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シャーロット来日 編
幸せだなぁ
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市販のジュースほど甘くなく、スッキリとした味わいながら生姜とレモンの味を楽しめるので、健康的な飲み物に思えるマジックがある。
三人してフライブリッジに座り、まだほの暗い海の彼方を見る。
ほの暗いけど、夜明けが近づいているので空は青い。
私はジンジャーエールを飲み、ぼんやりと海と空を眺める。
真夏でも海の上なので、風も吹いているしちょっと寒い。
なので長居はできないけれど、夜明けを迎えるまでは……と思っていた。
「この雰囲気でまじめな事言っていい?」
そう言うと、二人がフハッと笑った。
「どうぞ」
慎也にポンと太腿を叩かれ、私はその手を握り返す。
「幸せだなぁ、ってとても思うの。憧れていた王子様二人に愛されて、その周りの人にも歓迎されてる。全部、二人のお陰だよ」
自然を前にすると、どうして人は己を顧みるんだろうか。
分からないけれど、私は心にこみ上げた言葉をそのまま口にした。
「それってさ、全部優美ちゃんが頑張ったからでしょ。自分の行いが全部自分に返ってきてるんだよ。僕たちにお礼を言うのは違くない?」
「そうだよなー。優美は人を大切にして、自分の理想を胸に掲げてまっすぐ生きてきた。その生き方が今、幸せとなって返ってきてるんだと思う。いい事も悪い事も、全部因果応報だと俺は思ってる」
「ん……、ありがとう」
二人はこうやって褒めてくれるので、嬉しい。褒めてほしくて言った訳じゃないけど。
自分でも、ある程度まじめにやってきたから神様がご褒美をくれた、みたいには思えている。
ただ、どんなにツイてる人でも、人生オールハッピーじゃないから、きっとこれから先、何かしらつらい事はあるのかな、と思っている。
それでも、二人が側にいてくれるなら、きっと乗り越えられるだろう。
だから、二人が側にいてくれる事に感謝し、私は両脇に座っている彼らの頬に、順番にキスをした。
「おっ?」
「おー……」
二人は私を見て、笑顔になる。
「このまま盛り上がって、船の上でアオカンしちゃう? 空と海に抱かれて!」
「アホか!」
突っ込んだ私の声が響く頭上で、東の空がゆっくり紫に染まり、オレンジ、赤と色を変えていく。
梅干しみたいに真っ赤な太陽が姿を現し、色を薄くしていくまで、私たちは船上でのんびりと過ごした。
**
港に戻ったあとは、クルーザーの後片付けとかを係の人に任せるんだそうだ。
夜の内に一度港に戻った時、三人だけになれるように雇った人たちにも解散してもらったらしい。
そのあと、午前十時になったらまた人が来て、掃除やら片付けをしてくれる予定と聞いた。
マンションに戻った私は酔いと慣れない浴衣での疲れもあり、二人も巻き添えにして二度寝をした。
正樹と慎也は役員で、普通の社員のように労働基準法などは適用されないようになっている。
なので、有給休暇とかもない。
休みは好きに取っていい代わり、必要とあらば二十四時間いつでも対応しなければいけない。
なのでその日、二人は秘書から連絡がない限りは休日モードのようだった。
起きた後は文香とシャーロットさんに連絡を入れ、寝てしまった事をお詫びした。
二人が言っていたように誰にも怒られず、逆に「楽しい時間を用意してくれてありがとう」と言ってもらえた。
文香とシャーロットさんにも繋がりができて、文香は「仲良くなれそう」とちょっと照れ気味に伝えてくれた。
**
有休の兼ね合いもあり、九月の二週目末にはほぼ退職扱いとなり、送別会を開いてもらう事になった。
送別会では佐藤さんたちに「え~? 何で辞めちゃうんですかぁ~?」と言われたが、〝一身上の都合〟を貫き通した。
「教えてくださいよぉ。退勤後に指輪つけてるのも分かってるんだしー」
おかしいぞ。
課長と最後の飲み比べをしていたはずなのに、今は佐藤さんたちに脇を固められている。
あなた達、私の事嫌いなんじゃなかったの?
