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シャーロット来日 編

同窓会の誘い

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「お久しぶりでーす!」

 私たちはハグをして、彼女のバッチリメイクが崩れないように、触れないチークキスをする。

「凄く素敵ですね!?」

「ありがとう!」

「あと、言葉が!」

「うふふ、先日は隠していたの。家族は日本語をあまり話せないから、私だけがペラペラと意思疎通していると不公平じゃない? 日本のイベントに来るなら、やっぱり土地の言葉を話さないとね! アニメやコミック、ゲームで沢山勉強したわ」

「凄い……! あっ、シャーロットさん、こっちは文香。私の親友です」

 彼女を紹介すると「素敵だわぁ!」と彼女は文香にも挨拶をした。

「二人とも本当にコスプレ映えしそうね……」

 彼女は私と文香を頭のてっぺんからつま先まで、スキャンするように見る。
 あぁ、あの時の視線だ。

「優美~、この人ほんまもんだわ……」

 文香が苦笑いする。

「それはそうと、本当にクルージングに招待してもらえるの? 正樹は友達もいいって言っていたけど」

 彼女が話題を変え、私は「はい!」と頷く。
 フェス後、彼女たちの打ち上げも終わったあと、休憩日を挟み、文香や和人くんも呼んで皆でクルージングをする予定だ。

「遠慮なくどうぞ! 二人とも張り切ってBBQの用意をしてます」

「それは楽しみだわ!」

 そのあと、私たちはシャーロットさんたちと記念撮影をした。

 ビジュアルが本格的なので、何だか本物のお姫様や戦士といるような気持ちになり、ドキドキする。

 一度お別れをしたあと、興味本位で同人誌が置いてある建物をチラッと覗いたけれど、熱気が凄くて入るのはやめておいた。

 夕方まで文香とカフェでお茶をしていると、テーブルの上に置いてあったスマホが鳴る。

「ちょっとごめんね」

 二人や家族だったら困ると思い、文香に断りを入れてスマホを開く。

「ん……?」

 メッセージを送ってきた相手を見て、私は目を瞬かせる。

「どったの?」

「いや、地元の友達。来月同窓会だってさ」

「ふーん。いいじゃん。楽しんできな」

「うん」

 私は地元、埼玉の友達の顔を思い浮かべ、思わずにやける。

「来月ならギリ結婚前か。ドバーンと結婚報告して羨望を集めてきたら?」

「あはは、羨望って」

 結婚式は十月下旬の大安吉日で、私は会社を九月末で辞める予定だ。
 先日のイギリス旅行で有給を一週間ぐらい使ってしまったのを考えても、九月はほぼフリーになる予定になっている。
 なので、来月の同窓会は仕事を休んで……とか考えなくても、楽勝で行ける。
 何なら実家に十日ぐらい泊まって、二週連続友達と遊ぶっていうのもアリだ。

「高校生までの友達って、いい人ばっかりだったんだっけ?」

「そう! 私には勿体ないぐらい、いい子ばっかりだった」

 友達の話題になり、思わずにっこりする。
 優しくて大らかな子が多くて、私が卑屈になりすぎた時は、ちょっとピシッと言ってくれるところもあり、本当に恩のある友達だ。

「ちょっと妬けるけど、たまにの里帰りならしっかり楽しんできな。で、また私をしっかり構って」

「あっはは! その遠慮しないところ好きだよ」

「だって今、優美の一番側にいるのは私だもーん。大人げねぇーって分かってるけど、私、そもそも友達少ないし」

 開き直っているところが、実に文香らしい。
 そう思っていると、文香はハッとする。

「わ、分かってるよ! 投資もそうだけど、リスク分散。優美一人にだけ負担は掛けないから。私の重すぎる愛を受け止められる存在を、他にも作らないとって……」

 ちゃんと自覚しているところも愛らしい。

「あはは! でも、ぶっちゃけ文香って、色んな事を何の気兼ねなしに言える相手って、私と和人くんぐらいしかいないんじゃない?」

「んー、そうなんだよね……」

 彼女の高校生までの交友関係とかは、今まで沢山聞いた。

 今でも交流のある友達はいるらしいけれど、気を遣わないといけないお嬢様とかが多いらしい。
 普段の彼女は「嫌われてもやっていけるから大丈夫」という前提で、人に接している。

 けれどお家柄、どうしても怒らせたらいけない相手っていうのは、面倒な事にある程度いるみたいだ。
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