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五十嵐と再会 編

文香と飲み、そして

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「いやー、まさかの完全復活!」

「ホント、元気だよ優美は」

 羽田に着いたのはお昼過ぎで、日本食に飢えた私たちは、すぐお蕎麦屋さんに駆け込んだ。
 私は豪勢にもお蕎麦といくら丼のセットを頼んだ。

 満たされたあと、回されてきた車に乗り込んだ私たちは、一路元麻布のマンションに向かう。

 熱は、飛行機の中で美味しいフルコースを食べて、ぐっすり寝たらいつの間にか下がっていた。
 今は普通の疲労はあるけど、めちゃくちゃ元気だ。

 適当に外の写真を撮ってシャーロットさんに送り、『日本に着きましたよ!』とメッセージを送っておく。

「今日はさすがにデリバリー頼もうか」

「だな」

 何を食べるかを話し合いながら、私たちは車に揺られて高速道路を進んで行った。





 マンションに着いたのは夕方頃で、広々としたペントハウスがこんなにも懐かしく思えるのは初めてだ。

「ただいまー」

 誰にともなく言って、荷物を整理して洗濯機を回す。

 旅行が終わったら、日常が待っている。
 今日は金曜日で、月曜日からまた会社だ。

 私たちはデリバリーの会席弁当を食べ、懐かしい日本のバラエティ番組を見てから、早めに就寝した。



**



 土曜日は遅く起きてゆっくり過ごし、日曜日は文香に会ってお土産を渡した。

「まだ疲れてるでしょ」と気遣ってくれ、カフェで少し話して終わりにした。
 アボット家の話をすると、文香がツッコミモードだったのは言うまでもない。

 ちなみに夏にシャーロットさんが遊びに来たら、女子会をしようという話にも、快く頷いてくれた。



**



 月曜日には出社して、何食わぬ顔で「お土産です。皆さんでお召し上がりください」と正樹が買ってくれたお菓子を共用スペースに置いておく。

「折原さんどこ行ってたの?」

「これ、ショートブレッドとファッジでしょ? イギリス?」

 早速佐藤さんたちに声を掛けられ、私は鉄壁のスマイルを浮かべながら相槌を打つ。
 こうして質問された時は「親友と行きました」と返事をすると、皆に確認してある。

 けれどそれで佐藤さんたちの嫉妬が収まる訳ではない。

 何回も「いいねぇ~」と言われたあと、仕事が始まった。
 でも社内メールであれこれ書かれ、昼休憩には折原生意気談義が始まるんだろう。

 慣れてます。





 九月末で私は退職する。

 相変わらず戦力としてガンガン働き、引き継ぎ資料も作っていく。

 あっという間に一週間が過ぎようとしていたけれど、金曜日に思いもしない再会があった。



**



 久々の花金なので、私は文香と飲む約束をしていた。

 向かったのは新宿にある創作居酒屋で、文香が選んだだけあってオシャレだ。
 ド定番のお刺身盛り合わせも盛り方が綺麗で、肉に海鮮にお酒、お酒、と私はいい感じに酔っ払っていく。

 帰国して体重計に乗ったら二キロ増えていたので、真っ青になって翌日夕方から長めのランニングを始めている。
 勿論、普段通っているジムでも追い込んで、帰宅してからもマンションのジムでさらに筋トレをしている。

 それでも、久しぶりに親友と飲めるとなると、スポーンと理性が飛んで美味しく飲み食いしてしまった。
 こないだのカフェは、お土産を渡す程度で話したりなかったし。

 そんな訳で、仕事が終わったあとに現地集合し、ラストオーダーまで文香としゃべり倒した。

 もう、さんっざん笑って喉が痛くなるほどで、大満足だ。





 そのあと、文香が懇意にしているゲイバーのママさんに会いに行こうという事になり、二丁目のほうへ行ったんだけれど……。

「……ん?」
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