もう、佐藤さんの目は生き生きしていて、「こんな面白いネタ絶対に逃すもんか」って顔をしている。
三人してフライブリッジに座り、まだほの暗い海の彼方を見る。
ほの暗いけど、夜明けが近づいているので空は青い。
私はジンジャーエールを飲み、ぼんやりと海と空を眺める。
真夏でも海の上なので、風も吹いているしちょっと寒い。
なので長居はできないけれど、夜明けを迎えるまでは……と思っていた。
「この雰囲気でまじめな事言っていい?」
そう言うと、二人がフハッと笑った。
「どうぞ」
慎也にポンと太腿を叩かれ、私はその手を握り返す。
「幸せだなぁ、ってとても思うの。憧れていた王子様二人に愛されて、その周りの人にも歓迎されてる。全部、二人のお陰だよ」
自然を前にすると、どうして人は己を顧みるんだろうか。
分からないけれど、私は心にこみ上げた言葉をそのまま口にした。
「それってさ、全部優美ちゃんが頑張ったからでしょ。自分の行いが全部自分に返ってきてるんだよ。僕たちにお礼を言うのは違くない?」
「そうだよなー。優美は人を大切にして、自分の理想を胸に掲げてまっすぐ生きてきた。その生き方が今、幸せとなって返ってきてるんだと思う。いい事も悪い事も、全部因果応報だと俺は思ってる」
「ん……、ありがとう」
二人はこうやって褒めてくれるので、嬉しい。褒めてほしくて言った訳じゃないけど。
自分でも、ある程度まじめにやってきたから神様がご褒美をくれた、みたいには思えている。
ただ、どんなにツイてる人でも、人生オールハッピーじゃないから、きっとこれから先、何かしらつらい事はあるのかな、と思っている。
それでも、二人が側にいてくれるなら、きっと乗り越えられるだろう。
だから、二人が側にいてくれる事に感謝し、私は両脇に座っている彼らの頬に、順番にキスをした。
「おっ?」
「おー……」
二人は私を見て、笑顔になる。
「このまま盛り上がって、船の上でアオカンしちゃう? 空と海に抱かれて!」
「アホか!」
突っ込んだ私の声が響く頭上で、東の空がゆっくり紫に染まり、オレンジ、赤と色を変えていく。
梅干しみたいに真っ赤な太陽が姿を現し、色を薄くしていくまで、私たちは船上でのんびりと過ごした。
**
港に戻ったあとは、クルーザーの後片付けとかを係の人に任せるんだそうだ。
夜の内に一度港に戻った時、三人だけになれるように雇った人たちにも解散してもらったらしい。
そのあと、午前十時になったらまた人が来て、掃除やら片付けをしてくれる予定と聞いた。
マンションに戻った私は酔いと慣れない浴衣での疲れもあり、二人も巻き添えにして二度寝をした。
正樹と慎也は役員で、普通の社員のように労働基準法などは適用されないようになっている。
なので、有給休暇とかもない。
休みは好きに取っていい代わり、必要とあらば二十四時間いつでも対応しなければいけない。
なのでその日、二人は秘書から連絡がない限りは休日モードのようだった。
起きた後は文香とシャーロットさんに連絡を入れ、寝てしまった事をお詫びした。
二人が言っていたように誰にも怒られず、逆に「楽しい時間を用意してくれてありがとう」と言ってもらえた。
文香とシャーロットさんにも繋がりができて、文香は「仲良くなれそう」とちょっと照れ気味に伝えてくれた。
**
有休の兼ね合いもあり、九月の二週目末にはほぼ退職扱いとなり、送別会を開いてもらう事になった。
送別会では佐藤さんたちに「え~? 何で辞めちゃうんですかぁ~?」と言われたが、〝一身上の都合〟を貫き通した。
「教えてくださいよぉ。退勤後に指輪つけてるのも分かってるんだしー」
おかしいぞ。
課長と最後の飲み比べをしていたはずなのに、今は佐藤さんたちに脇を固められている。
あなた達、私の事嫌いなんじゃなかったの?
もう、佐藤さんの目は生き生きしていて、「こんな面白いネタ絶対に逃すもんか」って顔をしている。
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