのが、私の持論。勉強とか資格、技術もそうだし、人間関係だって時間を費やしてじっくり育てた関係は、余程の事がなきゃ長持ちするもんだと思ってる」
「うん、分かる」
「お金も時間も気持ちもかけたなら、失うのを『勿体ない』って思うから丁寧に大切に扱う。お金掛けてプレゼントし合う相手を、『いつ切れてもいい、どうでもいい存在』って思わないでしょ? 調子が悪くてきちんと相手ができなくてそっけなくなっちゃう時は、誰にでもある。けどそういう時、信頼のある人は分かってくれる」
「ん」
「私は優美と大学四年間一緒に過ごして、社会人になってからもずっと一緒にいる。その間に優美の思考パターンも価値観も、見せてくれたものは理解した。『この子なら、一生親友でいられる』って、自分が選んだ友達を信じられている。他の三人も多分同じでしょ。だから、私たちについては不安にならなくていいからね」
「ありがとう」
私は両手で文香の手を握り、額につけて祈るようなポーズを取った。
「はぁ……」
溜め息をつき、遠くで瞬いている光を見る。
そして深呼吸をしたあと、大きな声で言った。
「折原優美、人生の物語、同窓会の章・完!」
そう口にすると、ちょっと気持ちが楽になった。
何でも、区切りをつけたほうが気持ちが楽になる場合がある。
私の言葉を聞いて、四人が笑った。
「今度どこかで夜景を見たら、その時はマジ話しないで、きちんとイチャイチャしような」
慎也が私の肩を組んでくる。
「何なら三大夜景制覇する?」
正樹が反対側から肩を組んでくる。
「夜景はどうでもいいんだけど、あんた達さっきから私が目の前にいるっていうのに、セックスセックスやめてよね」
文香が嫌がると、二人が爆笑する。
つられて笑った私の心は、もう「いいや」って開き直っていた。
同級生には、今後いつ会うか分からない。
それに比べて、この四人はこれから毎日ずっと付き合っていく。
どっちを大事にするべきか、考えなくても分かる。
「皆、私が幸せにするからね!」
落ち込んでいたくせに、急にそんな事を言ったからか、四人がキョトンとする。
「……っ、うん……っ」
涙が、止まってくれない。
「優美、私の事も信じてくれていいんだからね。あんたがどんな姿を見せても、私は優美の人間性を知っているし、信じている。誰にどんな扱いを受けても、私のあんたへの想いは変わらない。優美はそれだけ私に誠実に接してくれた。あんたの今までが、〝今〟の信頼を作ってるんだよ。それを忘れないで」
文香が私の前にしゃがみ、両手を握ってくる。
「ん……っ」
――ありがたい、なぁ。
四人が、ここにいてくれる事に心の底から感謝する。
「無礼な態度を取る人は、大切に扱わなくていい。彼らに心を割いて悩むだけ、優美ちゃんの時間も心も無駄になる。それなら僕たちの事を考えてよ」
微笑んだ正樹の言葉に、思わず笑みが零れた。
「ふふ……っ、そう、――だね」
笑った私の頬に、正樹がキスをする。
「人生は長いように思えて短いよ。いつ病気をするか分からないし、事故に遭うか分からない。嫌な奴の事を考えて悩むより、好きな人の事を考えて過ごそう。あいつらの事なんて考えられなくなるぐらい、僕たちが愛してあげる。毎日愛を囁いてたっぷりセックスして、美味しい物を食べて、綺麗な景色を見て、いい音楽を聴いて、幸せな家庭を築く。ホラ、忙しくなりそうでしょ?」
歌うような正樹の言葉に、私は笑って頷いた。
正樹の調子に合わせて、慎也も冗談めかして言う。
「俺たちみたいな完璧な婚約者がいるのに、よその男の事で悩むなよ。悩むなら俺たちの事で悩んで。飯の味付けが濃いとか、セックスがしつこいとか、悩む事は沢山あるだろ?」
「ん……っ、はは! 確かに! ご飯は美味しいけどね」
笑顔を見せた私を見て、文香が安心したように溜め息をつく。
「ここにいる四人を、生涯信じていいからね」
「うん」
私は微笑んで、文香の手を握る。
「優美は自分の力で、この四人との関係を掴み取った。オリエンテーションの時、優美が話しかけてくれたから、私はあんたと友達になれたし、付き合っていくうちにどんどん好きになった。二人との関係だってそうでしょう? 誰かにお膳立てされたものじゃなくて、自分の魅力で掴んだ関係だよ」
「そう……、だね」
肯定すると、文香はポンポンと私の手を叩く。
「努力して自分で得たものは裏切らないっていうのが、私の持論。勉強とか資格、技術もそうだし、人間関係だって時間を費やしてじっくり育てた関係は、余程の事がなきゃ長持ちするもんだと思ってる」
「うん、分かる」
「お金も時間も気持ちもかけたなら、失うのを『勿体ない』って思うから丁寧に大切に扱う。お金掛けてプレゼントし合う相手を、『いつ切れてもいい、どうでもいい存在』って思わないでしょ? 調子が悪くてきちんと相手ができなくてそっけなくなっちゃう時は、誰にでもある。けどそういう時、信頼のある人は分かってくれる」
「ん」
「私は優美と大学四年間一緒に過ごして、社会人になってからもずっと一緒にいる。その間に優美の思考パターンも価値観も、見せてくれたものは理解した。『この子なら、一生親友でいられる』って、自分が選んだ友達を信じられている。他の三人も多分同じでしょ。だから、私たちについては不安にならなくていいからね」
「ありがとう」
私は両手で文香の手を握り、額につけて祈るようなポーズを取った。
「はぁ……」
溜め息をつき、遠くで瞬いている光を見る。
そして深呼吸をしたあと、大きな声で言った。
「折原優美、人生の物語、同窓会の章・完!」
そう口にすると、ちょっと気持ちが楽になった。
何でも、区切りをつけたほうが気持ちが楽になる場合がある。
私の言葉を聞いて、四人が笑った。
「今度どこかで夜景を見たら、その時はマジ話しないで、きちんとイチャイチャしような」
慎也が私の肩を組んでくる。
「何なら三大夜景制覇する?」
正樹が反対側から肩を組んでくる。
「夜景はどうでもいいんだけど、あんた達さっきから私が目の前にいるっていうのに、セックスセックスやめてよね」
文香が嫌がると、二人が爆笑する。
つられて笑った私の心は、もう「いいや」って開き直っていた。
同級生には、今後いつ会うか分からない。
それに比べて、この四人はこれから毎日ずっと付き合っていく。
どっちを大事にするべきか、考えなくても分かる。
「皆、私が幸せにするからね!」
落ち込んでいたくせに、急にそんな事を言ったからか、四人がキョトンとする。
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