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イギリス 編
シャーロットの招待
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少し暗い気持ちになり、私はシャーロットさんに話しかけようとして、うっ、と言葉を詰まらせる。
彼女はまた、私を凝視していた。
値踏みするような、つま先から頭のてっぺんまでスキャンするような目で、ジーッと私を見ている。
うわぁ……。
ライバル的な敵意というより、私を観察していると言っていい。
何なんだろ。
『えーと、二人は役に立ちましたか?』
一拍おいて話しかけると、シャーロットさんはにっこりと満面の笑みを浮かべた。
『ええ、お陰で素晴らしい時間を過ごせたわ』
ニコニコ笑いながら私の手を握ってブンブン振ってくるので、ますます訳が分からない。
『ボウネスは楽しんだか?』
その時、ビルさんが声を掛けてきた。
『楽しかったです!』
私がブンブン手を振って返事をすると、ビルさんは機嫌良さそうに笑う。
本当はあのうさぎ館も二人と行きたかったけど、まぁ、しゃーない。
そのあと、私たちはまたクルーザーに乗ってレイクサイドまで戻り、そこから運転手さんが運転する車に乗ってアボットさんのお城まで帰った。
**
『お疲れ』
夕食まで休憩となり、私たちは部屋に戻る事にした。
このお屋敷の滞在は明日までだ。
明日にはまたロンドンに戻って、最後に散策、買い物をして、明後日の便に乗って帰国だ。
(疲れた……)
あふ……、とあくびを噛み殺し、私は階段に向かう。
――と、その手をシャーロットさんにグイッと引っ張られた。
「おっとぉ!?」
驚いて振り向くと、目を細めて笑っている彼女がいる。
そして、私の耳元に口を寄せ囁いてきた。
『夕食のあと、私の部屋に来てくれませんか?』
そう言って見つめるシャーロットさんは、ただならぬ雰囲気を発している。
あー、……選択肢のないやつか。
『分かりました』
「優美ちゃん?」
踊り場まで上がった正樹が、振り向いて声を掛けてくる。
「あっ、はいはい!」
彼に返事をした時、シャーロットさんがポンと私の肩を叩いた。
『じゃあ、またあとで』
私は彼女に会釈して、急いで階段を駆け上がる。
正樹は玄関ホールにいる彼女を見下ろし、咎めるような声を掛けた。
『シャーロット』
『あなただって分かっているはずよ』
美しく微笑した彼女は、そのあとリビングへ歩いて行った。
**
「はぁ……」
私は部屋のベッドにダイブし、大きな溜め息をつく。
何か……疲れた。
目を閉じていると、ノックの音がしたあと「入るぞ」と慎也の声がした。
「優美ちゃん、お疲れ」
正樹の声もして、ベッドがたわむ。
モソモソと寝返りを打って仰向けになると、慎也と正樹が順番にキスをしてきた。
「エディとクリスと、何を話してた? 大丈夫だったか?」
慎也が私の頭を撫で、尋ねてくる。
「うん、大丈夫。ずっと良くない感情を持たれてたけど、彼自身の問題、トラウマからだった。そこんとこ、ちょっと背中を押して活を入れたら、なんとか前向きになってくれたみたい」
問題は解決したと伝えると、二人は息をつく。
「流石だねって言いたいけど、僕らがもっと前に出れば良かったね。一人でつらい思いをさせてごめん」
「ううん。だって正樹は主賓でしょ? もてなしてくれたビルさんと話さなきゃいけないし、仕方ないよ。それに言う程つらくもなかったし」
「本当か? さっき、ボウネスで気にしてなかったか?」
慎也がサラリと私の髪を撫で、キスをしてから尋ねてくる。
(そう言うなら、一人私と一緒にいてくれれば良かったのに)
ついつい、心の中で面倒くさい私がふてくされ、呟く。
けれど彼らがシャーロットさんに〝招待〟された以上、そちらを優先しないといけないのは分かっている。
彼女はまた、私を凝視していた。
値踏みするような、つま先から頭のてっぺんまでスキャンするような目で、ジーッと私を見ている。
うわぁ……。
ライバル的な敵意というより、私を観察していると言っていい。
何なんだろ。
『えーと、二人は役に立ちましたか?』
一拍おいて話しかけると、シャーロットさんはにっこりと満面の笑みを浮かべた。
『ええ、お陰で素晴らしい時間を過ごせたわ』
ニコニコ笑いながら私の手を握ってブンブン振ってくるので、ますます訳が分からない。
『ボウネスは楽しんだか?』
その時、ビルさんが声を掛けてきた。
『楽しかったです!』
私がブンブン手を振って返事をすると、ビルさんは機嫌良さそうに笑う。
本当はあのうさぎ館も二人と行きたかったけど、まぁ、しゃーない。
そのあと、私たちはまたクルーザーに乗ってレイクサイドまで戻り、そこから運転手さんが運転する車に乗ってアボットさんのお城まで帰った。
**
『お疲れ』
夕食まで休憩となり、私たちは部屋に戻る事にした。
このお屋敷の滞在は明日までだ。
明日にはまたロンドンに戻って、最後に散策、買い物をして、明後日の便に乗って帰国だ。
(疲れた……)
あふ……、とあくびを噛み殺し、私は階段に向かう。
――と、その手をシャーロットさんにグイッと引っ張られた。
「おっとぉ!?」
驚いて振り向くと、目を細めて笑っている彼女がいる。
そして、私の耳元に口を寄せ囁いてきた。
『夕食のあと、私の部屋に来てくれませんか?』
そう言って見つめるシャーロットさんは、ただならぬ雰囲気を発している。
あー、……選択肢のないやつか。
『分かりました』
「優美ちゃん?」
踊り場まで上がった正樹が、振り向いて声を掛けてくる。
「あっ、はいはい!」
彼に返事をした時、シャーロットさんがポンと私の肩を叩いた。
『じゃあ、またあとで』
私は彼女に会釈して、急いで階段を駆け上がる。
正樹は玄関ホールにいる彼女を見下ろし、咎めるような声を掛けた。
『シャーロット』
『あなただって分かっているはずよ』
美しく微笑した彼女は、そのあとリビングへ歩いて行った。
**
「はぁ……」
私は部屋のベッドにダイブし、大きな溜め息をつく。
何か……疲れた。
目を閉じていると、ノックの音がしたあと「入るぞ」と慎也の声がした。
「優美ちゃん、お疲れ」
正樹の声もして、ベッドがたわむ。
モソモソと寝返りを打って仰向けになると、慎也と正樹が順番にキスをしてきた。
「エディとクリスと、何を話してた? 大丈夫だったか?」
慎也が私の頭を撫で、尋ねてくる。
「うん、大丈夫。ずっと良くない感情を持たれてたけど、彼自身の問題、トラウマからだった。そこんとこ、ちょっと背中を押して活を入れたら、なんとか前向きになってくれたみたい」
問題は解決したと伝えると、二人は息をつく。
「流石だねって言いたいけど、僕らがもっと前に出れば良かったね。一人でつらい思いをさせてごめん」
「ううん。だって正樹は主賓でしょ? もてなしてくれたビルさんと話さなきゃいけないし、仕方ないよ。それに言う程つらくもなかったし」
「本当か? さっき、ボウネスで気にしてなかったか?」
慎也がサラリと私の髪を撫で、キスをしてから尋ねてくる。
(そう言うなら、一人私と一緒にいてくれれば良かったのに)
ついつい、心の中で面倒くさい私がふてくされ、呟く。
けれど彼らがシャーロットさんに〝招待〟された以上、そちらを優先しないといけないのは分かっている。
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