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イギリス 編
優美ってそういうのOKな訳?
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『そう。そういう事』
『優美って、そういうの……OKな訳?』
エディさんの質問に、私はできるだけにこやかに『そうですね……』と返事をしておく。
そのあと、彼は私を凝視してくる。
そりゃあ……、「こいつ複数プレイOKな女な訳?」って思われるよね……。
居たたまれない気持ちでいると、慎也がわざとらしい咳払いをした。
『俺たちの事情は置いておいて。こういう理由で、正樹はビルに女性の紹介は不要と言っています』
その「気遣ってくださいね」という雰囲気を汲み、アボットさん一家は笑顔を取り戻した。
『そうだな。あれだけ落ち込んでいた正樹が、また生きる力を取り戻したのを一番と思わなければ』
なるほど、利佳さんに人格否定されての落ち込み期を知っているのか。
そこまでの付き合いをしたなら、恩人だろう。
二人の大事な人は、私も大切にしたい。
緊張してこの食事会に挑んだけれど、今は心の底からこの人達に誠実にむきあおうと思えていた。
最初から失礼のないようにと思っていたけれど、気構えが変わったというか。
そのあともコース料理が運ばれ、主に正樹とビルさんをメインに会話が進んでいった。
基本的には仕事の話題が多く、他は慎也がエディさんと弟のクリスさんと話していた。
私にも話を振られたけれど、今回の主賓は二人だから出しゃばらないようにしておく。
やがて紅茶を飲み終え、そろそろレストランを辞すという頃になって、ビルさんが尋ねてきた。
『いつまで滞在しているつもりだ?』
『仕事はもう終わったから、あと一週間ぐらいはのんびりするつもりだよ。もう少し北上して、主立った観光地を優美ちゃんに見せてあげたい』
正樹がそう答えると、ビルさんが提案してきた。
『もし良かったら、湖水地方にある別荘に滞在しないか? 私も日本から来た友人ともっと話したいし、優美さんとも親睦を深めたい。正樹と慎也はとてもいい男だが、二人を射止めた彼女はどれだけ魅力的なのか興味があってね』
『あはっ、ありがとう! ビル。慎也と優美はどう?』
正樹がお礼を言い、私たちに意思を尋ねてくる。
『俺は構わないけど……。優美はどう?』
『私も、そちらさえ良ければ喜んで伺いたいです』
『じゃあ、決まりだ。こちらも用意をしておこう』
ビルさんは何日に別荘に来るか正樹と話し合い、それでその日の食事会は終わった。
**
「ちゅかれた……」
私はワンピース姿のまま、ボフッとベッドに沈む。
「お疲れ様ー!」
「ぐえっ!」
正樹が私の上に乗っかってきて、私はカエルが潰れたような声を出す。
「重い!」
正樹は私の首筋に顔を埋め、チュッチュッとキスをしてくる。
夏場で汗ばんでるんだから、やめてほしい。
「慎也、助けて! エッ!?」
太腿が何だかモゾモゾする。
必死に正樹の腕の中で体を反転させると、慎也が私のワンピースを捲り上げ、ガーターストッキングの留め具を外そうとしていたところだった。
「ちょっともー! 所構わず発情するの、やめぇ」
「よし! 正樹、そのまま押さえ込め!」
「ピカァ!」
「ちょ……っ!」
正樹がテレビのアニメキャラの声で返事をするので、私はブフォッと噴き出してしまった。
ここで必殺技を指示されてたら、私は笑い死んで再起不能になっていた。
おかしくて堪らなくて、私はシーツに顔を埋めて体を震わせ続ける。
その間、正樹は私の背中のファスナーを下げ、ブラジャーのホックも外していた。
「はー。もぉ……。お願いだからシャワーは入らせて。汗掻いたままは嫌なの」
「いいよ」
「あんまりやり過ぎて、怒らせたくないからな」
二人はあっさり引いてくれ、私はバスルームに向かって汗を流す事にした。
**
「こっちって、浴槽に浸かる習慣がなかったよね?」
私はジェットバスに浸かって慎也を見ている。
ぶくぶくボコボコと泡が立ち、肌を隠してくれるので、全裸で二人といてもそれほど恥ずかしくない。
「うちは日系ホテルだから、主なターゲット層が日本人なんだよ。まぁ、ビジター全員が日本人と想定はしてないけどね。けどその分、日本人が海外に来て一番思う、『お風呂に浸かりたい』っていう願いを叶えたいとは思っていたんだ」
「なるほどねぇ……」
普通のホテルでもバスタブにシャワーが付いているけれど、久賀城ホールディングスのホテルでは、早くお湯が溜まりやすいように、ポンプの仕組みとかを工夫しているそうだ。
