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イギリス 編
尊い! けしからん!
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『シャーロット、貸しだからな』
慎也が溜め息をついて言い、スマホで遠慮なく私を撮影する。
『シャーロット、今後優美ちゃんに着せるいい衣装を見つけたら、僕にメッセちょうだいね』
そこ! やる気を見せない!
「OK!」
彼女もすんごい生き生きしていて、水を得た魚のようだ。
初対面の時は薄い色のワンピースを着て、とても儚げ、それでいてお上品で、庶民的なものなんて知らない……っていうイメージだったけど、彼女は現代を生きるお嬢様だった。
そして二人は注文をつける。
『一緒に撮影するのいいけど、その前に優美ちゃんのピンショットがほしい。写真代は弾むから』
『できるだけ、ポーズのバリエーションをつけてほしい』
っああぁああ! もう!
金持ちの遊戯は際限がないな!
『優美さん、ポーズとってくれる? どんどんシャッター切っていくから!』
あっという間に三脚にカメラを組み立てた彼女は、ノリノリで指示してくる。
『えぇっと!? ポーズ!?』
戸惑う私の前で、正樹がくねっと女性らしいポーズをとった。
『僕の真似して』
『えええ? 分かった』
〝いつもの事〟か分からないけど、いつの間にか現れた(本物の)執事さんが、絶妙な位置にライトをセットし、反射角を計算してレフ板を手にしていた。
もう、ほんまもんの撮影隊じゃないッスか……。
混乱しながらも、私は正樹の真似をして、雑誌のモデルさんがするようなポーズを取る。
バシャッ、とフラッシュが焚かれ、思わず目を閉じた。
『優美さん、瞬き我慢して!』
『はいっ!』
ひいい! 急にスパルタになった!
一方で正樹は次のポーズをとるので、慌てて彼の真似をする。
そんな感じで、微妙な角度変えも含め、何十種類もポーズをとったあと、シャーロットさんが「OK!」とようやく言ってくれた。
私はヘトヘトになり、途中で小道具として出てきたアンティークチェアに座り込む。
「優美、はい、水」
「あ、ありがと……」
慎也は撮影の途中で水を用意してくれたらしく、キャップをひねって渡してくれる。
コクコク飲んだあと、私は正樹に尋ねた。
「なんであんな事ができるの?」
「え? 僕自身、経済誌とかでインタビュー受けてるし、撮影は経験済みだよ」
「だって男性枠でしょ?」
「同じスタジオで、モデルさんが次の仕事の前入りしてる事があるんだ。僕の撮影が終わったあと、勉強がてら彼女たちの仕事を見させてもらった事がある。色んなポーズを次々にとって、服を〝見せる〟技術って凄いなーって思ってたんだよね」
「はぁあ……」
そのモデルたちは正樹狙いだったんだろうなぁ……、というのは置いておいて。
今は彼の経験に助けられた。
少し休憩したあと、シャーロットさんが私のメイクを直して、第二部、メイド逆ハー撮影が始まった。
『そうそう! 二人とも、もっと顔を近づけて! はぁああ! 尊い!』
あああああああ!!
私は執事姿の正樹とクリスさんに顔を近づけられ、愛の言葉を囁かれているような、キスをせがまれているような状態で、顔を引きつらせている。
正樹は慣れているとしても(それでもコスプレの破壊力が凄い)、クリスさんと距離が近いと意識してしまうんですが!?
しかも男性二人から迫られるって……、あ、いや、普段のあれこれは置いておいて……。
『優美さん! いい表情だわ! ナチュラルな照れが出てる!』
いや、もう、あの、演技というより素ですこれ……。
『正樹、キスしちゃって!』
『了解~♪』
シャーロットさんの指示を受け、正樹は手で私の顎をつまむと、色っぽい眼差しで見つめてからゆっくりキスをしてきた。
しかも、舌つきのやつ!
勿論その間も、シャーロットさんはハァハァ言いながら、バシャバシャとシャッターを切っている。
こ、公開処刑……。
そのあとも、今度は貴族組に迫られ、最後は四人の男に迫られる。
もはやメイドなのに、女王様と愛の奴隷みたいな状態だ。
『きゃああああ! 慎也、いいわ! その手、けしからん!』
あの、お嬢様……。
シャーロットさんは、私のスカートを捲り上げて太腿にキスをしている慎也を大絶賛する。
慎也が溜め息をついて言い、スマホで遠慮なく私を撮影する。
『シャーロット、今後優美ちゃんに着せるいい衣装を見つけたら、僕にメッセちょうだいね』
そこ! やる気を見せない!