『優美って、そういうの……OKな訳?』
エディさんの質問に、私はできるだけにこやかに『そうですね……』と返事をしておく。
そのあと、彼は私を凝視してくる。
そりゃあ……、「こいつ複数プレイOKな女な訳?」って思われるよね……。
居たたまれない気持ちでいると、慎也がわざとらしい咳払いをした。
『俺たちの事情は置いておいて。こういう理由で、正樹はビルに女性の紹介は不要と言っています』
その「気遣ってくださいね」という雰囲気を汲み、アボットさん一家は笑顔を取り戻した。
『そうだな。あれだけ落ち込んでいた正樹が、また生きる力を取り戻したのを一番と思わなければ』
なるほど、利佳さんに人格否定されての落ち込み期を知っているのか。
そこまでの付き合いをしたなら、恩人だろう。
二人の大事な人は、私も大切にしたい。
緊張してこの食事会に挑んだけれど、今は心の底からこの人達に誠実にむきあおうと思えていた。
最初から失礼のないようにと思っていたけれど、気構えが変わったというか。
そのあともコース料理が運ばれ、主に正樹とビルさんをメインに会話が進んでいった。
基本的には仕事の話題が多く、他は慎也がエディさんと弟のクリスさんと話していた。
私にも話を振られたけれど、今回の主賓は二人だから出しゃばらないようにしておく。
やがて紅茶を飲み終え、そろそろレストランを辞すという頃になって、ビルさんが尋ねてきた。
『いつまで滞在しているつもりだ?』
『仕事はもう終わったから、あと一週間ぐらいはのんびりするつもりだよ。もう少し北上して、主立った観光地を優美ちゃんに見せてあげたい』
正樹がそう答えると、ビルさんが提案してきた。
『もし良かったら、湖水地方にある別荘に滞在しないか? 私も日本から来た友人ともっと話したいし、優美さんとも親睦を深めたい。正樹と慎也はとてもいい男だが、二人を射止めた彼女はどれだけ魅力的なのか興味があってね』
『あはっ、ありがとう! ビル。慎也と優美はどう?』
正樹がお礼を言い、私たちに意思を尋ねてくる。
『俺は構わないけど……。優美はどう?』
『私も、そちらさえ良ければ喜んで伺いたいです』
『じゃあ、決まりだ。こちらも用意をしておこう』
ビルさんは何日に別荘に来るか正樹と話し合い、それでその日の食事会は終わった。
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「ちゅかれた……」
私はワンピース姿のまま、ボフッとベッドに沈む。
「お疲れ様ー!」
「ぐえっ!」
正樹が私の上に乗っかってきて、私はカエルが潰れたような声を出す。
「重い!」
正樹は私の首筋に顔を埋め、チュッチュッとキスをしてくる。
夏場で汗ばんでるんだから、やめてほしい。
「慎也、助けて! エッ!?」
太腿が何だかモゾモゾする。
必死に正樹の腕の中で体を反転させると、慎也が私のワンピースを捲り上げ、ガーターストッキングの留め具を外そうとしていたところだった。
「ちょっともー! 所構わず発情するの、やめぇ」
「よし! 正樹、そのまま押さえ込め!」
「ピカァ!」
「ちょ……っ!」
正樹がテレビのアニメキャラの声で返事をするので、私はブフォッと噴き出してしまった。
ここで必殺技を指示されてたら、私は笑い死んで再起不能になっていた。
おかしくて堪らなくて、私はシーツに顔を埋めて体を震わせ続ける。
その間、正樹は私の背中のファスナーを下げ、ブラジャーのホックも外していた。
「はー。もぉ……。お願いだからシャワーは入らせて。汗掻いたままは嫌なの」
「いいよ」
「あんまりやり過ぎて、怒らせたくないからな」
二人はあっさり引いてくれ、私はバスルームに向かって汗を流す事にした。
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「こっちって、浴槽に浸かる習慣がなかったよね?」
私はジェットバスに浸かって慎也を見ている。
ぶくぶくボコボコと泡が立ち、肌を隠してくれるので、全裸で二人といてもそれほど恥ずかしくない。
「うちは日系ホテルだから、主なターゲット層が日本人なんだよ。まぁ、ビジター全員が日本人と想定はしてないけどね。けどその分、日本人が海外に来て一番思う、『お風呂に浸かりたい』っていう願いを叶えたいとは思っていたんだ」
「なるほどねぇ……」
普通のホテルでもバスタブにシャワーが付いているけれど、久賀城ホールディングスのホテルでは、早くお湯が溜まりやすいように、ポンプの仕組みとかを工夫しているそうだ。
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