「OK!」
彼女もすんごい生き生きしていて、水を得た魚のようだ。
初対面の時は薄い色のワンピースを着て、とても儚げ、それでいてお上品で、庶民的なものなんて知らない……っていうイメージだったけど、彼女は現代を生きるお嬢様だった。
そして二人は注文をつける。
『一緒に撮影するのいいけど、その前に優美ちゃんのピンショットがほしい。写真代は弾むから』
『できるだけ、ポーズのバリエーションをつけてほしい』
っああぁああ! もう!
金持ちの遊戯は際限がないな!
『優美さん、ポーズとってくれる? どんどんシャッター切っていくから!』
あっという間に三脚にカメラを組み立てた彼女は、ノリノリで指示してくる。
『えぇっと!? ポーズ!?』
戸惑う私の前で、正樹がくねっと女性らしいポーズをとった。
『僕の真似して』
『えええ? 分かった』
〝いつもの事〟か分からないけど、いつの間にか現れた(本物の)執事さんが、絶妙な位置にライトをセットし、反射角を計算してレフ板を手にしていた。
もう、ほんまもんの撮影隊じゃないッスか……。
混乱しながらも、私は正樹の真似をして、雑誌のモデルさんがするようなポーズを取る。
バシャッ、とフラッシュが焚かれ、思わず目を閉じた。
『優美さん、瞬き我慢して!』
『はいっ!』
ひいい! 急にスパルタになった!
一方で正樹は次のポーズをとるので、慌てて彼の真似をする。
そんな感じで、微妙な角度変えも含め、何十種類もポーズをとったあと、シャーロットさんが「OK!」とようやく言ってくれた。
私はヘトヘトになり、途中で小道具として出てきたアンティークチェアに座り込む。
「優美、はい、水」
「あ、ありがと……」
慎也は撮影の途中で水を用意してくれたらしく、キャップをひねって渡してくれる。
コクコク飲んだあと、私は正樹に尋ねた。
「なんであんな事ができるの?」
「え? 僕自身、経済誌とかでインタビュー受けてるし、撮影は経験済みだよ」
「だって男性枠でしょ?」
「同じスタジオで、モデルさんが次の仕事の前入りしてる事があるんだ。僕の撮影が終わったあと、勉強がてら彼女たちの仕事を見させてもらった事がある。色んなポーズを次々にとって、服を〝見せる〟技術って凄いなーって思ってたんだよね」
「はぁあ……」
そのモデルたちは正樹狙いだったんだろうなぁ……、というのは置いておいて。
今は彼の経験に助けられた。
少し休憩したあと、シャーロットさんが私のメイクを直して、第二部、メイド逆ハー撮影が始まった。
『そうそう! 二人とも、もっと顔を近づけて! はぁああ! 尊い!』
あああああああ!!
私は執事姿の正樹とクリスさんに顔を近づけられ、愛の言葉を囁かれているような、キスをせがまれているような状態で、顔を引きつらせている。
正樹は慣れているとしても(それでもコスプレの破壊力が凄い)、クリスさんと距離が近いと意識してしまうんですが!?
しかも男性二人から迫られるって……、あ、いや、普段のあれこれは置いておいて……。
『優美さん! いい表情だわ! ナチュラルな照れが出てる!』
いや、もう、あの、演技というより素ですこれ……。
『正樹、キスしちゃって!』
『了解~♪』
シャーロットさんの指示を受け、正樹は手で私の顎をつまむと、色っぽい眼差しで見つめてからゆっくりキスをしてきた。
しかも、舌つきのやつ!
勿論その間も、シャーロットさんはハァハァ言いながら、バシャバシャとシャッターを切っている。
こ、公開処刑……。
そのあとも、今度は貴族組に迫られ、最後は四人の男に迫られる。
もはやメイドなのに、女王様と愛の奴隷みたいな状態だ。
『きゃああああ! 慎也、いいわ! その手、けしからん!』
あの、お嬢様……。
シャーロットさんは、私のスカートを捲り上げて太腿にキスをしている慎也を大絶賛する。
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